修学旅行の本質

元大手旅行会社のトップ営業マンとしてならしたIさん。
現在は関連会社で新規事業の立ち上げに関わっています。

Iさんは横浜地区の学校が担当でした。
学校営業の目玉は、なんといっても「修学旅行」です。

なんたって売り上げがでかいですからね。
もちろん、多くの旅行会社も修学旅行を狙ってきますから、
競争は激しい。

しかし、Iさんは、担当の横浜エリアで
長年にわたってダントツの強さを誇っていました。


その秘密を先日教えてもらいました。

Iさんによると、学校の信頼を得ることができたのは、

「修学旅行の本質」

を信念を持って説き続けたからだそうです。


「修学旅行の本質」とは、「主役が誰か」ということです。


修学旅行の主役は言うまでもなく「生徒たち」ですね。
しかも、修学旅行は生徒たちにとって一生に一度の
かけがえのないイベントです。

だとするなら、
生徒が一番喜んでくれる旅行企画を提案するのが正しいはず。

Iさんは、こう考えて、
校門の前で生徒にアンケートを取るなどして、
ベストの企画をひとつだけ提案しました。


一方、競合他社は、一度に何案もの提案をしてきていました。

たくさん提案すれば、
どれかは先生の目に留まるだろうという狙いです。

ただ、どんなにたくさん提案しようが、
主役の生徒たちのニーズはまったく反映されていません。

もちろん、生徒にアンケートを取るような会社は、
Iさん以外にはありませんでした。


修学旅行の主役は生徒とは言え、
実質的な決定権は先生にあります。

おそらく、競合他社の営業は、先生が気に入る企画を出せば
勝てると思っていたのかも知れませんね。

しかし、先生としては、生徒が喜んでくれるかどうかを
重視していたのです。(マスコミではいろいろと
ダメ教師の記事が掲載されますが、大多数の先生は誠実に
職務を遂行していますし、生徒の幸せを願っているものです)

だから、主役のニーズを反映させたIさんのベストな提案を
選ぶのは必然と言えました。


Iさんは修学旅行の中でも生徒がうれしくなるような
ちょっとした心配りをしていました。

たとえば、帰りの新幹線で出すお弁当。
そこには、「お疲れさまでした」というメッセージを
入れていたそうです。

もちろん、その分コストが上昇し目先の利益率は下がります。
しかし、こうしたことの積み重ねが、
リピート受注率をあげることにつながっていました。


Iさんの話を聞くと、
何事も「本質」をつかんでおくことの重要性がわかりますね。

コムスン会長の折口雅博氏の言葉でいえば、
ボーリングで10本全部倒すための「センターピン」が
何かをわかっているということです。

投稿者 松尾 順 : 2006年10月13日 11:28

コメント