第三の場所

私たちはみんな、仮面をかぶって毎日を送っています・・・

「仮面」というのはちょっと怪しい表現でしたが、職場や
家庭など、それぞれの立場で求められる役割を果たすために
自分の性格を使い分けているという意味です。

この「仮面」は、心理学などでは、パーソナリティの語源に
あたる「ペルソナ」と言うことがあります。役割に応じて、
ある意味、「本当の自分でない自分」を演じているような
ものなので「公的な性格」とも言われます。

たとえば、実際には気弱な性格であっても、会社でリーダー
の立場にあったら、断固とした性格であるかのように振舞う
必要がありますよね。そうでなければ、部下たちが不安を
抱きますし、ついてきてくれません。

もちろん、家庭においても、夫・妻、あるいは親として
ふさわしい自分を演出しなければなりません・・・
外で仮面をかぶっているのがつらいからといって、
家に帰ったとたん、仮面を外してまったくの素の自分を
さらけだしてしまったら、家庭が崩壊してしまいます。

だから、実は家庭は本当の意味ではくつろげる場所では
ないのかも・・・

たとえ一人暮らしでも、近隣には顔見知りがいますから、
なかなか素の自分になれる場所がないものです。

でも、ずっと仮面をかぶったままでは、精神的に参って
しまいます。そこで、心理カウンセラーの諸富祥彦氏は、

「第三の場所を持ちましょう」

と提案しています。

「第三の場所」とは、理想的には秘密の隠れ家です。
小学生の時に見つけようとした「秘密基地」です。
職場でも、家庭でもない、知り合いが誰もいない、たった
一人になれるところ。

最近は、職場でも家庭でも時間に追いまくられることが
多くなってきているせいか、みんなすごいストレスを
ためてますよね。だから、意識的に、あるいは無意識に
「第三の場所」を求めているんじゃないでしょうか。

そうした消費者の欲求をつかんでいるのが、例えば
「漫画喫茶」でしょう。あるいはちょっと休憩・昼寝が
できる個室を時間貸しで提供しているスペースです。

独身でなくても、第三の場所を求めてあえて一人で
お酒を飲んだり、食事をしたり、旅行するという
パターンもますます増えてくるかもしれません。

「本当の癒し」とは、自分の仮面、ペルソナを外せる
環境で得られるものです。

「第三の場所」を提供できる商売が、これからもいろいろと
出てきそうですね。

投稿者 松尾 順 : 2005年10月20日 10:10

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