文字のないキーボード

事務所のパソコンにつないでるキーボードの文字が、
あちこち消えかかってます・・・

買い換えて1年足らずですが、やはり安物だからですかね。

いちおうタッチタイピングができるので
多少文字が消えても使用には差し支えないのですが、
もし全部の文字が消えちゃったら、さすがに使いこなせないです。


しかし、プロのプログラマーは違いますよね。
キーボードが商売道具そのものですから。

「キーボード一本、さらしに巻いて・・・」(ふ、古い・・・?)

当然ながらすべてのキーを空で覚えています。


こうしたプロ開発者に人気なのが、

キーボードに文字の表示(刻印)が一切ない、

「ハッピー・ハッキング・キーボード 無刻印モデル」
(写真はホワイト、ブラックもあります)

です。

結構以前から知られたモデルですが、ご存知でしたか?


文字がないので、実にすっきりした顔つきしてますね。
でも、素人を寄せ付けない威圧感があります。(笑)

プロじゃなきゃとても手が出せない。

値段も1本、約2万5千円。
プロ仕様にふさわしい値段です。

しかし、過去7年間で10万台も売れています。


さて、「文字のないキーボード」なんて発想、
どこから生まれたんでしょう?

開発した(株)PFUの松本部長によると、

ピアノの練習をしている娘さんが、
ピアノのキーボードに「ド」、「レ」、「ミ」などと音階を
書いて貼り付けていたのを見たのがきっかけでした。

そして、松本さんは、

「コンピュータ用キーボードの文字をなくしてしまったら
 どうだろう?」

という逆転の発想をしたわけです。


ピアニストは、音階の書いてあるピアノは使いませんよね。
プロのIT開発者なら、文字がなくたって支障はないはずと
考えたんでしょう。

ただ、売れている最大の理由は、文字がないキーボードは、
そのユーザーがプロであることを示す「シグナル」の
機能を持っていることです。

つまり、文字のないキーボードは、

「私のユーザーはプロなんですよ」

という信号を発信している。

その信号を受け取った人は、

「さすがですね!」

と感心してくれ、
プロフェッショナルの自尊心が大いにくすぐられると
いうわけです。


ハッピー・ハッキング・キーボードの事例は、
やみくもに製品を便利にしようとする思想は、
ユーザーセグメントによっては逆転してもいいこと、
また、製品が発信する無言のメッセージ(=シグナル)を
意識する必要性を認識させてくれるものでしょう。

投稿者 松尾 順 : 2006年06月19日 14:43

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トラックバック時刻: 2013年06月26日 15:52

コメント

面白いですね、こういうキーボードも。
でも、僕はプログラマではないし、やっぱりちょっとした時には見ちゃいますから、買わないと思います。
ビジュアル的には欲しいなぁとは思うのですけどね。

投稿者 Jules : 2006年06月19日 16:27

Julesさん、まいど!

ビジュアル的に欲しいというのは、ごちゃごちゃした文字がなくて、すっきりしてるからですよね。

しかしまあ、キーボードは実用品ですし、鑑賞用として飾っておくというのはちょっと違いますよね・・・

投稿者 松尾順 : 2006年06月19日 16:43

すみません、ワタシ昔コレ購入検討したことありましたー(笑)
Macユーザの中には(Winは知らない)、『刻印が少ないから』という理由でJISではなくUSキーボードを選ぶ人も結構多いですよー。

投稿者 nekomo : 2006年06月20日 13:13

necomoさん、まいど!

購入しようと思ったことあったんですか!
やっぱり刻印が少ない方がデザイン的に良いからですね。

投稿者 松尾順 : 2006年06月20日 17:12

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