安全の日本航空、安心の全日空

「安全の日本航空、安心の全日空」

なるほど・・・とうなずけますよね。
そうそう、らしいらしい、ぽいぽい。


この表現は、プレジデント誌最新号(20006.09.18)の
全日空を取り上げた記事本文中にあったものです。

日本航空は、
このところの度重なる運航トラブルで深刻な顧客離れを招いていて、
業績も厳しい。というわけで、全社を挙げて「安全性」の確保に
取り組んでいます。


一方、全日空は、2005年から、

「あんしん、あったか、あかるく元気!」

というブランドスローガンを前面に出して、
日本航空的な洗練された上品なサービスではなく、むしろ
ホスピタリティ(おもてなしの心)あふれるサービスを
目指していますね。福原愛ちゃんなどオリンピック選手を
起用した広告は好感度最高でした。業績も好調です。


さて、「安全の日本航空、安心の全日空」という表現は、
両社のブランドイメージの一面を端的に対比したものと
言えますよね。

ただ、全日空の「安心」の方が、日本航空の「安全」よりも
一段踏み込んだアピールであることがおわかりでしょうか?


「安全」は、どちらかと言えばハード面(機体の整備や
運航手順の遵守など)の特徴を語っており、
立ち位置が企業側にあります。

一方、「安心」は、「安全」のようなハード面の充実に加えて、
地上職員や客室乗務員の心遣いなど、ソフト面の充実も含めた
トータルなサービスがもたらす「感情的な便益」をアピール
しています。

お客様がどのような気持ちで飛行機に乗って欲しいか
という思いが感じられますし、明らかに立ち位置が顧客側に
あります。


「安全」と言えば、車ではボルボを連想しますね。
ただ、車にしろ、航空機にしろ、
利用者が求めているのは、「安全」そのものではなく、
その「安全」が与えてくれる「安心感」ですよね。

人が何らかの商品(モノ・サービス)を購入する理由は、
表面的にはいろいろあるでしょうけど、深いところでは、
すべて「心の平安」(Peace of Mind)を求めているから
と私は考えています。


「安心」を打ち出すことは、はまさに人の消費の真理を突く
アピールであり、ブランドコミュニケーションでも、
今のところ全日空が日本航空をリードしていると言わざるを
得ないですね。

ちなみに、プレジデントの記事に登場する宮崎健史氏
(仮名、年間80回飛行機に乗り、「航空会社乗り比べ」
というブログを開設)によれば、

“国際線は全日空、国内線は日航、総合評価だと六対四で
全日空を評価します”

だそうです。

ともあれ、外国の航空会社と比較したら、
日本航空も全日空もはるかにすばらしいサービスを提供
してることには違いないのですから、日本航空にも
もっとがんばって欲しいと思います。


ところで、「○○の日本航空、○○の全日空」のように、
○○のところを埋めて対比の妙を楽しむのは、
ISIS編集学校の編集稽古では、

「ミメロギア」

と呼ばれるものです。


ちょっと前にもメルマガでご紹介しましたが、
8月頭からだれでも応募できる

「全国ミメロギア投稿コンテスト」

が開催されています。

やってみると意外におもしろくてはまりますよ。


私もせっせと投稿していますが、先日ようやく1本だけ
入選(松竹梅の「竹」の評価)を果たしました。

お題は、「かぐや姫・白雪姫」です。

私の作品は、

「正体不明のかぐや姫、行方不明の白雪姫」

いちおう、これで図書券500円ゲットしました。(笑)


ちなみに、上記お題で「松」の評価の回答は、

「小悪魔の黙示録かぐや姫、お嬢様の福音書白雪姫」

です。

なんと奥深い回答でしょうか。
どこからこんなすごい回答が出てくるのか!

私の作品と比べると、センスの違いが歴然としていますね。(^_^;


単なる言葉遊びと考えて取り組んでも結構ですが、
マーケターには欠かせない言語感覚を磨くのに役に立ちますよ。

投稿者 松尾 順 : 2006年08月28日 12:35

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トラックバック時刻: 2010年10月10日 01:14

コメント

JALはいずれ再び大きな事故を引き起こすと思います。整備の外注化は非常に危険です。特に中国への外注は危険だと思います。野菜などの食品で、日本人に毒性の強いものを食べさせることが愛国行動だと考える人も居るといわれています。ロッキード事件で全日空がオプションして、後にキャンセルしたDC10は貨物室の設計が不良で、設計者が20年(旅客機の寿命)以内に墜落すると警告していました。このドアに追加的にラッチと言う鍵を設け、このドアを閉めるものはこのラッチをかけなければならないと英語で忠告を表示しました。しかし英語を理解できないアルジェリア人の作業員はしめなかったのでした。中国人のパイロットが米国製旅客機の飛行高度が下がって、テープによる「シンクレイト」と言う英語の警告が発せられても理解できずに地上に激突したのでした。JAL123便の修理は建築設計をしている私でも間違っていることがわかりました。ボーイングの修理ミスを監理しなければならない日航も見逃したのです。

投稿者 澤本孟士 : 2006年12月28日 10:36

ぼくはよく中華航空に乗るのでJALはぜんぜん安全だと思えます。

投稿者 KS : 2010年03月17日 16:26

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