戦う前から負けている

今日は、ちょっと日本のPCメーカーに苦言を呈します。
(一部外資メーカーも含まれますが・・・)


昨年くらいからでしょうか、パソコンの通信販売を
新聞の全15段広告で行うPCメーカーが増えてきましたよね。


その中でも、一番目立つのが「デルコンピュータ」でしょう。
日経新聞や日経産業新聞に、週1くらいの頻度で出稿している
んじゃないでしょうか。
(私は、一般紙は読んでいないのですが、朝日、読売、毎日
 あたりにも出してるんでしょうか?)

全15段となると、1回の出稿費は数百万円以上になりますが、
とても出稿費を上回る売上・利益を確保できるだけの台数、
売れるとは思えません。

おそらく、収益を上げるだけじゃなくて、認知度向上という目的
も同時に追ってるんでしょうね。


そして、デルコンピュータの広告攻勢に刺激されたのか、
日本の大手PCメーカー、および外資のPCメーカー、
そして独立系の格安PCメーカーなども負けじと全15段広告を
打ってきていますね。

しかし、広告の内容を見る限り、
デルコンピュータ以外のPCメーカーは
戦う前から負けているように感じます。

逆に言うと、勝つ気があるのか疑問ということです。


デルコンピュータと他のメーカーの広告で決定的に違う点
があるのですが、それは何かおわかりですか。


それは、メインメモリの容量です。

デルコンピュータでは、デスクトップ、ノートPCとも、
標準で「512M」の製品を掲載しています。

一方、他のメーカーの大半の機種は、標準「256M」です。


パソコンにはあまり詳しくなくても、
PCを選ぶ上で最も重要な比較ポイントであり、
知っておいた方がいいのは、このメインメモリーの容量です。


Windows XP、そしてオフィスソフトを快適に動かすには、
ミニマムでメモリーは「512M」じゃないとつらいというのが
真実。

理想を言えば「1G」ですけど、通常の業務なら512Mで十分。
しかし、「256M」だと、メールチェックくらいなら
まあなんとかOKだけれど、ワードやエクセルを使った業務と
なると動作がのろく、ストレスいっぱいになります。
(私のノートPCが256Mなんです。
 メインじゃないからこれで我慢してますが)


このことをPCメーカーならわかっているはずですが、
デル・コンピュータと価格帯を合わせるためでしょうか、
また少しでも安く見せるためでしょうか、標準256Mの
機種を掲載している会社がほとんどです。


これは、PCの全くの素人ならだませるかも知れません。
でも、いくら素人でも、機種を比較検討するときには、
詳しい人の意見は聞きますよね。

おそらく、詳しい人は、

「メモリー256Mは非力だから、メモリー増設した方がいい」

とアドバイスしてくれるでしょう。


そこで、デルコンピュータの広告を見ると、
標準512Mなので広告記載の価格で買えます。

わかりやすい。

ところが、他のメーカーは、広告記載の価格に、
メモリー増設分の費用を上乗せしないと実際の購入価格が
見えません。

わかりにくい。

見込み客は、結局どちらを選ぶ確率が高いでしょうか?

まるで、他のメーカーは、
最初からデルコンピュータに負け戦を挑んでいるように
感じてしまいます。


デルコンピュータの圧倒的なコストパフォーマンスに
対抗するのは一筋縄ではいかないのはわかりますが、
もっと広告を出す前に勝てる「戦略」を立案しないと、
広告費が無駄じゃないでしょうか。


デルコンピュータは私も事務所で使ってますし、
いい製品を出してることは認めざるを得ませんが、
日本のメーカーにも、ぜひもっとがんばって欲しいですよね。

投稿者 松尾 順 : 2006年08月11日 13:45

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コメント

日本のメーカーに十分な通信販売戦略が描けていないのも事実ですね。ただ、部分戦略というか、戦術面でデルが攻勢をかけている新聞紙上領域で、一人勝ちさせることを横目で見つづけることもできず、アタックと称して新聞紙上でアテンションを分散させることを目的としている、というのが実情ですね。

いずれにしても、大手メーカーにとってはPCはただ同然の代物でグロスでのソリューション収益を狙うのが主なところかと。

投稿者 yamatonadeshiko : 2006年08月15日 13:08

yamatonadeshikoさん、
コメントありがとうございました。

アテンションを分散させることを目的とするのは
結構ですが、自社製品に対するユーザーのブランド
イメージを低下させてしまうリスクも負ってますよね。

まあ、捨て身の作戦なら全部承知のことなんでしょうけど。

投稿者 松尾順 : 2006年08月15日 19:34

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