心読みます

10月5日から始まった、日経新聞夕刊1面の連載記事のタイトルは「心読みます」となってます。

おおっ、これは、まさに「マインドリーディング」です。
まったくの偶然ですが、「商いの本質は相手の心を読むことにある」ということに世間の関心が集まりつつあることを意味してるんじゃないでしょうか。

マインドリーディング力、つまり心を読む力は、端的に言えば「共感力」です。相手と同じ感覚になれるかどうか、ということですね。

また、「ああ、その気持ちわかるよ」と思えるかどうか。

そして、大ヒット商品やサービスを生み出し、一代で財を成したようなカリスマ創業者が最も優れている点は、おそらく「共感力」です。その時代の大衆感覚を自然に共感できてしまう力があったから、消費者の心をつかむことができた。もちろん、事業を大きくしていくためには、決断力、構想力といった能力も必要だったのでしょうけど。逆に、必ずしも頭(理知的な)の良さや学歴は、あまり役に立たない。共感力は文字通り感性であって、理性ではないからです。

経営コンサルタントの泉田豊彦さんも、「ビジネスで成功した人は大衆と同じ波長の人が多い」とおっしゃってますが、特に飲食、小売店業界のカリスマリーダーに多いですね。ダイエー創業者の故中内功氏などは、「主婦の店ダイエー」というキャッチフレーズでわかるように、主婦の感覚を共感できたから小売業トップの座を射止めたわけです。

問題は、いかにカリスマであろうとも、年を重ねるとだんだんと共感力が衰えてくることでしょう。自分の感覚と時代がずれてしまっていることを直視できず、暴走してしまうのです。ダイエーの現状もそうなりました。(ただ、庶民感覚の持ち主の新たなリーダー、特にCEOの林文子さん)の登場によって再生する可能性が多いにあると思います。)

あるいは人によっては偉くなったことで現場を離れてしまい、現場で起きていることを自分の五感で体験しなくなる、その結果、自分では気づかないうちに共感力を失ってしまうこともありますね。

つい先日聞いた話ですが、ある大手家電メーカーの創業から参画し、役員まで上りつめて退職した方が、その後、一企業に入社しました。彼は非常に優れた人格者でして、本人が言うには、「私は30代から、おつきの運転手で送迎されるような毎日を送ってきたので、普通の生活が良くわからないのです、だから、リハビリが必要なんです。」ということで、一般社員と机を並べ、電車通勤を始めることにしたのです。しかし、隣に座った社員が驚いたことには、「電車の切符はどうやって買うんですか」と聞かれたこと。

この電機メーカーは若者向けの製品も出してますが、こうした庶民感覚からかけ離れた生活を送っている役員たちによって、新製品開発の是非が判断されているという現実を考えると、「なんだかなー」と思いますね。

投稿者 松尾 順 : 2005年10月08日 09:20

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