9月の夏休み

最近、8月のピークシーズンを避けて、
9月に夏休みを取る人が増えているんですね。

お盆の時期に一斉休みを取るのは、
製造業が多い(工場の稼動上その方が都合がいい)のですが、
近年は、サービス業で働く人の割合が高くなり、
むしろ交代で休んだ方が都合がよくなりましたからね。

また、休みが集中すると行楽地が混んじゃいますから、
夏休みは分散して取りましょうという風潮も少しずつ
強くなってきてました。


ただ、上記の理由以外にも、
9月の旅行が増加している要因には「ネット予約サイト」
の影響があるようです。(日経MJ、2006/08/11)

ネット予約サイトのメインユーザーは20-30代。
彼ら若年層は、独身であったり、まだ子供がいないことが多く、
子供の夏休みに合わせる必要がありません。

また、ネット予約サイトでは、
他の時期に比べて8月の客室在庫数が少なく、
予約が取りにくい状況があります。

このため、子供に制約されないユーザーが、
予約の取りやすい9月へと旅行時期をシフトしつつあるわけです。

実際、高級ホテルのオークション予約サイト「一休」では、
9月の予約件数が前年度の60%増。8月は同27%増ですから、
9月への旅行シフトが顕著です。

他のネット予約サイト「ヤフートラベル」や「楽天トラベル」
でも9月の予約数の伸びは、8月よりも上回っています。


さて、日経MJには触れられていなかったのですが、
上記の夏休み時期シフトの背景には、
このところ取りざたされている、「晩婚化」「少子化」と
いう大きな社会的変化がありそうです。

近年の晩婚化、言い換えると独身者、そして、
結婚しても子供を作らない夫婦が増えているのは数字で
明確に現れていますよね。

身軽に動ける独身者、あるいは子供なしカップルの比率は
今後も増えていくことでしょうし、彼らの消費行動が
ネット予約サイトを通じて顕在化し、
旅行時期にも影響を与え始めたと考えるべきかも知れません。
(現時点ではあくまで「仮説」ですが)


消費者心理・消費行動を読む場合には、
消費者一人ひとりの心理の機微を理解するだけでなく、
こうした大きな社会的なトレンドを併せて把握しておく
必要がありますね。

投稿者 松尾 順 : 2006年08月14日 14:19

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