欲望解剖

今、マーケティングの最先端の研究は、

「ニューロマーケティング」

でしょうか。

「ニューロ・・・」という語感のためか、
かなり怪しい響きがしますが別に怪しいものではございません。


ニューロマーケティングは、
脳神経科学(ニューロサイエンス)分野の成果や、同分野で
使用される機器(fMRI:機能的磁気共鳴画像法など)を活用して、
消費者の心理・行動の背後で、脳がどのような反応を示すのかを
明らかにしようとするものです。


ちなみに、私も昨年10月に

「ニューロマーケティング:コークvsペプシ」

という記事を書いています。


また、この研究に関連する他の分野としては、

「ニューロサイエンス」
「行動経済学」

などがありますので、
ご興味のある方はこちら方面も当たってみられると
いいかと思います。


とはいえ、ニューロマーケティングについては、
まだまだ日本語の文献は少ないのですが、
まったくの初心者の方の入門書として紹介したいのが次の本です。

「欲望解剖」
(茂木健一郎、田中洋、
 電通ニューロマーケティング研究会編、幻冬舎)


本の題名はやはり怪しい(笑)ですが、
専門書ではありませんし、読みやすく書かれています。


本書で、茂木健一郎氏は、

人が「欲望」を感じている時、脳内では「ドーパミン」が出ている

ということを教えてくれています。


「ドーパミン」は、

「脳内麻薬性物質」

と呼ばれることもありますが、
脳が気持ちよくなる、つまり快楽を感じさせてくれる物質です。


そして、人が何かにはまる(=中毒になる)ということは、
ドーパミンをより多く放出する神経回路が強化されるから
なんですね。

たとえばビールが大好きな人は、
ビールを飲むとドーパミンがドバっとでる。気持ちいい。
だからもっとビールが欲しくなるわけです。

ビールの場合、もともとアルコールという習慣性のある物質が
含まれていますから、行き過ぎると、本当の意味での中毒に
なりますよね。


でも、中毒の対象は、アルコールに限りません。

高級ブランドや有名タレント、音楽、マンガ、何だろうが、
人が何かに熱中している時、脳内ではドーパミンがドバドバ
出ているというわけです。


ですから、マーケティングの課題を神経科学的に再定義すれば、

「どんな製品やコミュニケーションであれば、
 人にドーパミンを放出させ、中毒にさせることができるか」

ということになるのかもしれません。


しかし、この表現はかなりヤバイですよね。
ニューロマーケティングにおける倫理についても
一緒に考えないと・・・!

投稿者 松尾 順 : 2007年02月13日 14:58

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