引いたら視聴率が落ちちゃった話

『踊る大走査線』『海猿』で知られる、フジテレビの
映画プロデューサー、亀山千広氏が、『ロンバケ』など、
月9のTVドラマを手がけていた頃の話です。


90年代以降、テレビは大画面化が進みました。

それまで、お茶の間に置いてある、家族みんなで見るテレビは、
せいぜい20インチ程度の大きさでしたが、30インチ、40インチ
の大画面テレビが普及していったのです。


フジテレビでは、この大画面化に合わせて、
TVドラマの制作方法を変えることにしました。

大画面で見ると、アップの映像は圧迫感があるため見苦しい。
そこで、ちょっと引き気味で撮影したのです。


ところが、そうすると月9の視聴率がどんどん低下していった。

この視聴率が低下した理由は、
視聴者の家庭内の状況を知ることでわかりました。


お茶の間に大画面テレビが入ると、
それまで使っていた小さいテレビは子供部屋に移されます。

月9のようなTVドラマは、
そもそも、あまり家族団らんで見るものではありません。

自分の部屋で、一人で見るのがしっくりきます。


つまり、テレビの大画面化が進んでも、
TVドラマは相変わらず20インチ程度の小さい画面で
見られていた。

そうすると、引き気味の構図では見にくい。
その結果、視聴者が減ってしまったのです。

このことがわかったフジテレビでは、
制作方法を元に戻したところ、視聴率の回復に成功したそうです。


情報を伝える「メディア」のちょっとした物理的制約が、
消費者の行動にいかに大きな影響を与えるかということが
わかる話ですよね。

投稿者 松尾 順 : 2007年10月13日 07:43

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