女は狩りに出よ!男は自分を磨け!・・・「婚活」時代

私は20代の頃から、勤め先の会社以外の
外部の様々な集まり(異業種交流会や趣味系サークルなど)
に顔を出してきました。


さて、こんな私が最近特に気になって仕方がないのが、
外で出会う人たちのうち、実に多くの魅力的で妙齢の女性、男性が

「独り身」

でいることです。


こうした独身の人たちの中には、

「私は結婚はしない」

という主義の人もいます。

でも、ほとんどの人は、

「いい人がいたら結婚したい」

と考えているのです。


『「婚活」時代』
(山田昌弘著、白河桃子著、ディスカヴァー携書 21)

は、そんなひとたちのために役立つ内容となっています。


「婚活」とは、‘結婚活動’の略です。
‘就職活動’を「就活」と略すことに倣っています。

この本では、就職活動と同様、現代においては
積極的な結婚活動を行わなければ結婚に至らないという
基本認識があります。


就職活動について言えば、
以前は、職業の選択の自由がほとんどなく、
だからこそ逆にほとんどの人がなんらかの仕事に
就いていました。

また、周囲(教授や親戚縁者など)の斡旋を通じて
就職することも一般的でした。

ところが、就職市場が自由化され、
選択の自由が与えられた結果、皮肉にも、
働く側と雇用する側のマッチング(すりあわせ)が
必要となり、就職活動の如何によって仕事を得る人、
得られない人が出てくるようになったのです。


結婚についてもほぼ同じことが言えます。

以前は、親が決めた相手(いいなずけ)と結婚することが
一般的でしたし、また世話好きの「仲人おばさん」などから、
半ば強制的に結婚相手とお見合いさせられるということも
あったわけです。

おかげで、ある程度受身でも、
ほとんどの人が結婚できていました。


しかし、近代においては、「恋愛」と「結婚」が分離し、
結婚の自由化が進んだことによって、やはり就職と同様、
男女双方が主体的に選択しあう関係となりました。

しかも、結婚をするに当たっては、
以前よりも価値観やライフスタイルが多様化したため、
「結婚」についての双方のすり合わせが重要になりました。


このため、

「結婚活動」(婚活)

をがんばって行わなければ、
なかなか結婚できなくなってしまったというのが
現状なのです。


『「婚活」時代』では、
具体的な婚活の方法が詳しく解説されていますが、
男女それぞれが取るべき基本方針(戦略)は次の通りです。
(私の個人的な解釈も含まれている点ご注意!)

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・女性は狩りに出よ!

 昨今の男性は「待ちの王子様」です。
 また、自分のプライドが傷つくのが怖い
 「ガラスの王子様」でもあります。

 待っていても、なかなか声をかけてくれません。
 気になる男性がいたら、自分から声をかけ、
 セッティングしましょう。

 そして、自分好みの「男性」へと教育しなさい。
 (最初から魅力的な男性を見つけようとするのではなく、
  恋愛ベタな男性の中に、あなたにとって最高の男性と
  なり得る原石が見つかるかもしれません)


・男性は自分を磨け!

 女性から選んでもらうために重要なのは、
 経済力とコミュニケーション能力。

 経済力、つまり「稼げる能力」を高める努力、
 そして、「外見」を含めて女性との適切な付き合い方
 を学ぶことが必要です。

 なお、最近は経済的に自立している女性が、
 あまり経済力のない男性を選択するということも
 増えてきているようです。

 したがって、男性にとって「経済力」が、
 結婚相手を見つける上で、なくてはならないものとは
 必ずしも言えないかもしれません。

 むしろ、不潔な格好をしているとか、
 NGワードを会話で連発するようなコミュニケーション
 能力のなさの方が問題だと思われます。

 ただ、経済力と異なり、
 コミュニケーション能力は比較的短期間で
 高めることができますので、男性はまずこちらから
 着手すべきかなと思います。

-----------------------------------------


現代社会の結婚状況や、
詳しい「婚活」の方法について関心のある方は、
ぜひこの本を読んでみてください。

構成もよく練られていて、
本としての完成度の高い内容ですよ。


『「婚活」時代』
(山田昌弘著、白河桃子著、ディスカヴァー携書 21)

投稿者 松尾 順 : 14:03 | コメント (2) | トラックバック

顧客の声の掘り下げが使える情報を生む

カスタマーセンター(コールセンター)に
寄せられたお客様からの感謝や意見、要望、苦情等は、
活用する価値のある貴重な情報です。


だからこそ、コールセンターに蓄積された

「テキストデータ」(いわゆる生の会話、自然文のデータ)

から、サービス改善や新商品開発に使える新たな「知見」を
取り出すための

「テキストマイニング」

に対する注目も高まっているわけです。


ただ、カスタマーセンター内に
本当に使える顧客情報が豊富にあるのかというと、
必ずしもそうではありません。

単にお客さんが電話してきた用件を忠実に記録しただけでは、
価値ある情報とはなりえないことが多いのです。


例えば、カルビーのお客様相談室には、

「○○がおいしかった」

という「感想」を伝えるだけの電話が、
多数寄せられるそうです。

従来、同社のオペレーターは、
こうしたお客さんに対して感謝の言葉を述べるだけで
通話を終えていました。


しかし、

「○○がおいしかった」

といった表面的な気持ちを記録しただけのデータ
をいくら集めたところで、

「人気度ランキング」

には使えても、それ以上の活用が不可能です。

商品改良のヒントや新商品のアイディア創出には
まずほとんどつながりません。


そこでカルビーでは、

「なぜ、わざわざ電話をかけてくれたのか?」

といった理由をうまく聞き出すための対応表を作成し、
オペレーターが顧客の声を深堀りする対話を行うように
しました。

これには、トヨタ流改善活動にヒントを得た

「なぜなぜ5回」

の手法を応用しており、「なぜ」を繰り返しながら、
顧客の表面的な言葉の奥にある本質的な問題や原因を
あぶりだすことを狙ったのです。


具体的には、上述の

「○○がおいしかった」

というお客さんの声に対しては、

「何がお気に召しましたか?」

とオペレーターが突っ込んだ質問をすることで

「その商品のどんな点を評価したからおいしいと感じた」

という「原因と結果のセット」の情報を蓄積することが
可能になっています。


こうした深堀りする質問は、
マーケティングリサーチにおけるインタビュー技法や
コーチングなどでも重視されますが、
カスタマーセンターに勤務する多数のオペレーターが
マスターするのは簡単ではありません。

カルビーでは有志による勉強会を開催して、
顧客の声の掘り下げに有効な対応を工夫しているそうです。


コールセンターに限りませんが、
企業に対して最初に届くお客様の声の多くは、

「結果」「事実」「行動」

を述べているだけの場合が多いのです。

ですから、企業側からさらに深堀りする質問をして、

「原因」「感情」「背景」

などを上手に引き出していくことが必要なんですね。


*カルビーの事例は、

 『日経情報ストラテジー』(SEPTEMBER 2008)

 を元にしました。

投稿者 松尾 順 : 12:59 | コメント (1)

サービスだけでは勝負できない

大手量販店に、

「価格」

では太刀打ちできない中小小売店は、

「サービス」

で勝負するしかない、と言うのは、
中小相手のコンサルタントの常套句です。

確かにおっしゃるとおりではありますが、
現実はそう簡単ではありません。


価格ではなく、サービスを優先して
購入先を決める消費者はそう多くはないからです。

やはり、ほとんどの人は、
目先の購入時点での価格が安いほうがいいわけです。

購入後に受ける「未来のサービス」を考慮した上で、
高い値段を受け入れてくれる奇特な人はまれでしょう。


実際、九州地盤の「ベスト電器」(業界7位)は、
「サービス」を強みにしており、「価格」については
強気の水準で設定していましたが、本土から進出してきた
ヤマダ電機やヨドバシカメラの安値攻勢に押され、
このところ厳しい状況が続いています。

(日経MJ、2008/07/28)


既に一般消費者には、

「ベスト電器は高い」

というイメージを持たれてしまっているため、
店頭での価格交渉が可能にも関わらず、
値札を見たら、さっさと帰ってしまうお客さんが
多いそうです。(その後はヤマダ電機などに足を
運ぶのでしょうね)


電器製品のように、どこで買ってもモノ自体の価値が
変わらない場合、やはり「サービス」だけでなく、
「価格」でも勝負できなければ話にならない
というのが真実でしょう。

逆に、価格で大手に対抗できるなら、
大手にはできない

「キメ細やかなサービス」

が大きな強みとなります。


この点で、中小電器店を糾合し、
購買力(バイイングパワー)を大手並みに高めることに
成功した

「アトム電器チェーン」

の取り組みは注目に値します。


アトム電器チェーンに加盟する全国の電器店は、
現在510店舗です。

同チェーン本部では、
この加盟店全体の販売力を背景にメーカーと直接交渉。

大手量販店と同じ売価でも、
十分に利益が取れる卸値で仕入れを行っています。

ただ、アトム電器チェーンが、
巨大な販売力を持つ大手量販店に今後も対抗していくためには、
さらに加盟店を増やし、購買力を高めていく必要があります。


消費者の立場で言えば、もし価格が同じ水準なら、
言うまでもなく、親身で手厚いサービスをしてくれる町の
電器屋さんで買いたいと考える方がほとんどでしょう。

とりわけ、高齢化の進む日本社会においてはです。


メーカー主導の系列電器店の活性化の取り組みは、
「価格」に手をつけられないためあまり成功していませんが、
特定メーカーのしがらみのないアトム電器チェーンの今後の
事業展開には注目しておきたいと思います。


*アトム電器チェーンについては、
 『ガイアの夜明け』(7月22日放送、324回)を参考にしました。

 →バックナンバー
 『巨象に立ち向かえ ~町の電器店と商店街の闘い』

投稿者 松尾 順 : 18:39 | コメント (0) | トラックバック

現段階でセカンドライフに進出して落胆した企業はアホ!

“これまでの収入は初期投資額の10分の1程度。
 撤退した同業他社もいるが、満を持して参入しただけに
 どうしたものか……”

これまでにセカンドライフに参入した企業で、
上記のようなコメントと共にため息をついている担当者って
いるんでしょうか?

たぶんそんな人はいないと思いますが、
もしいたとしたら、その人は救いようのない「アホ」です。


セカンドライフの将来性は、
長期的に見れば高いのかもしれません。

しかし、足元だけの状況を見ると、
そもそもの登録ユーザー総数も少ないし、
かつアクティブユーザー比率も低いことから、
十分な収益はほとんど見込めないことが
火を見るより明らかでした。


このへんをちゃんとわかった上で、
あえて参入した企業は、

「記事として取り上げてもらえる」

ことによる広報効果と、

「先進的な取り組みをする企業である」

というブランドイメージ形成効果だけで、
初期投資は十分ペイできるという冷めた判断を
していたはずです。


(参考記事)
『セカンドライフ失速で転機を迎える仮想空間ビジネスの
 「現実」』(ダイヤモンド・オンライン)

投稿者 松尾 順 : 07:26 | コメント (2) | トラックバック

「マイクロターゲティング」とは?

「マイクロターゲティング」

とは、文字通りターゲットとなる人々のデータを詳細に分析、
細かくセグメントすることによって、効率的・効果的な
コミュニケーションを行い、限られた資源(カネやヒト等)を
有効活用しようとするものです。


実は、「マイクロターゲティング」は、
「米選挙戦」でも積極的に活用されています。


従来の選挙戦では、マスメディアを通じて、
できるだけ多くの有権者にアピールすることが
重視されてきました。

しかし、昨日の「マイクロトレンド」でご紹介したように、
「有権者=一般大衆」は、価値観やライフスタイルが異なる
様々な層に細分化されてしまっています。

そしてまた、有権者が視聴するメディアも多様化しており、
従来のマスメディア主体のコミュニケーション戦略では、
十分な効果を挙げることができなくなってきました。


このため、ビジネスにおける優良顧客の発見と同様、
データ分析によって有権者の特性を詳細に把握して、
適切なターゲットセグメントや有効なコミュニケーション方法
を発見し、活動資金を適正配分する

「マイクロターゲティング」

のアプローチが、
2004年くらいから行われるようになってきたのだそうです。


例えば、民主党の大統領候補となったオバマ氏は、

「マイクロターゲティング」

のサービスを提供している企業の一つ、

‘STRATEGIC TELEMETORY’

社と契約しています。

同社のオバマ氏担当コンサルタントによれば、
クリントン氏との予備選においては、
次の2点に絞り込んでデータ分析を行いました。

1. オバマ氏の演説などの直接的なアプローチにより
   支持してくれる浮動層の発掘

2. 既にオバマ氏を支持することを決めている有権者の特定


この分析を元に、オバマ陣営は、
オバマ氏を支持してくれそうな浮動層に対して、
効果的なコミュニケーションを行い支持者を増大させる一方、
既支持者には最低限のコストで「維持」することを狙ったのです。


データ分析の元になったのは、
選挙運動に先立って行われる数十万人規模の有権者調査。

分析には、SPSS社の予測分析ソフトが利用され、
有権者の行動や心理について予測モデルを作成します。

そして、例えば、

「Aデパートでよく買い物をし、ハイブリッド車を
 所有する30歳台の女性は、環境問題に関心が強く、
 オバマ氏を支持するかどうか迷っている」

といった浮動層を発見するのです。

オバマ陣営では、
こうした特性に合致する有権者をリストアップし、
電話をかけるなどしてオバマ氏への支持を訴えるというわけです。


日本の選挙戦でここまでのデータ活用をしている方は
まだほとんどいないかと思います。

しかし日本でも、「有権者=一般大衆」の細分化や
メディアの多様化が同様に進んでいますよね。

今後は、オバマ氏のように、
洗練されたデータ分析を選挙活動に採用する候補者が
増えてくるのは間違いないでしょうね。


(参考記事・文献)

『投票行動や関心予測する「マイクロターゲット」
 米選挙戦で活用加速』
(日経産業新聞、08/07/22)

『予測分析ソフトウェアが米大統領選の選挙活動で大活躍-
 オバマ氏のコンサルタントがSPSSソフトウェアを活用』
(SPSS KEYWORDS No.62、Summer 2008)


(関連Webサイト)

*STRATEGIC TELEMETORY
http://www.strategictelemetry.com/

「Micro-targeting from Strategic Telemetory」

投稿者 松尾 順 : 17:37 | コメント (2) | トラックバック

社交的なコンピュータオタク・・・マイクロトレンド

いわゆる「コンピュータオタク」は、
内向的で非社交的な人間というイメージがあります。

確かに以前は、他人との接触が苦手、友達もおらず、
ひとり黙々とコンピュータ操作に没頭する人が
多かったですよね。


しかし、今や、コンピュータや携帯端末などの
テクノロジーを使いこなしている人々は最も社交的で
たくさんの友人と交流している人です。


コンピュータとコンピュータをつなぐ

「インターネット」

の浸透によって、人と人の間のコミュニケーションが
安価かつ手軽になりました。

最新のテクノロジーは以前と異なり、
社交的な目的のために開発・利用されることが
多くなっています。

ですから、社交的な人ほど、
さらに人とのつきあいを広げたり深めるために
テクノロジーの活用に熱心に打ち込んでしまうと
いうことかもしれません。


米国で行われたある調査では、
最も熱心なテクノロジー愛好者のうち
60%が「外交的」なタイプだったそうです。

(一般米国人のそれは49%)


彼らは、家にとじこもってひたすらコンピュータなどを
いじっているだけではありません。

「夜遊び、街に繰り出す」といった遊びもする
と回答した人は、「テクノロジー嫌い」の人の倍もいます。

また、熱心なテクノロジー愛好者の41%が、
パーティを「積極的に楽しむ」と答えているのに対し、
消極的なテクノロジー利用者は同24%に止まっています。


テクノロジーの役割が変わってしまった現代、

「コンピュータオタク」

に対する認識を改める必要があるのではないでしょうか?


さて、上記でご紹介した「社交的なコンピュータオタク」は、

『マイクロトレンド-世の中を動かす1%の人びと』

の本で解説されている

「41の多様なグループ(層)」

のひとつです。


『マイクロトレンド』とは、
価値観やライフスタイルの多様化を背景として
たくさん生まれている

「小さな兆候」

のこと。

この小さな兆候は、
人口のわずか1%かそこらの規模しかないため
あまり目立ちません。

しかし、今後大きく成長する可能性を秘めた個性的な
グループであり、社会の変化に大きな影響を与えているのです。


本書で挙げられている事例は米国が中心になっていますが、
日本国内の動向については、消費社会研究家の三浦展氏の
コメントが随所に盛り込まれています。


未来を的確に読むために、一読をお勧めします。


『マイクロトレンド-世の中を動かす1%の人びと』
(マーク J. ペン with E キニー・ザレスン著、吉田晋治訳、
 三浦展監修)

投稿者 松尾 順 : 16:21 | コメント (0) | トラックバック

中村文昭さんのお客さんに対する思い

先日、中村文昭さんの講演を
久しぶりに聴く機会がありました。

聴いたことのあるかたは賛同いただけると思うのですが、
中村さんの話はとびきり面白いですよね。

このため、全国から講演の依頼がひっきりになしに舞い込み、
今や年間300回以上の講演をこなすため、全国を飛び回る毎日
だそうです。


私も中村さんの大ファンの1人です。
これまで合計10回くらい話を聴いてますが、
今回のお話もやはり最高でした。


さて、中村さんは三重県の生まれ。

18歳で上京した後、貧乏生活の中で人生の師匠と出会い、
八百屋の行商や六本木でのバー経営を経験。


現在は、生まれ故郷の三重県・伊勢市で
レストランウェディングの店、

「リビングカフェクロフネ」

を経営されています。


クロフネのレストランウェディングには、
豪華なチャペルやゴンドラサービスなどはありません。

ここで結婚式を挙げるカップルの夢や要望を
じっくりと聞き、趣向を凝らした演出で盛り上げる、
完全手作り型のウェディングだそうです。

おかげで、当レストランは広告宣伝ゼロ、
クチコミだけで予約が殺到。

開業以来、毎年増収増益だそうです。


先日の講演で知って驚いたのですが、
クロフネで結婚式を挙げたいと、
伊勢市近辺だけでなく、日本全国から一族郎党まるごと
やってくるケースもあるそうです。

ある時は熊本から100人、あるいは石川から70人と、
バスを連ねて新郎・新婦、親戚、友人、その他関係者が、
わざわざ伊勢までやってくる。

結婚式前までは皆、

「なんでわざわざ伊勢くんだりまで来て
 式を挙げなきゃいかんの?」

と愚痴をこぼしているそうです。


しかし、クロフネでの感動的な結婚式が終わった後、
誰もが、

「なぜクロフネでなければならなかったのか」

を理解し、喜んで帰っていくのです。


中村さんは、

「人を喜ばせること」「人を楽しませること」

が大好きです。

いつもどうやって人を喜ばせるか、楽しませるかを
考えているそうです。


小手先のテクニックではなく、
中村さんの行動の根底にこの思いがあるからこそ、
クロフネで式を挙げたい、また誰もが中村さんにまた会いたい、
話を聴きたいと繰り返し足を運ぶのでしょう。


六本木のバーを経営していた頃も、
毎日常連客で満杯の人気。

あるお客さんは自分でパイプ椅子を持ち込み、
店の外で飲むこともいとわなかったとか・・・!


*リビングカフェクロフネ

投稿者 松尾 順 : 15:18 | コメント (0)

アキバ系王様のアイディアっぽい「サンコーレアモノショップ」

「サンコーレアモノショップ」はご存知ですか?

私は、「アキバ系王様のアイディア」と勝手に呼んでますが、
文字通り「レアもの」のグッズがいろいろ売ってます。

同店で比較的有名な商品としては、
今は季節はずれですが、

・USBあったかスリッパ
・USBフットウォーマー
・USBハンドウォーマー手袋

などがありますね。

最新のカタログを見たら、

・手回し充電可能なMP3プレーヤー(電池切れの心配なし!)

・お風呂でネットサーフィンできるノートPC用防塵・防滴カバー

・マウスを使いながら腹筋プルプル、EMS内蔵筋肉マウス
 (刺激の強さがマウスのボタンで調整可能)

などが目に留まりました。

私もひそかに愛用しているグッズがありますよ。
(何かは教えたくありませんが・・・)

それにしても、最新カタログの表紙には、
ビニール傘をさした女の子が、
防塵・防滴カバーを装着したノートPCを手に持ち、
雨を受けながら、PCを立ったまま操作している写真が
載ってるんですけど、こんな状況こそ

「レア」(ありえない)

ですよね。

「わざわざ雨の中でパソコン開かないでさあ、
 さっさと屋内に入れば・・・?」

と言いたくなっちゃいました。


*サンコーレアモノショップ

投稿者 松尾 順 : 13:47 | コメント (0) | トラックバック

ナチュラルローソンの不思議

2週間ほど前ですが、事務所近くのナチュラルローソンで
夕刊を買い、エディで決済しようとしたんですね。

すると、店員さんが、レジの液晶画面に表示された
エディのロゴマークを押してくださいというわけですよ。


いつもエディで決済しているけれど、
「エディのマークを押す」という動作を要求されたことは
いままで一度もありませんでした。

そこで、

「あれ、そんなこと言われたのは初めてなんですけど!」

と言うと、

「私はそのように教わりました」

とその店員さんは平然と言うのです。

とりあえず、その日は言われた通りに
ロゴマークを押して決済しました。


それからも、何度かこのコンビニでモノを買い、
エディで決済してますけど、他の店員さんの場合は、
カードリーダーにエディを乗せるだけでOKです。

わざわざロゴマークを押してくれと、
言われたことはありません。

どうなってるんでしょう。
同じ店なのに、わけがわかりませんね・・・

投稿者 松尾 順 : 12:01 | コメント (6) | トラックバック

冷やしシャンプー

暑くなってきましたねぇ・・・


さて、「ありそうでなかった」というより、

「こんなサービスがあったのか!」

と驚いたのが、理髪店の

「冷やしシャンプー」

です。


横浜市の理髪店

「ヘアーステーションサイトウ」

では、大きい氷の塊を「かき氷器」でかいて
シャーベット状にし、水やシャンプーと混ぜたもので
頭を洗ってくれるそうです。
(日経MJ、2008/07/04)


このサービスの名称は、「カキ氷シャンプー」。

名前を聞いただけで、頭が涼しくなる気がしますね。

同店ではこれ以外にも、
氷とシャンプーをシェーカで混ぜる

「カクテルシャンプー」

などのメニューを提供しており、
需要期の7-8月は客の半分が利用するとか。


一度利用してみたいものです。

投稿者 松尾 順 : 12:20 | コメント (1) | トラックバック

アマゾンの飽くなきサイト向上の工夫

アマゾンのトップページにアクセスすると、
従来は、最上部に「最近チェックした商品」が
表示されますよね。


ちょっと前のことですが、

“この商品を見た後に買っているのは?”

というコピーと、チェックした商品の画像の上に

“32%が購入”“19%はこちらを購入”

といった購入率が表示されるようになってました。


「おいおい、ここまでやるんかい!」「ようやるわい!」

という感じですね。


ただ現在は上記のような仕組みはなくなっています。
トライアルだったんでしょうかね。

投稿者 松尾 順 : 12:57 | コメント (1) | トラックバック

良循環の医療システム(後編)

歯医者さんの数は、
実はコンビニより多いのだそうです。

このため、過当競争に陥っており、
歯科医院の経営は大変厳しい状況です。

実際、年収が300万円程度の歯科医師が
5人に1人もいると言われており、マスコミでは、

「歯科医師のワーキングプア問題」

がしばしば取り上げられるほどですよね。


こんな厳しい経営環境の中で、千客万来、
全国から、またわざわざ海外からもお客さんが
押し寄せてくるため、次の予約が数週間先にならざるを
得ないという超人気の歯科医院があります。

それは、東京都・中央区、築地や月島に近い
聖路加ガーデン・セントルークスタワー1Fに開業している

「馬見塚(まみづか)デンタルクリニック」

です。


同クリニックの「経営理念」は、

「健康創造型歯科医療」

という言葉に集約されています。


これは、具体的に言えば、

「できる限り‘治療’をしない」

というもので、現在の歯科医療の真逆の考え方。

言い換えると、
治療が必要なムシ歯などにならないように

「予防」

のための医療に力を入れるということです。


ですから、当クリニックでは、
一般の歯科医院が提供する各種診療にも
すべて対応していますが、特に、

「PMTC」
(プロフェッショナル・メカニカル・
 トゥース・クリーニング)

と呼ばれる治療を前面に出しています。

これは、歯垢をきれいに取り去った上に、
フッ素を塗布するもの。

PMTCを受けると、

・歯周疾患の改善、進行防止
・ムシ歯予防
・歯質強化
・審美性の向上(タバコのヤニなどによる着色の除去)

などの効果があるそうです。


「PMTC」は正確には「治療」ではありません。

歯の病気を治すのではなく、
歯の病気を防ぐためのものだからです。

このため、保険診療の対象とならず、
患者さんの全額負担(自費診療)となります。


「PMTC」は、1-2ヶ月に1回程度、
定期的に受けることが原則です。

1回あたりの医療費は1万円超!

これを患者さんが全額負担するわけなのですが、
PMTCを受けている患者さんは、PMTCの意義・価値を
十分納得した上で、喜んでこの費用を負担しています。


病院の全診療費に占める「自費診療」の割合を

「自費率」

と呼び、これが高ければ高いほど
病院の収入も増えます。

歯科医院の場合は、自費率が50%を超えたら理想的
と言われているのに対し、当デンタルクリニックの
自費率はなんと

70%

だそうです。

つまり、患者さんの多くが、
同クリニックの技術力や、PMTCなどの予防医療の価値を
高く評価し、健康保険の対象とならない「保険外診療」を
望んで受けているということです。


馬見塚院長は、予防医療について言えば、

「もはや、‘患者さん’とは呼べない」

とおっしゃっていました。

PMTCの定期受診を通じて、当クリニックが
患者さんの歯の健康を守り続けることが理想だからです。

実際、小さい頃からPMTCを受けている人の中には、
小学6年生の時点でも全永久歯でムシ歯ゼロという子供さん
がいるとのこと。


実は、開業当初は、この「予防医療」の考え方を
患者さんに理解してもらうのにはとても苦労したそうです。

「とにかくこのムシ歯を治してくれればいいから」

といった患者さんがほとんど。


しかし、ムシ歯は普段の生活習慣に起因するものです。

仮に今のムシ歯を治療しても、
文字通り「対処療法」に過ぎません。

しばらくするとまた同じところや別のところが
病気になり、再び治療しなければならなくなるのです。


そこで、現在罹っている病気の治療だけでも、
また病気を早期発見することだけでもなく、
そもそも病気にならない

「予防」

の重要性を馬見塚院長は患者さんに説き続けました。

「患者さんにとって本当に良い医療とは何か」

を重視し、「治療してくれればいい」といった
お客さんの目先の治療ニーズに安易に迎合しなかったのです。


そして今や、当クリニックの来院者の8割は口コミ。

ほぼ全員が、当クリニックの「健康創造型歯科医療」の理念や、
PMTCについての基本知識をWebサイトで理解し、納得した上で
やってくるので、もはや「予防」の重要性を時間をかけて
説明する必要はほとんどないそうです。


当記事前編では、

「良循環の医療システム」

の基本的な方向性として

・「医師に会う時はすでに患者」という状況を抜け出し、
 医師と患者の対話を促進し、関係性を改善する

・開業医と勤務医のインフォーマルな連携プレーを促進し、
 医療の生産性向上と勤務医の時間の余裕を生み出す。

・「国民医療費」というコスト発想ではなく、
 「国民医療消費」という「価値」の消費へ発想転換する

の3点をご紹介しました。


歯科医院の場合、2点目の「開業医と勤務医の連携」に
ついてはあまり該当しないものの、

・医師と患者の対話促進、関係性改善

および

・「国民医療消費」という「価値」の消費への発想転換

については、
馬見塚クリニックでは現実のものとなっていることが、
以上の説明からご理解いただけたでしょうか?


*馬見塚デンタルクリニック


*本記事は、馬見塚デンタルクリニックのWebサイト、
 および、馬見塚デンタルクリニック院長、馬見塚賢一郎氏
 のご講演に基づいて作成しました。

投稿者 松尾 順 : 11:11 | コメント (2) | トラックバック

良循環の医療システム(前編)

元マッキンゼー東京支社長の横山禎徳氏(現社会システム
デザイン研究所 ディレクター・社会システムデザイナー)は、

「社会システムをデザインする」

というコンセプトを掲げています。


ここで、「社会システム」とは、端的には

「生活者・消費者への価値提供の仕組み」

と定義されます。

従来の‘産業(業界・業種)別’の縦割りの発想と異なり、

‘産業横断型’

でシステムを設計すべきだと提唱されているのです。


例えば、「金融」というと、これまでは、

銀行、証券、ノンバンク...

といった「金融業」に分類される企業しか念頭に置きません。


しかし、実際の「金融システム」の運用には、

通信、IT、小売業...

など、他の業界の企業が様々な形で参画していますよね。

ですから、

「理想的な金融システム」

を設計するためには、「業界本位」ではなく、

「消費者・生活者の視点」

から業界横串的に一貫性のある形でシステムを見直し、
設計することが必要となってくるというわけです。


さて、横山氏は現行の医療システムの問題点として
一言で言えば、

「自己規律」

が欠如していることを挙げています。

具体的には、

・医療機関は、患者に要求されるがまま、
 腰の引けた過剰医療に陥っており、
 超多忙な毎日で疲労感を蓄積している。

・患者は、医療行為に対する価格感覚がなく、
 過剰診療を要求しがちである。

・現行健康保険制度においては、
 「価格対価値」とあまり関係のない診療報酬が
 支払われてしまう。

といった周知の問題があります。

そして、こうした問題は、
医師・患者間の相互不信の増長や
医師の労働時間の増加といった

「悪循環の医療システム」

を生み出すことにつながっているのです。


では、良循環の理想的な医療システムへと、
システムをデザイン(設計)しなおすには
どうすればいいのでしょうか?

この質問に対する回答として、
横山氏は、次のような方向性を示しています。


・「医師に会う時はすでに患者」という状況を抜け出し、
 医師と患者の対話を促進し、関係性を改善する

・開業医と勤務医のインフォーマルな連携プレーを促進し、
 医療の生産性向上と勤務医の時間の余裕を生み出す。

・「国民医療費」というコスト発想ではなく、
 「国民医療消費」という「価値」の消費へ発想転換する


以上の点は、言うまでもなく、
日本の医療全体において実現されるべきですが、
1医療機関として、

良循環の「理想的な医療システム」

に限りなく近い医療を実現している病院があります。


それは、東京・築地の聖路加タワーにある歯医者さん、

「馬見塚デンタルクリニック」

です。

後編では、当病院を具体事例としてご紹介します。


*横山禎徳氏の話は、夕学五十講の講演内容に基づいています。

投稿者 松尾 順 : 16:08 | コメント (0) | トラックバック

郵送アンケート回収率向上のノウハウ

昨日、日本マーケティングリサーチ協会(JMRA)主催の

「JMRA調査研究セミナー」

に参加しました。


当セミナーでは、

「調査業界が置かれている現状」

などを含む合計5本の発表が行われましたが、
どれも大変興味深い内容でした。


今回は、これらの発表のうち、
とりわけ実践にすぐに応用できる部分が多いと感じた

「郵送アンケート調査における回収率向上のノウハウ」

を明かしてくれた朝日新聞 編集局 世論調査センターの
松田映二氏のご講演のポイントをご紹介したいと思います。
(講演のタイトルは、『郵送調査の効用と可能性』)


さて、近年、各種調査(面接法や郵送法など)の回収率は、
在宅率の低下やオートロックマンションの普及、あるいは、
個人情報保護意識の高まりなどによって大きく低下しています。

例えば、過去50年以上にわたって継続して行われてきた

「国民性意識調査」

は、1953年には80%を超える回収率でした。

ところが、1980年代以降、回収率はガクンと落ち込み、
直近の2003年のそれは、60%を大きく割り込んでいます。

年代別で見ると、特に「20代」の回収率の低下が激しく、
1953年には20代でもほぼ80%だった回収率が、
2003年には40%を切っています。
(他の年代はまだ50%以上です。)


このような厳しい調査環境にも関わらず、
今年(08年)1-3月に朝日新聞が実施した郵送調査は、
回収率78%という、近年では極めて高い数字を記録しています。

この結果は、そもそも「朝日新聞」という
全国紙の信頼がベースにあること、
また近年、食品偽装事件などの企業の不正行為が
次々と明るみになっている時代背景において、
人々の関心がとみに高まっている、

「信用」をテーマに世の中の「信」を問う

を調査目的とした調査であったことを割り引いてみる
必要があるでしょう。

とはいえ、全国20歳以上の有権者3,000人を対象とした
郵送調査で、80%に迫る回収率を達成したというのは、
驚異的な成果です。


松田氏によれば、
調査対象者に対して、次の通り最大4回接触しています。

第1便・・・予告状(ハガキ)
第2便・・・調査票(依頼状、返信用封筒、謝礼
第3便・・・催促状(1)
第4便・・・催促状(2)


まず第1便、予告状の効果としては、

・いきなり調査票を送らず予告することで信頼を得る
・内容が読めるハガキのため、家族にも周知されやすい
・調査票の到着を待たせることで、回答返送を早める
 ことができる

といったことがあるそうです。


第2便の調査票や、その他の内容物にもあれこれと
細かい工夫がほどこされています。

例えば、調査票は、A4中綴じ、8ページの冊子に製本した
丁寧なものにすることで、信用を高めています。

依頼状は、一般にペラ1枚別に同封しますが、
1点でも同封物を減らすため、調査票と一体化。

調査の趣旨・目的や謝礼等について、
短い文章で簡潔に説明しています。


また、調査票の中身も、
レイアウトや段組みなどを工夫して、
できるだけページ数が増えないようにします。

ただしやみくもにページ数を減らすだけでなく、
回答しやすさ、回答ミスの起きにくさにも留意して
設問の文言や選択肢の並べ方を考えます。


送付用封筒としては、A4サイズの調査票を折り曲げず、
そのまま送れる大きさの角封筒を使うそうです。

折り曲げてあった調査票は回答しにく、
また、ページをめくりにくいからです。


料金別納郵便のスタンプは汎用的なものではなく、

「ASAHI SIMBUN」

の英文社名が記載され、犬のマスコットが新聞を
くわえているマークの特別製スタンプを利用します。

ここでも調査主体を明示して信用性を高める作戦です。


一方、返信用封筒には、

「郵便切手」

をちゃんと貼っておきます。(一般には料金別納)

回答しなければ切手代(今回の調査は120円)が
もったいないという心理的プレッシャーをかけるわけです。

さらに、先渡しの謝礼として「社名入りボールペン」を同封。
こうした立体的なものは、封筒に出っ張りができるため、

「何だろう?」

と受け取った方の関心をそそります。
つまり、「開封促進」の効果があります。

加えて、回答者には「図書カード」(1,000円分)を進呈する
ことを調査票冒頭の「依頼文」内で明記しました。


調査票返送の締切日は金曜日に設定します。
そして、催促状(1)のハガキは、締切日の2日前の夕方に投函。

催促状は、おおむね締切日当日に対象者に届きますが、
その週末の土日で回答してもらえることを狙っているのです。


ここまでやっても回答しない方には、催促状(2)を送ります。

ただ、催促のハガキだけを再度送っても効果は薄く、
また調査票は既に紛失している可能性が高いため、
改めて調査票と120円切手を貼った返信用封筒を送付することで

「回答しなけりゃ・・・」

という気持ちにさせるのです。


松田氏は、回収率を高めるために、
ことさら特別のことをやっているわけではないと、
強調していました。

回答者心理についての深い理解を踏まえて、
細かい気配りをほどこした調査設計・運用を行うことが重要であり、
それが結果として高い回収率につながるということなのです。


朝日新聞の郵送アンケート調査における地道な工夫は、
お客様へお送りするDMなどの各種マーケティング・
コミュニケーションの設計・運用にも、大いに参考になる
内容だと思います。


蛇足ながら、1本の郵送アンケート調査で、
最大4回接触できるだけの予算を確保するのは
そう簡単ではありません。

現実には、予算の制約のため、
予告状なし、催促状は1回だけということが
多いと思われます。

投稿者 松尾 順 : 13:00 | コメント (3) | トラックバック

ロボットがサービス業界を席巻する日

私の事務所の近くに、大規模スパ施設があります。


このスパ施設のハードは、とても素晴らしいです。

天然温泉もある広々とした温浴施設、
お風呂上りには、1人1台の液晶テレビ付の
リクライニングソファでゆったりとくつろげます。


しかし、「ソフト」は、
ひどいとは言わないまでもお粗末。

人的サービスに改善の余地が大いにアリです。


当施設では、
リピート促進のためのロイヤルティプログラムとして、

「スタンプカード」(スタンプ10個で1回分の利用料無料)

が運用されています。


でも、人的サービスがもうひとつなので
愛着がわかないのですよね。

もっとサービスに優れた競合施設が近くにできたら
あっけなくそちらに移ってしまうと思います。


先日ここに行った時の話です。

靴をシューロッカーに預けた後、
バッグから「スタンプカード」を取り出しながら、
受付カウンターに向かいました。


カウンターに着くと、
受付のお兄さんは間髪を入れず、

「初めてのご利用ですか?」

と聞くのです。

(いや、だからスタンプカードを取り出そうとしてるでしょう・・・)

と内心思いながら、カウンターにスタンプカードを置きました。

今回でちょうど10個目のスタンプだとわかっていたので、

「次回は無料だな!」

とちょっとうれしい気持ちでしたが、
このお兄さんのマニュアルどおりのセリフでがっかりです。

いつもいつも一見さんで扱われるのは残念なものです。


以前も同じようなことを書きましたけど、
誰に対しても、同じセリフを機械的に仏頂面で繰り返すだけなら、
生身の人間よりも、

「ロボット」

の方がいいです。

人の気持ちが読めないことが前提の
無生物のロボットなら、腹は立たないですからね。


ただ、近年の情報通信技術、およびロボットの進化が著しいため、
本当の意味で人の気持ちが理解できなかったとしても、
少なくともお客さんを気分よくさせるコミュニケーションは
可能になりつつあります。


たとえば、イメージ認識技術を用いて、
既存客の顔を記憶させ、プロフィール(基本属性)や
過去の利用履歴データベースとひもづける仕組みは
もはや簡単なこと。

こんなITシステムと連動したロボットを
先のスパ施設のカウンターに設置したとします。


私がカウンターに向かうとロボットは私の顔を認識し、
データベースのプロフィールデータを参照して、

「松尾さん、こんにちは!」

と名前で呼びかけてくれるでしょう。

さらに、先週来たばかりだったら、

「いつもありがとうございます!」

などと言うことで常連客として扱い、
私を喜ばせてくれるでしょう。


もし数ヶ月ぶりの来場だったら、

「お久しぶりですね。
 また来ていただいてありがとうございます。」

といった言葉をかけてくれる。
ロボットなのに、思わずハートがジンとします。(たぶん)


さらに、ロボットをもっと擬人化して、
見かけや声が異なる男性風、女性風ロボットの
それぞれを設置するというのも面白いのではないでしょうか。

男性客に対して女性ロボットには、

「また来てくれてありがとー!うれしい!!」(と黄色い声で)
「しばらくお顔が見れなくて、寂しかったわ・・・」

などと言わせるのもいいかもしれません。
(あくまでジョークとしてですけど・・・)

お客さんは、

「これらの会話がプログラム化されたもの」

であることは百も承知です。

それでも、お客さんは決して悪い気はしない。

いや、むしろ「KYな人」との味気ない会話よりも、
はるかに喜んでくれるでしょう。


既に、企業の受付用として
ロボットを派遣する事業が開始されているのは
ご存知でしょうか。

同様に、サービスの現場に、
優れたコミュニケーション力を持つロボットが
登場するのは、すぐそこにある未来だと思います。


サービス現場におけるロボットの普及・浸透は、
人手不足に悩むサービス業にとっては福音です。

しかし、一方でサービス提供者としての資質に欠ける
生身の人間が働ける職場が、ロボットによって
次々と奪われていくことを意味します。


従来、人手不足ということもあり、
比較的職を得やすい業界であったサービス業界の仕事が
ロボットに席巻された結果、さらに多くの失業者が
世の中にあふれることになるのではないでしょうか。


(関連記事)

『愛想がいい人型ロボット』

『ヒューマノイドロボットの過去・現在・未来』

『受付嬢の復活』

『ワカマル君、がんばれ!高いけど・・・』

投稿者 松尾 順 : 10:22 | コメント (0) | トラックバック

このDM、惰性で出してる?

今年も来ました。

事務所近辺のメガネ店からの

「ダイレクトメール」(かもめーる)

のことです。

宛名は、おそらく10年以上前に
この事務所を借りていた方の名前になってます。

要するに情報が古いまま。


私はこのメガネ店を利用したことはありませんし、
他人宛のDMでは心が動きません。


以前もブログに書きましたが、
10年以上反応のないダイレクトメールを毎年毎年
出し続けている商店主は何を考えているのでしょうか?


以前書いたブログのコメントの中には、

「お店にこのことを教えないお前(松尾)が悪い」

という辛らつなものもありましたが、
勝手にDMを送ってくる店が頭を使うべきですよね。


通り道にある店なら、
親切心でちょっと立ち寄って

「もうDMの宛先の人は住んでませんよ」

と教えてあげるくらいの親切心は持ってます。

でも、所在地を見る限り、
私の行動エリアとは全く逆の方向にある店です。
正確な場所はわかりません。

さすがに、わざわざ店に出向いたり、
電話代使ってまで連絡してあげる義務はないですよね・・・

投稿者 松尾 順 : 01:38 | コメント (0) | トラックバック

「藻(も)」で軽油を作る!

北海道洞爺湖サミットの成果の目玉は、

「2050年までに温室効果ガス排出量を半減させる」

ということですが、
この目標がお題目で終わることなく、
実際に達成されるためには、

「化石燃料」(石油・石炭など)

の消費量を抑えるだけでなく、
化石燃料に替わる新エネルギーの開発・普及が鍵ですよね。

今注目されているのは、トウモロコシなどから作られる

「バイオマス燃料」(エタノール等)

ですが、これには副次的な問題が発生しています。


最近知ったのですが、
今後、かなり期待できる新エネルギー生成方法の一つに、

「藻類」(水の中で育つ、あの「も」です)

を使って「軽油」を作るというものがあります。


藻に含まれる微生物の中には、
大気中の二酸化炭素(CO2)を取り込んで軽油を
生成するものがあるそうなんですね。
(通称「オイル生成菌」)

この「オイル生成菌」を活用すれば、
大気中の二酸化炭素を減少させつつ、
同時に油が手に入るので一石二鳥です。
(もちろん、この油を使うと、二酸化炭素が再び大気に
 戻りますが総量が増えるわけではないですね)

*軽油は、ディーゼル車に使われます。


しかも、藻類を利用することには、
バイオマス燃料よりも優れた点がいろいろとあるのです。

現在、主にバイオマス燃料として利用されている
トウモロコシや大豆類は生産地が限られています。

年1回しか収穫できないため生産量も限定的。

また、食料としての競合問題を引き起こし、
食料価格の高騰を招いています。


一方、藻類はほぼ1年中育成可能で、
しかも育成できる地域はあまり限定されません。
育成にもそれほど手間がかからない。

したがって、世界の多くの地域で、
藻から軽油が大量に生産できるというわけです。

最新情報によれば、自動車部品メーカーのデンソーが
2013年までに、藻類から軽油を年間80トン生産する計画を
発表しています。

この取り組みにはおおいに期待したいですね。

投稿者 松尾 順 : 16:59 | コメント (0) | トラックバック

京都花街の経営学(7)お茶屋のお母さんはおもてなしプロデューサー

現役芸妓として、
初めてホームページを立ち上げたのは

小糸さん

という方でした。


小糸さんは現在、宮川町の屋形(「置屋」のことを京都では
「屋形」とも呼びます)&お茶屋である、

「花傳」(かでん)

の女将(お母さん)でもあります。


1997年春、
小糸さんの立ち上げたばかりのホームページを
見て連絡してきた、ある日本女性がいました。

当時彼女は、父親の仕事の都合で
北京で暮らしていたのです。

以来、小糸さんとその女性はeメールをやり取りするようになり、
体験入門を経て、3年後の2000年夏、ついにその女性は
舞妓の世界に足を踏み入れます。


インターネットをきっかけに「舞妓」になったのは
彼女が始めて。

彼女は、小糸さんの「小」を取って

「小桃」

という名前をもらいました。

現在、小桃さんは独立し、
自前の芸妓さんとしてがんばっています。


さて、小桃さんを一人前の芸妓に育てた花傳のお母さん、
小糸さんは、『KOMOMO』(小桃さん成長のドキュメンタリー)
の本のまえがきで次のように書いています。


『花街が生み出し、今に伝えているもの……それは、
 「癒し」の文化である。』

『美しい着物や髪飾りも、舞や三味線などの伝統芸能も、
 柔らかな微笑みも、すべてはお客様の疲れた心を
 解きほぐすためにある』

『そして、花街流「癒し」のノウハウは何百年もの時間を
 かけて練り上げられ、精製されてきたのだ。』

『舞妓になる、ということは、この伝統のノウハウを
 身に付けた「癒し」の象徴……
 つまり、そこに存在するだけで人の心を癒す能力を
 持っている人間になる、ということである』


お茶屋での「お座敷遊び」におけるお客さんの満足に
最も大きな影響があるのは、「癒しの象徴」である
芸舞妓さんであることは言うまでもありません。

しかし、お客さんの指定がない限りは、
どの芸舞妓さんを呼ぶのかはお母さんが決めます。

また、芸舞妓さん以外のもてなしの要素である、
お座敷のしつらえや料理の内容もお茶屋のお母さん
の裁量です。


前回ご説明したように、
顧客との長いおつきあいを前提に、
顧客情報をたんねんに蓄積し、いちいち相手に聞かずとも、
お客さんの望んでいることを的確に察知し、
喜んでくれる最適なサービスを提供することに、
お茶屋のお母さんは全人生を賭けていると言えるでしょう。


したがって、お茶屋のお母さんは、
「おもてなし」全体を取り仕切る極めて有能な

「おもてなしプロデューサー」

と呼べるかもしれません。


なお、お客さんのうち、年配の男性は、

「お父さん」

多少若めの方は

「お兄さん」

と呼ばれるそうです。


そうすると、お茶屋の女将は「お母さん」と呼ばれ、
先輩の芸舞妓さんは「お姉さん」、後輩は「妹」と
呼びますから、お客さんがお茶屋で遊ぶのはある意味、

「家庭」

で過ごしているかような感覚があるのかもしれません。
(なじみになればなるほど・・・)


本来(という言葉をつける必要があるのは皮肉ですが)、
人が最も癒され、くつろげるのは、

「家庭」

ですよね。

そんなくつろげる雰囲気の中で、
奥深い日本の芸能と、芸舞妓さんとの楽しい会話や遊び、
食事を堪能することができる。


花街は昔も今も、また今後も、

「癒しのサービス」

の「理想形」であり続けるのではないかと思います。


『京都花街の経営学』
(西尾久美子著、東洋経済新報社)

『京都 舞妓と芸妓の奥座敷』
(相原恭子著、文藝春秋)

『京都花街 もてなしの技術』
(相原恭子著、小学館)

『おもてなしの源流 日本の伝統にサービスの本質を探る』
(リクルートワークス編集部編、英治出版)

『KOMOMO』
(小桃著、写真:荻野NAO之、講談社インターナショナル)

投稿者 松尾 順 : 16:40 | コメント (3) | トラックバック

京都花街の経営学(6)一見さんお断りの背景

「お茶屋」は、
基本的になじみ客の紹介がないと利用することができません。

いわゆる「一見さんお断り」です。

ですから、紙に書かれた会員規約や会費はありませんが、
お茶屋のビジネスは実質的には、

「会員制のビジネス」

だと言えます。


ただ、面白いのは、

「金さえ持っていれば会員になれるわけではない」

ことです。

花街だけの暗黙のルールを理解しており、
良識ある社会人としてのマナーをわきまえた人間でなければ、
たとえ金持ちでも、お茶屋のお母さんからやんわりと
拒否されてしまうのです。

逆に、ごく普通のサラリーマンであったとしても、
お茶屋のなじみ客になることが可能です。
(遊ぶお金はちゃんと払えなければだめですけど・・・)


この点、高額の会費を設定したり、
一定以上の保有資産や、高い役職にあることを
入会の条件とすることで、

「富裕層」

としてのステータスを誇示させることが狙いの、
他の多くの会員制ビジネスとお茶屋は異なっています。


ですから、なじみのお茶屋を持っていることは、

「あの人は信用できる人である」
「ちゃんとした常識・マナーを知っている見識の高い人である」

といったことを示す証となります。
単なる「富裕層」以上のステータスと言えますよね。


さて、西尾氏は「一見さんお断り」の背景として
次の3つのポイントを挙げています。

---------------------------------------------

1 長期掛け払いの取引慣行

   →債務不履行の防止

2 もてなしというサービス

   →顧客の情報にもとづくサービスの提供

3 職住一体の女所帯
  
   →生活者と顧客の安全性への配慮

---------------------------------------------

1 長期掛け払いの取引慣行

お客さんは、お座敷遊びの際、
現金やクレジットカード等は一切いりません。

後日、お客さん宛に請求書が送られてくる
段取りになっています。


なじみ客ともなると、
京都駅に着いてからのお出迎えのハイヤーや
宿泊するホテル代などを含む京都滞在中の
すべての費用をお茶屋が立て替えることがあります。

この場合、お茶屋が立て替える費用は、
かなりの金額になりますよね。

万が一、お客さんがちゃんとお金を払ってくれなかったら、
お茶屋はとんでもない損失を被ることになります。

したがって、信用できるなじみ客の紹介がないと、
とても新規のお客さんを受け入れることはできない
というわけです。


2 もてなしというサービス

お茶屋で提供されるサービスに「定型」はありません。

お茶屋のサービスは、
顧客1人ひとりの好みに応じて提供される

「カスタマイズサービス」

です。


お茶屋のお母さんは、
基本的にお客さんにどうして欲しいかを
いちいち聞きません。

これまでのつきあいを通じて把握したお客さんの

「好み」

を踏まえて、そのお客さんに満足してもらうために、
どんなサービスを提供するのが最適か、頭を絞るのです。

そして、お母さんの裁量で、お座敷をしつらえ、
料理を手配し、芸舞妓さんたちを呼びます。


したがって、好みがわからない、
まったくのフリの客を受け入れることは難しい
というわけです。

これは、究極の「CRMの実践」と言えますよね。

3 職住一体の女所帯

お客さんが上がるお座敷は「お茶屋」の中にあります。

お茶屋は、お母さんやそこで働く女性たちの「職場」
であると同時に、「生活の場」でもあります。

つまり、お客さんを個人宅に呼ぶのと実質同じ。


したがって、素性のはっきりしないお客さんは
そもそも怖くて呼べないんですね。

“お酒がすぎて、お座敷で暴れはったり、
 お座敷に根がはえてしもうたみたいにずーっと
 お帰りにならへんと、困るんどす”

と話すお母さんがいたそうです。


お茶屋の利用者は、
やはり社会的地位の高い方が多いわけですが、
「一見さんお断り」のお茶屋は安全で、かつ安心して
過ごせる数少ない場所。

お茶屋が、昔から「密談の場所」となってきたのは
「一見さんお断り」だったからなんですね。


夕学五十講 西尾久美子氏講演(08/06/16) 受講生レポート

『京都花街の経営学』
(西尾久美子著、東洋経済新報社)

『京都 舞妓と芸妓の奥座敷』
(相原恭子著、文藝春秋)

『京都花街 もてなしの技術』
(相原恭子著、小学館)

『おもてなしの源流 日本の伝統にサービスの本質を探る』
(リクルートワークス編集部編、英治出版)

投稿者 松尾 順 : 09:18 | コメント (2) | トラックバック

京都花街の経営学(5)売れっ子芸舞妓の要件

西尾久美子氏は、花街に詳しいある外国人から、

「芸舞妓とはバレリーナとキャビンアテンダントと
 ウェイトレスを一緒にした人」

と教えてもらいました。

なるほど、なかなか言い得て妙ですね。

ただ、西尾氏は最近、上記の定義に

「コンシェルジュ」

を付け加えることにしているそうです。


芸舞妓は、日本の伝統芸能(日本舞踊、唄、三味線、茶道など)
について高度な知識とスキルを持ち、日々鍛錬を欠かさない点
において「バレリーナ」に喩えるのにふさわしい。

同時に、「お座敷」という

各種サービスの組み合わせの柔軟性が極めて高い

職場において、顧客のニーズに応じて臨機応変に対応できる

「高品質な接客サービス」

を提供するという点において、
キャビンアテンダント(客室乗務員)、ウェイトレス、
コンシェルジュのそれぞれに要求されるサービススキルを
併せ持っている必要があるということでしょう。


さて、売れっ子芸舞妓さんになるための具体的な要件ですが、
この世界では、ひとことで言うと、

「座持ち」

という言葉で表されます。


“お座敷に呼ぶんやったらやっぱり座持ちのええ妓やなぁ、
 べっぴんさんだけやったらおもろうないわ”

とお客が言い、

“あの妓は座持ちがええさかいに、お座敷をまかせられるわ”

とお茶屋のお母さんが言う。

また、ある有名な小料理屋のお母さんは、
お客から特にこの芸舞妓さんという指名がなければ、
日頃の料理屋のお座敷での芸舞妓さんの様子を見ておいて、

“座持ちのよい妓に頼む”

のだそうです。


つまり、

「座持ちが良いこと」

が、売れっ子になるための最も大切な要件と言えます。


では、「座持ち」とはどんなスキルでしょうか?

西尾氏の分析によれば、座持ちの基本にあるのは、

「お客の気持ちを察する」
「場を読む」

の2点です。

西尾氏は、この2点を「状況判断能力」の一言に集約しています。
でも、私としては、以下の2つに分けて考えたいです。

--------------------------------------

・顧客心理洞察力

 →顧客が何を望んでいるかを予見する

・状況判断能力

 →お座敷の状況や一緒に出ている芸舞妓の力量等を把握する

---------------------------------------


芸舞妓さんは、こうした顧客の目には見えない能力を発揮すること
によって、多様な顧客ニーズと場の状況に応じた

「卒のないサービスの提供」

を提供することができ、おかげでお客さんは
お座敷遊びを存分に楽しむことができるというわけです。

ただ、顧客心理洞察力や状況判断能力がどんなに優れていても、
舞の技能が劣っていたり、言葉遣いがおかしかったりしたら、
顧客満足につながりませんよね。

したがって、顧客に見えるスキルとしての

・芸事(特に舞と三味線のスキル)
・上品さ(立ち居振る舞い)
・反応のよさ(受けこたえ、話術)

を習得することを芸舞妓さんは求められます。


そこで、芸舞妓さんは、

・学校(女紅場)
・置屋
・お茶屋
・お客さん

といった花街のキープレーヤーたちから基本を学んだり、
実践のための稽古を受けたり、お座敷での実践結果に対する
チェック(フィードバック)を受けながら、座持ちの能力を
高めているのです。


夕学五十講 西尾久美子氏講演(08/06/16) 受講生レポート

『京都花街の経営学』
(西尾久美子著、東洋経済新報社)

『京都 舞妓と芸妓の奥座敷』
(相原恭子著、文藝春秋)

『京都花街 もてなしの技術』
(相原恭子著、小学館)

『おもてなしの源流 日本の伝統にサービスの本質を探る』
(リクルートワークス編集部編、英治出版)

投稿者 松尾 順 : 15:21 | コメント (2) | トラックバック

私は、池袋駅構内が苦手です・・・

6月14日に開業した東京地下鉄・副都心線。

池袋・新宿・渋谷の三大副都心を縦断する新線として、
そして、開業以来の運営上のトラブル続きで注目集めてますね。

私はまだ乗ったことがないんですが、
乗りごこちはどんなもんでしょ?


さて、副都心線ができたおかげで、
渋谷駅構内がまずます複雑になったと言われてますね。

渋谷駅のように、様々な路線が乗り入れているため、
通路が複雑に入り組んでおり、迷いやすい駅のことを

「駅ダンジョン」

と呼ぶそうです。

“ダンジョン”は、ゲームの中に登場することの多い
迷宮の意味です。

つまり、迷宮のような駅ということですね。


渋谷に限らず、新宿、東京、池袋など大きな駅は
おしなべて「駅ダンジョン」と言えますが、
個人的に私が一番迷うのは「池袋駅」です。

学生時代には、パブレストランのウェイターのアルバイト
(蝶ネクタイとチェックのベスト着用)で毎日のように通っていた
池袋ですが、当時からなかなか全体構造がつかめず、
今に至るまで、いまだ池袋駅内では迷いそうになります。


新宿、渋谷、東京では、
ほとんど迷わないのですけどね・・・

投稿者 松尾 順 : 23:52 | コメント (4) | トラックバック

オフィスグリコの柳の下のどじょう

「オフィスグリコ」
(富山の置き薬的お菓子販売システム)

の成功に触発されてか、
最近、柳の下のどじょうがわさわさ出てきてますね。


ロッテは試験運用を経て今年から本格展開。

都心のオフィスを中心に、
専用ボックスを1万台設置することを
目標に置いています。


森永乳業も、今年からこの分野に本格進出。

オフィスに専用の冷蔵庫を置いて
ヨーグルト、プリン、牛乳などを販売します。


ふと、オフィス街で活動していたヤクルトおばさん
の将来が気になりました。

ヤクルトおばさんには、私も都心のオフィス勤めの頃、
たまにお世話になっていました。


年、オフィスビルのセキュリティが厳しくなったため、
ヤクルトおばさんがオフィスの中まで入り込んで売ることが
どんどん難しくなってますよね。

したがって、ヤクルトおばさんの、
あのカートを押して販売するスタイルは、
かなり厳しい状況に追い込まれているはずです。

しかも、森永乳業のように、
ヤクルト製品と直接競合する製品を
置き薬方式で展開されたらますます厳しくなりますね。

投稿者 松尾 順 : 10:06 | コメント (1) | トラックバック

あなたは「ホーディング」かもしれない・・・

整理整頓が苦手で、
部屋の中がゴミであふれかえっている方、
手を挙げてください!

今、手を挙げた方は、
病院に行ってお医者さんに診察してもらったほうが
いいかもしれません。


自分の住まいを

ゴミ部屋(ゴミ屋敷)

にしてしまう人は昔からいました。

最近は、自分のゴミ部屋ぶりを
ブログで自慢げに書いてる女性もいますね。


でも、表面的にはごく普通ですし、
身なりはそれなりにこぎれいな人が多いので
部屋の中がゴミタメ状態になってるとは、
とても想像もできない・・・


実は米国では、ゴミ部屋にしてしまう人は、

「強迫性障害」(OCD)

という病気の1つ、

「ホーディング」(貯蔵するという意味)

に罹患していると診断されるようになってきているそうです。
(日経ビジネスアソシエ、2008.07.15)


そうなんですよ、
そこのゴミ部屋女、ゴミ部屋男さん!

部屋がすごいことになっちゃうのは、

「だらしない性格」

だからじゃなくて「病気」だったんです。

良かったですね。もう、自分の情けない部屋を見て
自己嫌悪に陥る必要はないのです。


まあ、でも診察してもらったら結局は、

「あなたの場合、だらしない性格なだけで病気ではありません」
(つまり「仮性ホーディング」?)

なんて言われちゃうかもしれませんけど・・・

投稿者 松尾 順 : 21:38 | コメント (2) | トラックバック

『生物と無生物のあいだ』

『生物と無生物のあいだ』
(福岡伸一著、講談社現代新書)

は読みましたか?

結構固い内容なのに、
50万部を超えるベストセラーになったんですよね。


先日、福岡氏の講演を聴く機会がありました。


福岡氏は、いかにも学者然とした風貌です。

講演中は聴衆とほとんど顔を合わせず、
ゼスチャーも最小限。ややうつむき加減の姿勢まま、
あまり抑揚もなく淡々とした話し方でした。


ところが、話の内容は抜群に面白かった!

著作と同様、わかりやすい説明に加えて、
構成も十分に練られたものであることがうかがえて、
最後まで聴衆の心を捉えて離しませんでした。


最近は米国から輸入された、
インパクト重視の派手なプレゼンテーションテックニックが
もてはやされていますが、やはりまず第一に、

「内容」

の質が大事なんですよね・・・


『生物と無生物のあいだ』

投稿者 松尾 順 : 10:18 | コメント (2) | トラックバック

京都花街の経営学(4)芸舞妓さんの評価システム

お茶屋で芸舞妓さんたちを呼び、
彼女たちの舞踏を鑑賞したり、小唄、長唄を楽しむことを

「お茶屋遊び」

と呼びますが、
そもそも費用はどのくらいかかるものでしょうか?


当然ながら、費用は、顧客が希望するサービスの内容に
よって大きく変動しますし、明確な価格表は存在しませんので、
一概に言えないのですが、

『京都 舞妓と芸妓の奥座敷』
(相原恭子著、文春新書)

によれば、

午後6時~8時の2時間、
舞妓1人、芸妓1人を呼んで夕食、飲み物込み

として、お客さん3人の場合で一人当たり48,000円、
5人になると同38,000円だそうです。


また、レストランなどでの食事後の2次会として、
午後9時ごろにお茶屋に行き、食事抜きで楽しむことも
できます。(「後口」と言います)

この場合は、

午後9時~11時の2時間、
舞妓1人、芸妓1人を呼んでおつまみ、飲み物込み

で、お客さん3人で一人当たり35,000円、
5人では25,000円となります。

以上はあくまで目安ということですし、
7年前の本に記載されているので、
直近では多少高くなっているかもしれません。

まあ、確かに「お茶屋遊び」は贅沢な娯楽ではありますが、
多人数で行けば、1人当たりの金額は目の玉が飛び出るほど・・・
というほどではありませんね。


さて、お茶遊びのメインキャストである
芸舞妓さんに対して支払われる代金のことを

「花代」

と呼びます。


「花代」は、

芸舞妓さんの拘束時間(移動時間含む)x 時間単価

で計算されます。

つまり、稼働時間が多くなればなるほど、
芸舞妓さんの1人あたりの売上げが増加するという
シンプルな仕組み。


実は、芸舞妓さんの最終的な評価は、
この花代の金額の大小に応じて行われています。


毎年、正月明け、芸舞妓さんたちが所属している
学校(女紅場)では始業式が行われます。

この始業式では、新年を祝う舞や邦楽が披露されることに
加えて、前年度の売上成績上位者が表彰されるのです。

この表彰は、

「売花奨励賞」

などと呼ばれているそうですが、
文字通り、前年度の花代合計金額に基づいて、
上位からのランキングが公表されます。


新人の舞妓さんから90歳のベテランの芸妓さんまで、
すべての芸舞妓さんが同じ俎上で競争するのです。

究極の「成果主義」と言えます。


花代の時間単価は、
京都花街の場合、新人もベテランも同額ですから、
上位をゲットするポイントは稼働時間です。

つまり、

「どれだけお座敷などに呼ばれたか」

ということが鍵であり、
これは、端的にはその芸舞妓さんの

「人気度」

に等しいと言えるわけです。

ただ、注意したいのは、ここでの「人気度」は、

どれだけ指名の入るひいきのお客さんがいるか

ということだけでなく、

どの芸舞妓さんを呼ぶかというアレンジを行う
お茶屋のお母さんの評価や、仲間同士の評価も
含まれるという点です。


芸妓さんもある程度経験を積んでくると、
自分の得意なことが分かってきますから、
舞を主に行う「立方」、三味線や唄を担当する
「地方」などに、ある程度専門分化していきます。

お座敷には、立方、地方などそれぞれの役割を
受け持つ芸舞妓さんたちが複数人呼ばれますから、
例えば、特定の芸舞妓さんがひいき客から呼ばれた場合に、
その舞妓さんと役割上の相性のいい他の芸舞妓さんも
一緒にお座敷に出ることになるわけです。


このように、芸舞妓さんたちは基本、チームで動くので、
お茶屋のお母さんとしては、単に舞などの技能や接客力
が優れているだけでなく、場全体をうまく仕切る能力
(ディレクション能力)の高い芸舞妓さんは、
顧客の満足度を高めてくれるありがたい存在であり、
よく声がかかることになります。

また、お座敷での能力だけでなく、
普段の振る舞いも評価の対象となっていて、
儀礼に欠けるような行動をした芸舞妓さんは、
その評判がたちまち花街全体に伝わり、
お茶屋さんから呼ばれなくなっていくのです。


ですから、
芸舞妓さんの花代に基づくランキングは、
極めて明快な

「成果主義」

とは言え、その成果に至るプロセスの評価が
きっちりと反映されているということになります。


ですから、上位をゲットできるような芸舞妓さんは、
単なる結果に過ぎない「花代」に一喜一憂するのではなく、
そうした結果に至ったプロセス、端的には

「自分のどこが良かったのか、改善すべき点は何か」

を客観的に見つめることができる人です。

おや、ビジネスパーソンと全く同じですね。


夕学五十講 西尾久美子氏講演(08/06/16) 受講生レポート

『京都花街の経営学』
(西尾久美子著、東洋経済新報社)

『京都 舞妓と芸妓の奥座敷』
(相原恭子著、文春新書)

投稿者 松尾 順 : 13:31 | コメント (7) | トラックバック

京都花街の経営学(3)芸舞妓さんのキャリア後編

先日、地上波で放映された映画

『さくらん』(土屋アンナ主演)

の舞台は「吉原遊郭」でした。

体を売る「娼妓」(遊女、女郎)さんの世界。


しかし、「芸」は売っても
「体」は売らないのが芸舞妓さんです。


芸舞妓さんは、裾の長い着物を着るため、
屋外などすそを引きずれないところでは
左手で「褄(つま)」(着物の衿下の部分)を
持って歩きます。

これを「左褄」(ひだりつま)と呼びます。

ですから、「左褄をとる」ことは、
芸妓さんになることを意味するのだそうです。


一方、花魁(おいらん)などの遊女は、
右手で「褄」をとります。

右手で褄をとるということは、
着物の合わせ目、長じゅばんのどちらの合わせ目も
右側に来るため、男性の手が裾に入りやすくなります。
(へーそうなんですか)

しかし、左手で褄をとる芸舞妓さんの場合、
着物と長じゅばんで合わせ目が反対なるため、
男性の手が入りにくくなります。
(なるほどねぇ・・・)


つまり、芸舞妓さんが「左褄をとる」ことは、
上述の「体は売らない」という気もちを表している
のだそうです。


また、『さくらん』の主人公、きよ葉は、
8歳の時、吉原に身売りされてやってきます。

同様に、以前は、家庭の困窮などの理由で、
10歳かそこらで置屋に身売りされ、
強制的に舞妓さんにさせられてしまう女性もいました。


しかし現在は、前回ご説明したように、
中卒以降の女性が、自らの意思で舞妓になることを
決めて花街にやってきます。

それでも、置屋に住み込んでの「徒弟制度的」な
修行の毎日は、現代女性にとっては順応するのが
なかなか大変なこと。

そこで、置屋のお母さんや、先輩の芸舞妓さんだけ
でなく、花街全体で新人舞妓さんをバックアップ
するのです。


さて、舞妓さんの基本技能は、言うまでもなく

「日本舞踊」

ですから、花街にやってきた舞妓さん見習い
(正式には「仕込みさん」と呼ばれます)にとって
日本舞踊の勉強は必須科目です。


花街には日本舞踊を始め、長唄、小唄といった邦楽の唄、
三味線・鐘・太鼓・鼓・笛などの邦楽器の演奏を
教えてくれる学校があります。

芸舞妓さんのための学校は

「女紅場」(にょこうば)

と呼ばれています。

京都の花街には、
「女紅場」は全部で3つあるそうです。

舞妓さんを目指す女性は、
置屋のお母さんからも稽古をつけてもらいますが、
まずは学校に入学して日本舞踊を学び始めるのです。


私がすごいなと思うのは、芸舞妓の仕事をやっている限り、
すべての芸舞妓さんはこの学校に在籍し、学び続けるという点です。

つまり、芸舞妓さんの学校に「卒業」はないのです。

「もてなしのプロ」

としての高い評価を向上・維持することができるよう、
花街には、現役でいる限りは自分の技能を磨き続けること
のできる仕組みが内包されているというわけですね。


女紅場での「学び方」も、とても興味深いです。

前述したように、
芸舞妓でいる限りこの学校に通い続けるため、
女紅場では、経験の浅い舞妓さんから、
ベテランの芸妓さんまで皆が一緒に稽古します。


稽古の日、新人さんは朝早くに女紅場に行き、
いろいろと準備をしなければなりません。

その後、先輩から順番に稽古をつけてもらう間、
新人さんは、その稽古の様子をじっと見るのです。

「他の人の稽古を見ることも大事なお稽古」

と言われており、日本舞踊なら、先輩の手や足の動き、
またお師匠さんがどんな振りをつけ、どのように先輩を
指導するのかをしっかり見て学ぶことが奨励されている
のだそうです。


夕学五十講 西尾久美子氏講演(08/06/16) 受講生レポート

『京都花街の経営学』
(西尾久美子著、東洋経済新報社)

投稿者 松尾 順 : 15:23 | コメント (0) | トラックバック

京都花街の経営学(2)芸舞妓さんのキャリア中編

舞妓を目指す女性は、
多くは中学卒業後に「置屋」に住み込み、
約1年間にわたる集中的なトレーニングを受けます。

「置屋」とは、タレント事務所のような存在です。
経営者は基本女性です。「お母さん」と呼ばれます。

つまり、舞妓さんとは擬似的な親子関係を結ぶわけです。


置屋のお母さんは、
舞妓見習いの女性と生活を共にしながら、
舞妓に求められる立ち振る舞いや言葉遣いなどを
徹底的に仕込みます。


前述したように、
舞妓志望者は全国からやってきます。

もちろん、京言葉は話せませんし、
和服を着たこともない女性もいるそうです。
なんと、「ふすま」と「障子」の区別のつかない女性も!

要するにごく普通の若い女性なんです。
基本的な礼儀作法でさえあまり期待できない。

だからこそ、住み込んでもらって、
それこそ箸の上げ下ろしに至るまで、
細かく指導することが必要なのだそうです。


置屋のお母さんは、
舞妓さんの生活に関連した費用だけでなく、
着物代も全額払います。

着物は季節によって変える必要があり、
1人あたり何着も用意しなければなりません。

へたに安いものを着せると、
目利きの客にはお座敷に呼ばれないこともあり、
それなりのものを買わなければならない。

そもそも、着物はオーダーメイドの特注品ですし、
1年分の衣装一式は数千万円に上るそうです。

しかも、舞妓さんの着物は仕事着です。
料理を運んだり接客している時に汚したり、
破いたりすることもある。修繕代もばかにならない。

ですから、置屋にとって、
舞妓さんの衣装代は相当な負担なのです。


さて、舞妓になるための置屋での濃密な日々は、
それまでごく普通の生活を送ってきた女性にとって
相当異質な環境です。

このため約1年間の修行を無事乗り越えて、
デビューに至るのは、当初の志望者の2-3割
なのだそうです。


また、前述したように置屋は、
デビューまでに舞妓さんに対して相当な投資を
してきています。

したがって、デビュー後は最低3年は
働いてもらわないと投資分が回収できないのだそうです。

ですから、デビュー後すぐに辞められてしまったら、
投資が回収できず、置屋には赤字が残るということに
なります。

以上のことを知ると、置屋は、
有望な新人タレントを発掘して、
ボーカルやダンスレッスンを受けさせ、
売り出しのための広告宣伝などに投資する
「タレント事務所」と、確かにほぼ同じ仕組みで
運営されていることがわかりますね。


ところで、置屋のお母さん以外に、
舞妓さんの育成に重要な役割を果たすのが、
先輩の芸舞妓さんたちです。

自分よりも先にこの世界に入った
先輩の芸舞妓さんはすべて「お姉さん」と呼びます。
つまり、明確な年功による序列関係があります。

芸舞妓さんの集団写真でも、誰が一番先輩で、
二番目、三番目が誰か、新人はどの舞妓さんか
ということがすぐにわかるほどです。

舞妓さんがデビューする時は、
特定の先輩芸舞妓さんと盃を交わします。
擬似的な姉妹関係を結ぶのです。

「盃の姉」と呼ばれる先輩芸舞妓のお姉さんは、
自分の妹的な存在となった新人舞妓さんの面倒を
とことんみます。

自腹を切ってあちこち連れて行きますし、
舞妓さんがお座敷で何かミスをしたりすると、
一緒にお茶屋に頭を下げに行ってくれるのだそうです。


最近、企業で採用されることも増えてきた

「メンター」

的な役割を果たしているのが「盃の姉」なんですね。


企業内のメンターもそうですが、
盃の姉さんは、後輩の舞妓さんの面倒を見ることに
対してなんらかの報酬をもらえるわけではありません。

一方で、企業内メンターよりも、
はるかに大きな責任を感じ、自分のお金と時間を
たっぷりと投じて、後輩舞妓さんの支援を行うのです。


なぜそこまでやるのでしょうか?

一つにはそうすることが花街の伝統だから、
ということもあります。花街全体が運命共同体として
お互いに助け合うという考え方が根付いているのです。

また、置屋のお母さんと同じく、
将来のための投資行動でもあります。

例えば、お座敷には通常数人の芸舞妓さんが
呼ばれますが、自分の息のかかった後輩であれば、
チームワークが組みやすいですね。

先輩の芸妓ともなれば、
お座敷の状況に応じて複数の後輩芸舞妓さんの
役割分担を適切に指示することも求められます。

そうしたお座敷での差配のうまさも、
芸妓としての高い評価につながるのです。

また将来、自分でお茶屋を経営することにした場合、
面倒を見た芸舞妓さんであればなにかと融通が効くから
なのです。


夕学五十講 西尾久美子氏講演(08/06/16) 受講生レポート

『京都花街の経営学』
(西尾久美子著、東洋経済新報社)

投稿者 松尾 順 : 11:31 | コメント (2) | トラックバック

京都花街の経営学(1)芸舞妓さんのキャリア前編

花街の最盛期と言われたのは「昭和初期」の頃でした。

昭和4年(1930年)当時、芸舞妓さんは東京の花街に7,500人、
大阪には5,300人、京都には1,800人いたそうです。


しかしその後、社会環境や顧客ニーズの変化によって
花街は衰退の一途を辿ります。

現在、東京、京都の花街には、
それぞれ約300人の芸舞妓さんがいますが、
大阪はわずか20人足らずと壊滅状態になっています。


ただ、京都花街だけは、
近年、芸舞妓さんの数が増加に転じています。

これは、従来の内輪だけから芸舞妓さんを採用していた
慣行を破り、広く全国の女性に門戸を開いたからです。

これには当然ながら内部の反対意見も強かったそうです。

しかし、1975年には舞妓さんの数が28人にまで減少。

このままでは、

京都の舞妓さん、芸妓さんは「絶滅」してしまう、

という危機感が反対の声を押し切りました。


若い女性にとって、舞妓さんはあこがれの職業ですよね。

最近は、花街のホームページを見て舞妓さんになることを決意し、
置屋のお母さんとeメールでやりとりした結果、「舞妓見習い」と
して京都にやってくる女性もいるそうです。


ところで、舞妓さんになる資質・要件には、
どんなものがあるでしょうか?

まずなによりも「やる気・体力」だそうです。


舞妓さんのあのきらびやかな着物は、
一式15-16kgにもなります。

舞妓さんはこの重い衣装を身にまとって、
お座敷を動き回らなければなりません。

強靭な肉体を持ってないと、とても勤まらないのです。


「容姿」についてはあまり重要視されません。
顧客の好みは十人十色だからです。

外人さんも受け入れを拒否しているわけではありません。

もちろん、日本の伝統芸能や日本的な所作、礼儀作法、
京ことばをマスターしなければなりませんが。

ただ1つ身体的な問題があります。

舞妓さんは、地毛であの日本髪を結いますが、
日本人の硬めの黒髪じゃないと難しい。

外人さんのサラサラのブロンドヘアでは、
日本髪が結えないのだそうです。


なお、お座敷では、芸妓さんが小唄などを披露し、
舞妓さんは、文字通り舞を舞う以外は顧客のそばで
お酌をすることがメイン。

以前はただ黙って微笑んでいるのが良しとされた時期
もあったそうですが、最近は気の効いた会話ができること
も求められるようになってきたそうです。


夕学五十講 西尾久美子氏講演(08/06/16) 受講生レポート

『京都花街の経営学』
(西尾久美子著、東洋経済新報社)

投稿者 松尾 順 : 12:06 | コメント (0) | トラックバック