機能性と使い勝手

製品ができること、つまり「機能」が増えると、それだけ便利
になりますけど、同時に、操作が複雑になって使い勝手が悪く
なりますよね。

ケータイはその典型的な例でしょう。
実際、私が持ってる多機能携帯、操作を覚えるのが大変で
ほとんど使いこなせてません(⌒o⌒;

正直、こんなに機能がなくても間に合ってるので、
もっとシンプルな機種でいいと思っているんですが。

かといってシニア向けに発売されている電話機能だけのケータイ
では逆に機能が不足します。

つまり、今は、機能が多すぎるか、少なすぎるかの両極端の機種
しかなく、私のニーズぴったりくるものはなかなかありません。
困ったものです。


さて、「機能性」と「使い勝手」についての消費者心理がわかる
面白い調査結果があります。
(ダイヤモンド ハーバードビジネスレビュー June 2006、
 ‘便利で不愉快な機能過多を排す’より)

上記記事によると、3つの調査をやってるんですが、
ポイントだけ書くと次のようになります。
(この記事では、機能と性能がほぼ同じ意味で使われています)

・購入前の消費者は、機能が多くなると使いにくくなると
 わかっていても、使い勝手より「機能(性能)」を重視する

・自分で製品をカスタマイズできる場合、使い慣れるのが大変
 だとわかっていても、たくさんの「機能」を盛りこもうとする

・実際に製品を利用しだすと、消費者は、機能より「使い勝手」
 を重視するようになる!


要するに、私たちが体感的にわかっていることですけど、

買う時は、あれやこれや機能が多いほうがよさげに見えるけれど、
買った後では、やっぱりシンプルで使いやすいものが良かったな
と後悔する。

この普遍的な消費者心理を見事に実証してくれてるわけです。


となると、企業の製品やサービス開発担当者は
どうしたらいいんでしょうね?

購入に踏み切らせるためには、多機能がよさそうだ、
しかし、実際の利用満足度は多機能がゆえに低下する。
これはリピート率の低下につながるだろう。

1回売り切りの商品ならさておき、継続的に購入してもらおうと
するとジレンマに陥りますよね。


私も、これだという「答え」は今のところ持っていません。

ぜひ、ブログのコメント欄にあなたの考えを!

投稿者 松尾 順 : 2006年06月08日 11:19

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コメント

多機能の権化といえばW-ZERO3ではないでしょうか?

それを少々論じたコラムを以前書きました。

http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2006/04/wzero3_c2d6.html

それから、もっと昔にやはり携帯の多機能化についてのコラムも書いています。

 http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2006/01/post_574b.html

こちらは実際の生活者の会話から拾ったネタです。
多機能携帯を使いこなせていないのはオジサンだけではないようです。

以上、ご参考まで。

投稿者 金森努 : 2006年06月08日 14:32

妙に今日、昨日の問題意識にシンクロしたエントリーでびっくりしました。

多機能化は、利用者のニーズが多様化しているところの最小公倍数をとっているともいえますね。

機能A、B、C、Dがあっても、たかし君はAとCしか使わない。花子さんはBとC、つねお君はAとDという具合。
これを3人のターゲット別に商品を作っていたら、3つも作らなくてはいけませんが、ABCDをひとつの商品に収めればひとつで済みます。(用意された機能を全部使う必要はないってことですね)

いらない機能を省けば安くなると思いがちですが、いらない機能が人によって違うので、個別のニーズに応えすぎるととんでもなくコストがかかっていきます。
しかも、最初はAとDだと思っていたのに、やっぱり使ってみたらBとDだったりとか変わる可能性もあるので、絞りすぎるのは危険な面もあります。
(そのカテゴリの商品が登場して、かなり長い期間が経っていればまた別でしょうけどね。VHSビデオとか)

また、利用者は使い慣れた習慣を変えたり、新しいものに慣れるコストを払いたくないと感じることもありますが、いつも嫌というわけではなく、時にはそれを欲することもあることは意識しておく必要はあると思います。

ただ(再)学習の過程が、苦痛であったり、挫折したりということではダメで、気持ちよく新しいことを学べて(慣れられて)、以前よりも、何かしらの生活の質が向上したような気になることが重要だと思います。

投稿者 菅原 : 2006年06月08日 15:26

いつも気づきを頂いています。
ありがとうございます。

機能を気づかせずに使いこなさせる。

機能が多い少ないかと言うイシューと
機械と人とのインターフェイスのイシューが
交差している気がします。

普段はお任せでなんら問題なくて、
実は自分でいじりたい時には調整できるとか。

こう書いててデジカメを思い浮かべました。
高価になるほどすきにいじれる機能が付いてきますね。
自分でいじりたいわがままな人は
そのわがまま代を出してくださいと。
デジカメのような特殊な市場では成り立ちますが、
他ではどうでしょうね・・・

投稿者 しょうすけ : 2006年06月08日 23:06

金森さん、ども。

W-ZERO3は、機能てんこもりですよね。
私もああしたがジェットは大好きなので思わず
衝動買いしたくなりました。でも、ご指摘の通り、
おそらく使い勝手が悪くてほとんど使わないことが
わかっているので買わなかったですよ。

菅原さんもどもです!

多機能化は、できるだけ多くのターゲットユーザーを
取り込むための手段なんですね。それは目からうろこの
指摘でした。しかし、それにしても商品開発で、
どんな機能を盛り込むかを適切に判断するのは相当な
難題ですね。

しょうすけさん、ごぶさた。
コメントありがとさんです。

多機能でありながら、限りなく使いやすい。
ユーザーのレベルや状況に応じていくらでも
高度な機能が引き出せる。

これはユーザビリティの理想形ですね。

投稿者 松尾順 : 2006年06月08日 23:41

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