命を賭けたデザイン 第2章:デザイン原器持ち出し計画

「ずいぶん複雑な構造だね・・・」

ひとみから渡されたS電機神奈川研究所の見取り図を見ながら、
ジョージはつぶやく。


「警備体制マニュアルはこれよ」

ひとみが渡してくれたマニュアルには、
デザイン原器の保管場所までに突破しなければいけない厳重なゲートや、
デザイン原器を取り巻く赤外線センサーの仕掛けが詳細に記されている。


「うーん、仕掛けがわかったからといって、それだけで仕掛けを
突破できるというわけじゃないねぇ・・・」

ジョージはため息をつく。
 
CIA本部でも通用するほどの知識とスキルを持つジョージでさえ、
S電機のデザイン原器を持ち出すのは簡単な仕事ではない。

しかし、彼は知恵を絞り、着々と準備を進めた。


「なんだって、デザイン原器を狙っているやつがいるらしいって?」

大友は部下の報告を聞いて大声を出した。

相手は、自称ITベンチャー社長の国枝丈治という男らしい。
大友は、早速、尾行者をつけて行動を見張るよう指示する。


「ひとみとあいつが付き合っているとは信じられない・・・」

尾行者からの報告をうけて大友は落ち込む。

よりによって、デザイン原器を盗もうとしている奴と、
ひそかに心を寄せている部下の女性が付き合っているとは・・・

もちろん、大友は、ひとみの職場での動きの不自然さには
以前から気がついていたのだったが。

(続く)

投稿者 松尾 順 : 2007年01月02日 23:16

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