スープか、ラーメンか

九州福岡生まれの私にとって、ラーメン(当然、とんこつ味)は、食べ物の中でも永遠の愛を捧げている対象です。とんこつ味だけじゃなく、あっさりした中華そばや辛い坦々麺も好きですが。

ただ、ラーメンというとやはりカロリーが高い!中年太りを気にしているので、食べる回数をやむを得ず減らしています。カップ麺もあまり買わないようにしていました。

でも、いいものを見つけました。春雨や、ベトナムのフォーを使ったカップ麺です。カロリーはラーメン系の半分以下(一個あたり、だいたい200キロカロリー未満です)。味もなかなかいけますし、それなりに満腹感があります。最近の健康志向とマッチしていることもあり、市場は急成長。現在の3強は、エースコック、味の素、龍口食品です。

興味深いことに、各社は、「スープはるさめ」といった名称を使っていることです。つまり、麺が入ったスープだよ、という見せ方をしているわけです。(そういえば、海外では、カップヌードルは、麺が主役の「ヌードル」ではなく、「麺入りスープ」と認識されているそうですね。)これは、ラーメン=カロリー高い、しつこいといったイメージを持たせないためのネーミングです。

実は、カップヌードルで磐石の地位を誇る日清食品は、この市場参入に当たって、ネーミングに失敗しました。2005年5月、フォーを使った低カロリーカップ麺を「アジアンヌードル」という名称で売り出したのですが、売れませんでした。関係者によると、やはりラーメンと似たイメージを持たれてしまったことが原因でした。(実際食べてみると、味自体は決して悪くありません)

私たちは、ある名前を見たり聞いたりすると、それに結びついた記憶を呼び起こして「それはいったいどんなものか」という評価をしようとします。未体験の商品やサービスの場合、結びついた記憶が存在しませんから、できるだけ近い、類似の記憶と結びつけて「・・・みたいなもの」という形で理解するわけです。

「スープ」と聞けば、たとえそれが麺入りであっても栄養豊富、健康なイメージがだいたい浮かびますね。でもカロリーが高いというイメージは結びつきません。一方、「ヌードル」と聞けば、ラーメンが即座に連想され、「おいしいけれど、でも太りそう」という、購入を抑制するネガティブな意識が発生してしまいます。

ネーミングがいかに売上げを左右するか、という直近の事例でした。

投稿者 松尾 順 : 2005年10月16日 09:56

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