香りのブランディング

以前、

「匂いのマーケティング」

で書きましたが、

鼻、つまり嗅覚器は、目や耳など他の感覚器と違って、
脳と直接つながっています。

このため、「香り」「匂い」は、
感情を引き起こす脳(大脳辺縁系)を刺激し、
理性的に考えることのない行動を喚起しやすいのです。


この効果は、以前から商売人はわかってました。
うなぎ屋さんや焼鳥屋さんは、店先でたれの焼けるいい匂いを
流して、通行人の食欲を刺激してましたよね。


最近は本格的に「香り」をビジネスに取り入れようという動きが
目立ちます。(日経MJ、2006/11/03)

たとえば、アウトドアブランドの「ザ・ノース・フェイス」では、
ヒノキの香りを流して、都会のオアシスの雰囲気を
醸し出しています。

2年前に改装した際に、エッセンシャルオイルを流す芳香器を
導入したそうですが、改装初年度で売り上げが前年比50%アップ。
現在も2桁増で推移。

香りのおかげで売り上げが伸びたかどうかを測定することは
難しいでしょうけど、店内の快適さの要因になっていることは
間違いないでしょうね。


また、銀座にある高級腕時計ブランド「フランク・ミューラー」
では、かなりきつめの、ツンとするオリジナルの香りを
流しています。

フランク・ミューラーは、創立14年の新興ブランド。

老舗の購入腕時計とのブランド差別化のため、
あえて、好き嫌いのはっきりする「香り」を店内に漂わせる。


「たる型のフォルムなど、前衛的なブランドイメージを
 来店客に伝える」

ワールド通商フランク・ミューラーブティック営業部、
奥野倫也氏は、このように説明しています。

「香り」がブランド構築の重要な一要素として
扱われているわけです。


さて、香りのマーケティング効果は、以前から経験的には
わかっていたものの、あまりビジネスには採用されてこなかった
ですよね。

日経MJによると、

「香りを構成する物質がどのように人間に作用するかの
 生理的・化学的メカニズムはほとんど未解明」
 (近畿大宮沢三雄教授)

という点が問題でした。因果関係がよくわからなくて、
効果測定もしにくいからということでしょう。


ただ、この問題も

「ニューロマーケティング」

の浸透によって、

どんな香りを流すと、脳のどの部位が反応するのか

といったことを詳細に把握できるようになれば、
大きな発展が望めそうな分野ですよね。

投稿者 松尾 順 : 2006年11月06日 10:26

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