「価値ハンター」に照準を定めよ

高い品質を求めるのであれば、相応の金額を払う必要がある。
逆に安さを求めるのであれば、品質には妥協しなければならない。

これは、ごく一般的な考え方でしょう。
つまり、基本的に、品質と価格はトレードオフの関係
(両方同時には成立しない)にありますよね。


ところが、高い品質を求めつつ、同時にお手ごろ価格を求める
欲ばりな消費者層が存在します。

彼らは、

「価値ハンター」(価値追求型消費者)

です。


価値ハンターは、自分たちにとっての価値、すなわち
「顧客価値」(製品便益-ライフサイクル費用)を
最大化しようと行動する人たちです。

そして現在の日本においては、価値ハンターが
消費者の過半数を占めている一大勢力となってきたのです。

つまり、マス市場として登場しているのが価格ハンター層です。


したがって、企業が大きな売上げを狙うのなら、
「価値ハンター」の心理や行動特性を的確に把握し、
正しく照準を定める必要があります。


価値ハンターの特性としていくつかご紹介すると、
まず、商品知識が豊富であることがあります。

安くいい物を手に入れようとするわけですから、
そうした「お買得品」を見極めるだけの知識が
必要だからです。

そして、事前に十分に購入商品を検討しますから、
お店ではほとんど指名買いです。
ですから、商品について詳しい店員はありがた迷惑で、
むしろ、心のこもったサービスを歓迎します。


また、価値ハンターは、気に入ったブランドに対しては
忠誠心が高く、長期的な取引を通じて
顧客価値を高めようとします。

単に、「いいものを(無理やり)安くしろ」と
ゴネる消費者ではないわけです。

例えば、ポイントカードをきっちり利用して、
将来における顧客価値を高めることを考えます。
(その場限りで安いというのは、実際には、
 品質が伴わないことがわかっているのでしょう)


90年代後半から、顧客との関係性構築に焦点を当てた
マーケティング・経営手法である「CRM」
(Customer Relatioship Management)が注目を集め、
徐々に浸透しつつありますが、

現代の消費者の主流となった

「価値ハンター」

に照準を定めるということは、
「CRM」の本格導入・定着が不可欠であることを
意味しているといえるのではないでしょうか。


*「価値ハンター」についての詳細は下記書籍を
 ご参照ください。

『バリュー消費-「欲ばりな消費集団」の行動原理』
 田村正紀著、日本経済新聞社

投稿者 松尾 順 : 2006年02月03日 10:47

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