体験情報の価値

先週後半は福岡出張後、福岡・八女の実家に立ち寄り、
さらに、「吉野ヶ里歴史公園」に足を伸ばしてみました。


「吉野ヶ里歴史公園」

同公園は佐賀県にありますが、実家からは車で40分の近さです。


「吉野ヶ里」といえば、
弥生時代の大規模な遺跡発掘現場として有名ですよね。

ただ、そこが歴史公園として整備されていることは
恥ずかしながら知りませんでしたし、
それほど歴史に対して強い関心があるわけではなかったので、
たいして期待してませんでした。

でも、行ってみたらなかなか良かったんですよ!


広大な敷地に点在する、復元された当時の集落跡。

物見櫓や竪穴住居、高床式住居などが、
合計で十数棟建てられており、なかなか壮観です。

以前、1棟だけの竪穴式住居などは見たことがありますが、
村として大規模に再現されていると迫力が違いますね。

「当時の暮らしはこんなだったんだろうな・・・」

などと、当時の様子がリアルにイメージできて
とてもわくわくします。


また、当時の建物が見られるだけでなく、集落の広場では、
弥生時代の服装をしたボランティアガイドの人たちが
焚き火をしています。

そして、集まってきた来客に串に刺した里芋を
ふるまっていました。

めいめい自分で、火にあぶって食べるのです。
ちょっと肌寒い日だったので、ほおばると
あったかくて甘くて、とてもおいしかったです。


おや、あちらでは、当時の素朴な機織り道具を使って、
植物を原材料にした布を織っています。

1枚の布を織るのにどれだけの時間がかかったんでしょう。

当時の農耕の道具として使われていた、
木製のすき、くわを作っているおじさんもいました。

さすがに、木を削る道具は現代の「かんな」を使っている
という、時代考証を無視した矛盾がありましたが(笑)


もちろん、同公園には、
発掘された土器などを展示してある展示室もあります。

また、なぜだかディスクゴルフのコースがあり、
無料で遊べるそうです。バーベキューができるエリアも
ありました。

今回は年老いた両親と行きましたので
どちらも体験できなかったですけど・・・


「吉野ヶ里歴史公園」は、名前は固いですが、
自然がいっぱいの広大な公園で開放感を味わえるし、
家族連れで来れば、歴史の勉強、加えて
誰でもできる軽いスポーツ(ディスクゴルフ)、
そして、みんなでわいわいいいながら楽しめる
バーベキューと、一日を満喫できそうです。

公園の近くには、「吉野ヶ里温泉」もあります。
車で5分ほど。こちらも入ってみました。

中は、いわゆる「スーパー銭湯」です。
本物の温泉に入れて、一人500円でゆっくりできます。
まだできて3年目でしたので、きれいで清潔でした。

今度来るときは、歴史公園で一日遊んで汗かいて、
温泉で汗を流してさっぱりのコースがいい感じです。

今度は自分の家族連れで来ようと思いました。


さて、上記に書いた私の「体験談」、
ちょっとライターっぽいわざとらしい書き方をしてますが、
吉野ヶ里の良さが多少は伝わったでしょうか。


一方、吉野ヶ里歴史公園のホームページを見てください。
なかなかよくできたサイトです。特に問題はありません。

しかし、私が紹介したような楽しさや面白さは
あまり伝わって来ないですよね。


なぜでしょう・・・?


情報は客観的で、かつ構造化、体系化されています。
ですから、情報のわかりやすさや検索性は確かに優れたものに
仕上がっています。

しかし、しょせんは、

・そこに何があるのか
・何ができるのか

といった「機能的な価値」しかほとんど表現されていません。

肝心の、

・そこにいけばどんないいことがあるのか(便益価値)
・どんな気持ちになれるのか(情緒価値)

は伝えようとしていない。

ただ、サービス提供者側がこうした、
ユーザーが本当に知りたい価値を伝えることは難しいですよね。

わざとらしいし、へたをすると自画自賛になってしまいますから。


だからこそ、ユーザーの体験情報に価値があるわけです。

ユーザーによる生の体験情報は主観的で、構造化も体系化も
されていません。でも、人それぞれながらも、何がよかったのか、
どんな気持ちになったかがちゃんと伝わる。

同じ立場のユーザーの共感を得ることができますよね。


カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYA)の
代表取締役社長、増田宗昭氏は次のようなことを言っています。
(日経情報ストラテジー、JULY 2006)

“僕が理解しているWeb2.0はこういうことです。
 今や世の中に食べたり見たりという体験情報が存在していますが
 実は消費者はこうした情報にこそ価値を置いています。(中略)
 体験情報が世の中を動かす社会になっており、それを実現する
 技術がWeb2.0だと思います。”


体験情報、これは要するに「口コミ」です。

ネット以前は、ごく近い存在の人たちからしか体験情報は
得られませんでした。

たとえば、直接「吉野ヶ里歴史公園」に行った話を聞ける人は
あなたの周りにそうはいないはずです。(笑)

しかし、私たち消費者は、ネットに行けば多種多様のあらゆる
体験情報があふれていることを知っています。


そして、この体験情報こそが、
最も「行動するかしないか(購入判断など)」に参考になる
役立つ情報であることも私たちはわかっていますよね。

投稿者 松尾 順 : 2006年10月05日 09:28

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