これから何が起こるのか(13)顧客サービスの深まり

ネット上の安売りで知られたPCサクセス。
先日、あっけなく倒産してしまいました。


同社はカカクコムで比較すると、
ほぼあらゆる商品で常に「最安値」でした。

実は、あれはプログラムで自動化されていたんですね。
他社が安い価格を出してきたら、すぐに追随して
さらに安い価格に書き換えるようになっていたそうです。


最初は手作業だったけれど、取り扱いアイテムが増えて
作業が追いつかなくなったのが自動化した理由。

しかし、この自動化のために、
利幅の薄い商品では、仕入値よりも売値が安くなる、
要するに赤字で売ることも多くなりました。

まあ、倒産するのは当然の結末でしたね。


このように、ネット革命の影響で「価格競争」は
極端なところまでいっちゃってるわけですが、
振り子が一方に振り切ったら、もう一方に戻り始めるように、
これからはリバウンドが起こります。


田坂氏は、価格だけで勝負するサービスを

「コスト・サービス」

の競争と呼んでいます。


そして、この「コスト・サービス」がリバウンドする方向は、

「高付加価値化」

をめぐる競争になります。


具体的には、

「ナレッジ・サービス」

です。


例えば、ネット証券では、当初「手数料の安さ」、すなわち
「コスト・サービス」での競争を繰り広げてきたわけですが、
近年は、証券アナリストによる株価分析や市場予測など、
最先端の知識を顧客に提供することで、

「ナレッジ・サービス」

への転換を図るところが出てきていますよね。


ただ、「ナレッジ・サービス」が終着点ではありません。

その先にあるのは

「マインド・サービス」

です。


これは、田坂氏の挙げる例では、

将来に不安を感じている高齢者向けに、
安心感と信頼感を持てる細やかな心配りのサービスを提供する、

「シニア・コンシェルジュ」

のサービスがあります。


では、このような「顧客サービスの深まり」において
重要なのは何でしょうか?

マインド・サービスは、人が登場して動画で商品を説明する
といったことでもある程度実現できます。


しかし、最終的には、顧客接点(コールセンターなど)のスタッフ
として、ホスピタリティ(気配り力とでも訳しますか)の高い人材
をどれだけ多く採用でき、また、育成できるかということに
なるんじゃないでしょうか?


いくらネット時代とはいえ、なにもかも

「バーチャル化」や「セルフサービス化」
(この発想には、ユーザーに自分でやってもらって、
こちらは楽して儲けようという甘い考えが隠れています)

では済まないのです。


ちなみに、ネット証券の雄、「松井証券」でも、
すでに「マインド・サービス」への取り組みを始めていますね。

昨年書いた下記の記事を参考になさってください。

●人間くさいネット証券

「これから何が起こるのか」
(田坂広志著、PHP研究所)

投稿者 松尾 順 : 2007年03月07日 06:50

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mindreading.jp/mt/mt-tb.cgi/435

このリストは、次のエントリーを参照しています: これから何が起こるのか(13)顧客サービスの深まり:

» cooperspicks.co.uk from cooperspicks.co.uk
デイリーブログ『マインドリーダーへの道』 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2013年07月09日 12:31

» pugs not drugs from pugs not drugs
デイリーブログ『マインドリーダーへの道』 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2013年07月10日 21:05

» limazilescu.bravesites.com from limazilescu.bravesites.com
デイリーブログ『マインドリーダーへの道』 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2013年07月29日 14:50

» why not try this out from why not try this out
デイリーブログ『マインドリーダーへの道』 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2013年12月05日 19:50

コメント

コメントしてください




保存しますか?