失速するメッセージ

某携帯電話会社から昨日届いたメルマガ、
冒頭の前振り文は次のようなものでした・・・

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夏到来! 大きな口を開けて笑っているみたいな太陽を見上げて、
わんわんとうるさいほどのセミの声を聞くと、思わず歌っちゃう
歌はありませんか? 暑いからってふーふーいっているだけでなく、
夏っぽい歌を口ずさみながらリズミカルに過ごしたいですね。

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この装飾過剰な形容詞に彩られた大袈裟な文章は、
メルマガ業務を請け負っているプロダクションが制作したもの
でしょうけど、いまだ夏を感じさせない天候不順が続く昨今、
この文章に共感を覚えた人は果たして何人いたのか?


効率向上のための業務の仕組み化で、
失われる細やかな心配り。失速するメッセージ・・・

大企業が、顧客と心を通じ合わせるのは
なんと難しいことでしょう。

投稿者 松尾 順 : 2007年07月28日 09:33

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コメント

メルマガの場合は、専門のライターさんじゃなく、営業が片手間に書いてしまうケースも多く見られるようです。ビジュアルによるイメージの補完が期待できないテキストのみの場合が多いからこそメルマガのテキストは専門のライターさんに書いてもらうべきだと思うのですが、どうもそういう具合にはいかないようで・・・

投稿者 sopiez : 2007年07月30日 11:34

中堅クラスの企業くらいまでは、メルマガも内製が多いでしょうから、社内担当者が片手間で書くこともありますね。

でも、担当者の「地」を出して素人っぽく書くのは、それはそれでOKでしょう。逆に、中途半端にプロの真似をすると失速しますね。

ご指摘のとおり、メルマガもプロが手がけるのが理想ですが、なにぶん予算が限られている企業がほとんどなのが現状です。

投稿者 松尾順 : 2007年07月30日 11:43

「専門のメルマガライター」でも、職業ライターでもない(うーん、最近そうかも)ですが、お世話になっており企業さんのメルマガのライティングを依頼されることがあります。
内製だとすぐに直せる、冒頭の「季節の挨拶」も、外部からだと何度かのチェック工程が入るので、その間に気候などが変わってしまうこともあります。
この例のメルマガのライターは、もしかすると「配信の時期には梅雨がカラッと明けているかも!」と推測したのかもしれません。
私の場合は、特に今のような時期には「全国的に天気悪いバージョン」「”関東地方では”的地域限定バージョン」や先が見えない時のために「天候と関係ない話題バージョン」など3パターンぐらいを書いて納品しています。配信直前に差し替えてくださいという注意書き付きで。
もし、外部のライターだったらそれぐらいの配慮は欲しいところですね。

投稿者 金森努 : 2007年08月01日 14:19

金森さん、まいど!

さすが、金森さんはきめ細かい配慮をしてるんですね。

ただ、そもそも全国に読者がいるメルマガの場合、
なるべく気候の話題は避けるべきだと最近は強く
感じてます。

なぜなら、たとえ、「関東では暑くなってきましたね」
などと地域を限定した表現だとしても、他の地域の人に
とっては他人事に聞こえて、面白くない、共感できない
からです。

天候の話は無難で、手間のかからない楽な導入方法
ではありますけどね。

もちろん、天候の話以外を導入に持ってくるためには、
常日頃からコネタを地道にストックしておく努力が
ないと厳しい・・・

投稿者 松尾順 : 2007年08月01日 14:38

うーん、確かにそうですね。
毎回松尾さんのメルマガの”小ネタ”は”小ネタ”を超越しているのですごいなぁと感服しています。
・・・でも、天気の話って、好きなんですよね。クライアントは。
時候の挨拶から入るって、通常のお手紙感覚からいい加減脱却して欲しいものです。
そうすれば、こちらも全国の天気とにらめっこすることから解放されるのですが。
(ちなみに、本日配信の某メルマガ、”関東地方の遅い梅雨明け”が的中。って気象予報士か。おれは。  まぁ、”大きな口を開けて笑っているみたいな太陽”とは書きませんでしたが)。

投稿者 金森努 : 2007年08月02日 05:46

クライアントが、天気の話が好きというのはよくわかりません。やはり、誰にも刺されることのない、「無難なネタ」だからということでしょうかね。

投稿者 松尾順 : 2007年08月02日 09:48

「無難」なのと、手紙の冒頭には「時候の挨拶」が入っているべきという固定観念でしょうね。
今度、短いけれどパンチの効いた冒頭文、提案してみたいと思います。

投稿者 金森努 : 2007年08月02日 11:05

メルマガを外注しているところは多いと思いますが、
お客様への挨拶部分くらいは、会社の人間が書いてくれていて、そのことがわかるつくりになっていると、読み手としてはうれしいなぁと思います。

・・・って自分の所属する事業部から発信しているメルマガについて聞いてみたら外注さんでした。そして、やっぱり天候の挨拶から入ってました。

コメント欄を見ていると、「天候」の挨拶はクライアントは無難だと思っているかもしれないけれど、これって得るものは少ない割りにリスクはあるような。しかも真剣に考えると事前に3種類用意して手前に差し替えを考えたりしなければならないと、「お手軽」でもない。なんだかなぁ・・・。

(私のように、殆どの人は読み飛ばすものと思ってるんでしょうか?たしかに松尾さんのようにいろんな所まで目が行き届いている人は少ないでしょうが、その人達こそが良いお客様だと思いますけどね。)

ちょっと事業部の人にこのあたりの話をしてみたら「(今は外注まかせだけれど)自分が書くなら季節の花言葉なんてどうかなぁ」って言っていましたが果てさてどうなることやら・・・。

投稿者 はぐれヲタ : 2007年08月13日 18:07

コミュニケーションをするときは、常に、自分が相手の立場に立ったとき、どう感じるか、理解するかを考えるのが必要ですよね。(自分がいつもうまくできているとは思いませんが)

例えば、「今日は暑いですね」と冒頭に書き出した時、仮にメルマガの読者がアラスカに住んでいたとしたら、どう思うかです。この場合も、編集後記で、今日の東京は暑かったです、と個人の感想を書くのなら問題ないと思います。

こんなレベルまで考えることができなければ、そもそもメルマガの類は出さないほうがいいんじゃないでしょうか。

投稿者 松尾順 : 2007年08月13日 23:02

侮っていましたが意外と奥が深いです、天候の挨拶。
タイミングの問題は解決できてないのですが「細かいことが気にならない程の内容を示す」のは1つの解決かもしれません。

▼1週間前は
「天気の挨拶に意味があるのか」と思っていたのですが、
それからいろんな人のブログなどを見ていると、
うまい人(金森さんなど)は、
いろんな教養と組み合わせて
天候の話だけでも楽しめる内容にされていました。

「和歌」の引用があったり、「花の写真」があったり
「行事」や「過去の出来事」の話をしたり。
読み手を楽しませようとする心があれば、何でも工夫できるという例を見た気がします。


▼言われてみれば
昔は「恋」についで季節の移り代わりが歌の主題だったのですから
日本人がまず季節の話から挨拶を始めるのは
DNAレベルで刷り込まれているのかもしれませんね。


▼・・・の割に、Amazonでその手の本を見つけると
上で挙げたような「知恵」が纏められたものは少ないです。

「時候ではじまる手紙・メール―文例600!」とか
「古代日本の四季ごよみ」くらいでしょうか。

もっと研究しがいがあるテーマだと思うし、
需要がないとは思えないのですが。

投稿者 はぐれヲタ : 2007年08月21日 11:03

なんのために時候の挨拶から入るのか?

おそらく、個人的なつながりを確かめるためでしょう。
時候の挨拶から、相手を気遣う言葉につなぐのは、
相手に対する自分の気持ちを届けるため。

逆に、ビジネス上のeメールで、
時候の挨拶が省略されるのは、ビジネスそのものの話を
する上で個人的なつながりを毎度確認するまでもないから
ですよね。

なんにせよ、自分の気持ちが届くかどうかが大事。
時候の話が無難だからという安易な判断で利用するのは
避けるべきだと思います。

投稿者 松尾順 : 2007年08月21日 14:06

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