哲学的発想法
「歴史は繰り返す」
と言いますね。
確かに、時、ところ、状況、登場人物は違っても、
その出来事の本質を深く洞察してみると、
以前に起きた出来事とほぼ同じパターンが見出せることが多い。
ということは、
・未来に何が起きるのか、
・どのような変化がもたらされるのか
のヒントは「過去にある」と言えることになります。
そして、その過去のヒントから未来を予見するため、
あるいは新しい発想を生み出すことに有効なのが
「弁証法」です。ヘーゲルの哲学ですね。
田坂広志さんによれば、「弁証法」のただひとつの法則を
学ぶだけで十分なのだそうです。
それは、
「螺旋的発展」の法則。
物事が発展するとき、直線的に発展するのではなく、
螺旋(らせん)的に発展する
ということです。
あたかも螺旋階段をぐるぐると回りながら昇っていくように
物事は進歩・発展する。
別の場所に向かって移動しているのではなく、ぐるっと回って
元の場所に戻ってきてはいるが、一段高い場所に進化している
ということです。
近年のネット革命によって、
私たちはこの法則を目の当たりにしていますよね。
例えば、ネットオークション。
昔、物品の販売は「競り」や「指値」で行われていました。
定価というものが存在しなかったのです。
しかし、近代産業社会では、この方式は手間と時間がかかる
非合理的なものとして、鮮魚や花きなどの一部の物品を除いて
いったん消えてしまいました。
ところが、ネットオークションは、多対多の競り、指値の
取引を合理的な仕組みで行うことを可能にしました。
やっていることは、懐かしい、昔ながらの買い手と売り手の
丁々発止のやり取り。でも、それは、最新のITシステム
上で行われており、確かに螺旋的に一段上昇しているのです。
田坂氏は、こうしたことを
「進歩・発展」と「復活・復古」が同時に起こる
と表現しています。
私が、この春から、熊本大学大学院で研究する「eラーニング」
も螺旋的発展の一例です。
「eラーニング」は、単なる遠隔教育ではありません。
産業社会の発展によって導入された「集団教育」「一律教育」
のため、いったん消滅した寺小屋的な「自律学習」「個別学習」を
可能とする一段高い仕組みなのです。
つまり、懐かしい寺小屋がeラーニングによって甦ったのです。
さて、この「螺旋的発展」の法則に基づいて、
どうやって未来を予見できるのでしょうか、
また、新しい発想を生み出せるのでしょうか。
田坂氏は次のように説明しています。
まず
何が「復活」してくるかを、読む
ことです。このためには、
何が消えていったのか」を、見る
必要があります。
そして、
「なぜ消えていったのか」を考えます。
最後に、
どうすれば「復活」できるか、を考える
つまり、
かって合理化、効率化の流れの中で「消えていったもの」が
最近生まれてきた技術や方法を用いて「復活できないか」を
考えるのです。
新しい発想とは、異質なモノ・コトの組み合わせだというのは
すでに常識になりつつありますが、
この「螺旋的発展」の法則も、
使える発想法として活用していきたいものですね。
*上記にご紹介した内容については、
「使える弁証法」(田坂広志著、東洋経済新報社)
に詳しいです。
*また、田坂氏の公式Webサイト「未来からの風」
では、「風の対話」のコーナーで、
田坂氏の肉声でのわかりやすい説明を聞くことができますよ。
投稿者 松尾 順 : 2006年03月23日 06:00
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