旭山動物園の必然(5)14枚のスケッチ

旭山動物園復活の契機となったのは、
1997年(平成9年)の「こども牧場」の誕生です。

実に16年ぶりに旭川市が計上してくれた予算で、
ようやく作れた待望の新施設でした。


「こども牧場」は、
こどもたちが、小動物(うさぎ、やぎなど)と触れ合える施設。

従来の動物園のように、檻で隔たれた動物たちを遠くから
眺めるのでなく、人と動物たちの距離をできるだけ近くして、
てざわりやにおいなども含めた5感で「命」を実感させることが
狙いでした。


旭山動物園の復活の軌跡をドキュメンタリー風に描いたドラマ
(06年にフジテレビで放映、現在はDVD化されてます)

「奇跡の動物園~旭山動物園物語~」
(出演者:山口智充、戸田恵梨香、津川雅彦、伊藤四朗など)

は、ご存知ですか?

このドラマでは、全編を貫く「基本メッセージ」として
次のような言葉が出演者たちによって語られます。

「命ってね、あったかいんだよ!」


「こども牧場」は、まさに、「命のあったかさ」を
感じることができるものだったわけです。


そしてその後、次々と新設された施設もまた、
動物の生き生きとした「命」をできるだけリアルに感じさせる
工夫がこらされたのですが、その実現の元になったのは、

「14枚のスケッチ」

でした。


旭山動物園の人たちは、低迷期にあってもめげることなく、

「理想の動物園とは?」

についてとことん議論を戦わせました。

その結果を絵の得意な飼育係(現在はプロの絵本作家)が、
手書きのスケッチにまとめていたのでした。


この14枚のスケッチには、前述の「こども牧場」だけでなく、

・ととりの村(こども牧場と同年にオープン)
・もうじゅう館(1998年オープン)
・ぺんぎん館(2000年オープン)
・ほっきょくぐま館(2002年オープン)
・あざらし館(2004年オープン)

などの人気施設の原型が描かれています。

つまり、描かれた当時は、おそらく叶わぬ夢物語にしか
思えなかったであろう「理想の動物園」が、着実に現実化
していったのです。

そもそも、16年ぶりの予算がついたのも、
当時の市長に対して、この14枚のスケッチを見せながら、
熱く「理想」「夢」を語ったことがきっかけなんだそうです。


なんというか、

「どんなときだって夢や理想を失なってはいけないんだ」

とじーんとくるものがありますよね。


ちなみに、旭山動物園の小菅園長が7月26日(木)、
東京で講演(夕学五十講)されます。

道外での講演は基本的にお断りされているらしく、
この機会を逃したら、関東の方は、当分生の話は
聞けないでしょうね。


ご興味のある方は、下記サイトをご覧になってみてください。
もちろん私は申し込み済みです!

→夕学五十講

投稿者 松尾 順 : 2007年04月26日 15:19

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