毎日がリサーチ

以前も書きましたが、
私は、社会人向けのマーケティング関連講座を主催する
「シナプス・マーケティング・カレッジ」で、

「マーケティングリサーチ・エッセンス」

という講座を担当させていただいています。

「エッセンス」というタイトル通り、
リサーチの基本中の基本をお伝えする初心者向けの内容です。

パンフレットにも「初心者向け」と記載してあるのですが、
意外に「応用的なこと」を期待して受講される方が多いのに
当惑しています。


でも、よく考えてみれば、マーケティングリサーチの講座で
一般マーケター向けの応用編的なコースって
ほとんどないんですよね。

仮にそんなコースがあったとしても、「統計解析ツール」
の使い方を覚えることもセットにしないと
なかなか実践的なノウハウは学べません。

これは、必ずしも自分で統計解析ツールを動かす必要のない
大多数のマーケターにとっては、ちょっと「違う」セミナーに
なりますよね。


ですので、一般マーケター向けの

「マーケティングリサーチ・アドバンス」

という応用編講座を
シナプス・マーケティング・カレッジで
開設させてもらえばいいのかもしれません。

ただ、講座を開設する立場としては、
マーケティングリサーチの応用編的セミナーに対する
十分な需要があるのか、悩ましいところですけど。


一方で、マーケティングリサーチと銘打った講座とは別に、
地味なタイトルですが、

「ビジネス情報の収集と整理、解釈のノウハウ」

といった講座も必要じゃないかと思ってます。

「マーケティングリサーチ」というと、どうしても、
アンケート調査やグループインタビュー調査といった、
大掛かりでそれなりにコストをかけるフォーマルな調査を
イメージしてしまいますよね。

逆に、こうしたイメージが固定観念になって、なにか知りたいことが
出てきたらすぐ「お金かけてちゃんとしたリサーチやらなきゃ
有益な情報は集まらない」という、短絡的な発想を招いてしまう
可能性があるかも知れません。

しかし、実のところ、私たちは普段の生活でもリサーチを行い、
その結果に基づいて判断し、行動してるということを
わかっておく必要があると思います。


例えば、あなたは、朝寝坊してしまい、
慌てて外に飛び出した。

でもふっと、天候のことが気になりました。
空の様子がおかしい。

「ひょっとして傘を持参すべきかな」という解決すべき課題が
発生しました。(おおげさですが(^-^))

そこで、「これからの天気を知りたい」というリサーチ目的が
出てきます。漠然とした感覚では、「雨になりそうだ」
という仮説が浮かんでいます。

まず、あなたはどうしますか。
自分の目で空を見上げて、雲の状態をしっかり観察しますね。

灰色の雲が覆っていました。
観察(調査)に基づく、イメージ情報の収集です。

また、肌で気温や湿度を感じてみます。
ジメジメして生暖かい感じでした。
肌感覚(調査)による、温度・湿度情報の収集です。

周りに歩く人たちに目を向けました。
傘を持っている人がいます。
やはり観察(調査)に基づく、イメージ情報の収集です。


あなたは、こうした徴候の時にはたいてい雨が降るという
経験に基づく因果関係と、学校の理科で学んだ天気についての
知識をベースに、

空の模様、気温湿度の状況、周りの人たちの行動など
収集した情報を総合的に整理・分析し、

「低気圧の接近による雨が近いようだ」

という解釈を与えます。

そして、「やっぱ家に戻って、傘とってこよう」

という意思決定を行うわけです。


以上のプロセスでは、アンケートもグルインもやりませんが、
調査の本質的な手順である、

調査課題の設定→調査目的の設定→仮説の設定→
情報の収集→情報の整理・分析→情報の解釈→(意思決定)

という流れに沿っています。


こうしたプロセスは、働く現場ではもっと日常的でしょう。
実際、私たちは四六時中リサーチやっているといっても過言では
ありません。

いわゆる「マーケティングリサーチ」はこの延長上にあります。
どうしても手間とお金と専門的なノウハウをかけないと収集・分析
できない情報がある時に必要となるのが、
いわゆる「マーケティングリサーチ」です。

ですから、「リサーチすること」をあまりオオゲサに捉えない方が
いいのです。


また、前述したように、「マーケティングリサーチ」に
安易に依存しすぎてはいけないと感じています。

ある意味、お金さえ払って専門家に任せておけば、
いくらでも情報が集まるので、
5感を研ぎ澄ませて、自ら情報を収集しようとする意欲が
低下してしまう危険性があるんじゃないでしょうか。


ま、こんなわけで、普段のビジネスシーンでの活用を目指した

「ビジネス情報の収集と整理、解釈のノウハウ」

という講座が有益じゃないかと考えている次第です。

このタイトルは、再考の余地オオアリですが。

投稿者 松尾 順 : 2006年05月31日 10:58

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