「業界基準」がユーザーを失望させている事実を認識せよ!

創刊号から愛読している有料メルマガ

『ビジネス知識源プレミアム』

の最新号(07/10/10)で読み流せないことが書いてありました。


同メルマガ作者の吉田繁治さんは、
先日5代目となるノートPCを買ったそうです。

散々迷った末に選んだのは、

東芝ダイナブック(RX1/T8A:07年秋・冬モデル)。

もちろんVista搭載、メインメモリは1.5ギガに増設。
もろもろ含んで出費は約30万円。


同機種選定の理由は、

(1)11時間もつ電池
(2)軽さ(1090g)
(3)薄さ(19.5mm)

でした。


実際に購入してみて、吉田さんは

「軽さ」と「薄さ」

には満足されているようです。

しかし、

「電池の持ち時間」(バッテリー駆動時間)

に問題がありました。


カタログ(広告)では、
同機種は「11時間駆動」とうたわれているにも関わらず、
フル充電後に電源プロパティを見ても、

「残り3時間30分(100%充電)」

としか出ないのだそうです。


変だと思った吉田さんは、購入したヨドバシカメラ梅田店を
通じてメーカーに問い合わせてもらったところ、

「規定の測定法で計ったもので、変ではないそうです」

という答えが返ってきました。


それにしても、

「11時間」と「3時間半」

ではあまりにも違いすぎですね。

吉田さんだけでなく、私もおかしいと思います。
また、同様のことを言ってきたお客さんが他にもいたようです。


「11時間駆動」が購入の決め手だったのに、
吉田さんはがっかりされています。

そして、東芝さんに対して、次のように訴えています。

“ダイナブックさん、ノートブックのイノベーターとして
 「他に先駆けて」カタログ・インフレーションを
 消すため頑張ってください。簡単なことです。”


おそらく、吉田さんは、6代目のノートPCとして
ダイナブックを再び選択する可能性はほとんどないでしょう。

しかも、吉田さん自身のメルマガや、
それを読んだ私がこうして記事に書いているように、
ネガティブな口コミを招く結果となっています。


さて、東芝さんからの回答にあった

「規定の測定法」

というのは、

「JEITAバッテリー動作時間測定法(Ver.1.0)」

のことです。


「JEITA」は、

(社)電子情報技術産業協会

という電子機器・電子部品の業界団体です。


この業界団体が定めた「業界標準の測定法」
に準拠したものですから、11時間駆動は、

「虚偽表示」

ではもちろんありません。


東芝さんとしては、

「当社は何も悪くありません」

と言いたいところでしょう。


しかし、「業界基準」に忠実に従うことで、
ユーザーの失望を招いてしまうケースがあること、
それが結果的に

「顧客流出」

につながるという事実は認識されているのでしょうか。


東芝さんに限りませんが、
企業は、もっと顧客に誠実に相対し、

「顧客の実感」

を大切にすべきでしょう。


蛇足ながら、現在私が使用しているノートPCは

「パナソニック・レッツノート」

です。購入したのは9カ月ほど前。

バッテリーの駆動時間(カタログ記載値)は、
フル充電で「7時間」ほどだったと記憶しています。

私は、バッテリーの寿命を延ばすため、
80%の充電しかしないエコノミーモードにしていて、
残り時間は「4時間強」と電源プロパティに表示されます。

まあ、このぐらいのズレなら許容範囲ですね。

しかし、同じ業界標準の測定法を採用しているのに、
メーカーによって測定値と実測値のズレが大きく異なる
のも変な話です。


また、レッツノートの前は、
ダイナブックの軽量・薄型初代機をずっと愛用していました。
(今でも自宅で現役です)

この機種は6年ほど前に鳴り物入りで登場したんですが、
当時から、最新機種とほぼ変わらぬ軽さと薄さを実現しており、
私も迷わず飛びついたのです。

過去1度も故障することもありませんでしたし、
信頼できるマシンではありました。

ただ、バッテリ-が持たないのがさすがにつらかった。
(せいぜい3時間程度・・・)


そこで、レッツノートに買い換えたというわけです。
(その時点では、まだダイナブックのバッテリー駆動時間は
 レッツノートには勝てませんでした)


さて、よく考えてみると、
吉田さんが購入したダイナブック最新機種の
バッテリー駆動時間の実測値は、
マシンの性能が違うとはいえ、
6年前の私のマシンとあまり変わらないわけです。


やはり、

「いったいどうなってるんだ?」

と、声を上げざるを得ませんね。

投稿者 松尾 順 : 2007年10月12日 10:53

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コメント

松尾先生、ご無沙汰して居ります。

Look4Wieck.comの者です。←地道に作っております。コンテンツが不整備なので、お客様がいらっしゃらないのは、不幸中の幸いです。

私も購入したMacBookで似たようなことがおこりました。6時間持つはずが、3時間としか表示されませんでした。システムプロファイラで確かめても、なんの問題もないので、おかしいなと。試行錯誤した挙げ句、起動後、なにもせずにしておいたら、ちゃんと6時間強の表示。。。

3点の問題があると思います。

・http://it.jeita.or.jp/mobile/pdf.htmlが、通常の使用条件とは言いがたい

・とは言え、通常の使用条件を規定するのは、結構、難しい

・では、メーカーは、その点でほおっかむりをして、「規定通り」ですといっていいのか?


自分のケースでは、emobileとFirefoxが必須なので、3時間ちょっとと考えています。それもFirefoxでタブをいくつも開けると、結構数値が減って行きます。この程度なら、測定条件の変更も簡単そうですが、セキュリティソフトの常時監視その他、最近いろいろバックグラウンドの処理を要求するソフトも多いので、実際、公の規定は難しいかなと。

とは言え、「なんでーー!」と使い手が思うのも当然で、このあたり、「まー普通に使用すれば、半分程度じゃないの?」といった情報が広まればいいのかなと。
私も周囲のマックユーザに聞いてみて、納得しましたし。

持ち時間は結構重要なことなので、そこを隠さずに行けるメーカーならば、規定数値と参考までの自社数値を共に表示する方が信頼が増すと思われます。文書にしたくなければ、店頭員の説明やブログだけで流すという手もあるでしょうし。

*****

車の燃費モードも同じ問題を抱えていますね。街中と高速では全然違うので、公式燃費情報通りには行かないのが実情でしょう。しかし、切実な問題なので、ネットを見れば、街中走行だけでリッター何km、高速だけならリッター何kmといった情報はネットで割と簡単にでてきます。(CGMの車のレビューでも、大概書いてあります。)

ノートブックPCの場合、この情報がちまたにかけているのが問題なのかも知れません。

投稿者 SergejO : 2007年10月12日 12:38

やーども。ご無沙汰してます。

>Look4Wieck.comの者です。←地道に作っております。コンテンツが不整備なので、お客様がいらっしゃらないのは、不幸中の幸いです。

こら、言い訳しない!(笑)

ところで、クルマの燃費の問題も同様でしたね。

「話半分」とよく言いますが、実測値が、カタログ値の半分までが笑って許せる範囲でしょうか。11時間が3時間半ではあまりに違いすぎです。

ご指摘のとおり、実測値(経験値)がユーザーの声として出回っていればいいのは確か。しかし、メーカー(業界)としてできることがあるはずです。誤解や失望を招かない策が。

投稿者 松尾順 : 2007年10月12日 12:45

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