イノベーションの達人・・・経験デザイナー
今日は再び、
『イノベーションの達人! 発想する会社をつくる10の人材』
トム・ケリー&ジョナサン・リットマン著、早川書房
に紹介されている第7番めのキャラクター、
「経験デザイナー」
を取り上げます。
これまで紹介してきた次の6人については、
マインドリーディング・ブログのバックナンバーを
ご参照くださいね。
●情報収集をするキャラクター
1 人類学者:観察する人
2 実験者:プロトタイプを作成し改善点を見つける人
3 花粉の運び手:異なる分野の要素を導入する人
●土台をつくるキャラクター
4 ハードル選手:障害物を乗り越える人
5 コラボレーター:横断的な解決策を生み出す人
6 監督:人材を集め、調整する人
さて、「経験デザイナー」はイノベーションを実現する人々の一人。
すばらしい「顧客経験」を創造しようと、
ひたむきに努力する人です。
冒頭に、トム・ピーターズのこんな言葉が引用されています。
零細企業であろうと、巨大企業であろうと、ほとんどの会社に
とっての「付加価値」は、提供される良質の経験によって生じる
今の客にとって、製品とは、
形のある製品+形のないサービス
です。(単純化してますが)
つまり、実際に手にする製品本体だけでなく、
購入する場所の雰囲気や、そこでの店員とのやりとり、
購入後の定期点検などのアフターサービスなど、
製品に付随するサービスすべてをひっくるめて
ある会社の「製品」であり「ブランド」なのです。
この両者を合せた製品は、通常の製品本体と区別して、
「ホールプロダクト(全体的製品)」と呼びますね。
ですから、どんなに製品そのものが優れていても、
アフターサービスが良くなければ、
その製品・ブランドの評価は下がります。
そして、今さら言わなくてもおわかりだと思いますが、
「製品本体」での差別化が困難な今、付加価値的な
サービスの部分で差別化を図るしかありません。
「顧客経験」を設計する「経験デザイナー」の役割の
重要性がわかりますよね。
本書で紹介されている例で最も面白いのは、
米国のアイスクリーム店、
「コールドストーンクリマリー」
です。
日本には昨年、アジア第1号店として六本木ヒルズに出店。
人気店となって、現在は国内5店舗まで増えています。
さて、コールドストーンでは、
従来のアイスクリーム店とは全く異なる体験があります。
食べたいアイスクリームとトッピングの種類を選ぶと、
店員は、それを冷やした御影石(まさにコールドストーン!)
の上で2本のヘラを使って混ぜ合わせます。
しかも、店員は歌をうたいながらリズムに乗って!
これはまさに「パフォーマンス」。
自分のためのアイスクリームが出来上がるプロセスを
見るのは実に楽しいわけです。
しかも、混ぜ合わせることで、既存のアイスクリーム店の
固い食感のものと違って、柔らかくクリーミィな味に
なっています。
コールドストーンの成功をみると、
飽和状態かと思われたアイスクリーム店市場にも、
アイディア次第でまだまだ参入余地があったということが、
わかりますね。
コールドストーンのコンセプトは、
「アイスクリームの革新と経験」
だそうですが、アイスクリーム本体よりも、
「すばらしい顧客経験」を売り物にすることにしたのは
「経験デザイナー」の貢献でしょう。
投稿者 松尾 順 : 2006年08月16日 18:27
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