いびつな協調性-「KY」を恐れる心

臨床心理士であり、
心理カウンセリング関連の著作で知られる

諸富祥彦氏(明治大学文学部 教授)

によれば、現代の若者の行動には、

「いびつな協調性」

が見られるそうです。


特に男子学生同士の間でそれは顕著です。

彼らは、

「KY」(空気が読めない)

を極度に恐れており、友人から

「お前はKYだな」

と言われないことに命を懸けているらしい。(笑)


また、ゲイだからというわけではないと思いますが、
ペアルックを着てくる男子学生がいるそうです。

そして、彼女よりも男友達の方が大切。

友人の交友関係を気にして、
携帯のメールをこっそりチェックするとか。

自分以上に親密な友人が他にいるかもしれない・・・
と心配なのです。


まあ、これはかなり極端なケースだと思います。

しかし、過去数十年、
欧米に習って個人主義が志向されてきたはずの日本で、
再び、昔ながらの

「日本的集団志向」

に大きく振り子が戻っているように感じるのは、
私だけではないようです。


さて、諸富氏が示した「いびつな協調性」、
すなわち、過度に相手に合わせようとする行動は、
TVプロデューサーのおちまさと氏が発見した

「鉄板病」

の症状に他なりません。


「鉄板病」とは、常に

「正解ゾーン」

にいることにこだわる病気です。

言い換えると、

「ハズしたくない」「間違いたくない」

という思いに囚われていること。


この結果、

「過度に多数側にいる」

ことを志向します。

そして「予定調和」を好み、
場の雰囲気を壊すことをできるだけ避けようとする。

また、世の中の常識や通説、
多数派の意見を鵜呑みにするため、

「思考停止」

に陥りがち。


おちまさと氏は、
こうした鉄板病に罹った人たちが増えてきたことに
警鐘を鳴らしています。

私も、従来の日本社会に見られた、
ウチとソトを厳密に区別し、ルールも使い分ける

「閉鎖的な集団行動」

を過度の協調性が再び強化し、
社会をよりよいものにしていくために必要な
異端なアイディアや創造性、そして
現状を変えようとする意欲を阻害するのではないか
と心配しています。


それにしても、なぜ、

「鉄板病」

はこれほどまでに勢力を増してきたのでしょうね・・・?


『鉄板病』
(おちまさと著、NHK出版)

投稿者 松尾 順 : 2007年11月14日 10:59

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