今年のボジョレ・ヌーボー

今年のボジョレ・ヌーボーはもう試しましたか?


私は、たまたま20日の解禁日当日に、
グラス1杯だけ、飲む機会がありました。

ワインは詳しくないので、
あまり偉そうなことは言えないのですが、
正直なところ、話のネタとして1杯飲めば十分かな・・・
という印象でした。
(そういえば昨年は飲まなかった)


ちなみに、日経新聞では、ボジョレ・ヌーボーは、

“新酒の方が飲みやすいぶどうや製法を使うため、
 通常のワインと異なり新酒として飲む習慣が定着したとされる”

と解説されています。


ものは言いようですよね。

口さがない人に言わせると、ボジョレは、

“長期熟成には適さない、
 あまり質の良くない品種を使っているから、
 早めに飲むしかないワイン”

ということですけど。


ともあれ、秋の風物詩として、
日本ではすっかり定着したようですが、
毎年、相当な量、輸入されているボジョレは、
全部売り切ってるるんですかね。

なにしろ、
熟成すればするほど
飲みにくくなるわけですから。

売れ残った分は、
料理酒とかに回されてるんでしょうか。

箱根小涌園のユネッサンには、

「ワイン風呂」

というお風呂があるんですが、
そこに使われていたりして。
(湯船にワインをどぼどぼと入れるのです)


売れ残りボジョレはどこに行くのか、
考えだすと夜も眠れません。

投稿者 松尾 順 : 23:24 | コメント (3) | トラックバック

アラン・グリーンスパン氏と近いなんて・・・

『あのひと検索 SPYSEE スパイシー』
    http://spysee.jp/

はご存知ですか?


Web上から収集できる情報を元にして、
個々人の情報や、関係のある人たちとのつながりを
ネットワーク図で示してくれるサービスです。

いわゆる「人脈」的なものが
可視化されているのはなかなか面白いです。


有名人から一般個人まで、
様々な人の情報が検索できますね。

有名人については、
運営会社側で登録したんでしょう。


一般個人の場合は、
自分で登録申請する必要があります。

私も早速登録してみました。


すると、一番近いつながりの中の一人に、
あの元FRB議長の

アラン・グリーンスパン氏

が表示されているのには、
ちょっと驚き、また笑いました。

以前、グリーンスパン氏の言葉を
ブログ記事でちょろっと引用したことがありますが、
もちろん彼と近い関係ではありません。


それにしても、グリーンスパン氏の先には

ビル・クリントン氏、ジョージ・H・W・ブッシュ氏

らがいるんですよ・・・

投稿者 松尾 順 : 05:50 | コメント (0) | トラックバック

マーケティングメトリックス:Web分析の新しい方法

まず、前回の記事の簡単な復習です。

マーケティングメトリックスにおいて
最も重要なのは、

「評価指標」

の取り扱いでした。


この評価指標は、
大きくは次の2つに分けて考えます。

・ゴール指標
・中間指標


ゴール指標は、

マーケティング施策全体

を総合的に評価するものです。

ですから、

・施策のどこが良かったのか?

逆に、

・どこに問題があったのか?

についての推察を行い、仮説を立て、
施策内容を改善するためにはあまり役立ちません。


そこで、ゴール指標に到達するまでの前段階で、
顧客が起こした行動や心理の変化を把握する指標が必要です。

これが

「中間指標」

です。

マーケティングメトリックスを実施するに当たっては、
多数存在する最終指標や中間指標の中から、前述したように、

マーケティング施策の目的や内容に即した指標

を選択し、指標相互の関係性を把握して、
体系化しておく必要があります。


さて、先日届いたばかりの

月刊『アイ・エム・プレス』最新号(2008.12 Vol.151)

の中の連載記事

「米国におけるeコマースの最新事情」

では、評価指標の選択に関する内容が
取り上げられていました。


今回は、その記事のポイントを簡単にご紹介します。

上記連載の今回のタイトルは、

“Web分析の新しい方法”

です。


米国のECサイト(記事中では「eテーラー」)では、
売上げと利益を伸ばし続けるためのカギは、
ビジターの行動の分析、その継続的なベンチマーキング、
トレンドの追跡だという点を理解しています。


ただ、やりかたは以前と大きく異なっているそうです。

ECサイトが従来重視していた

評価指標(記事中では「測定項目」)

は、以下の2項目でした。

-----------------------

1.コンバージョン率
 
サイト訪問者数に対する注文者数の割合

2.買い物の中断

商品をショッピングカートに入れたのに、
チェックアウト(注文完了)には至らなかった
買い物客の数

------------------------

しかし、最近のECサイトは、
もっと精密な測定を行うべきであることを
認識しています。

そのひとつの理由は、

コンバージョンや中断にいたる途中の経過

を知る必要があるからです。

すなわち、私の言葉で言えば、

「中間指標」

をもっと測定しないと、
具体的な改善施策を打てないからです。


そこで、最近注目されている測定項目として
以下のようなものがあります。

これらは、ECサイト向けの各種ソリューションを
提供している‘MarketLive’社が集計している

「MarketLive Performance Index」

で把握可能な項目です。

--------------------------

・「ワン・アンド・アウト」ビジター

1ページだけ見てサイトを離れるビジターの数。
日本では、一般に「直帰率」と呼んでいますね。

直帰率は低いほうがもちろんいい。

同記事によれば、
ホームぺージ(トップページ)に異なる商品が8つあるサイトが
最も低い「ワン・アンド・アウト率」を達成しており、
コンバージョン率はほかのサイトの3倍以上だそうです。


・検索toカート率

どの検索キーワードが、
カートに最も結びついたかを示す。

販売促進の指針として役立ちます。


・製品ページ訪問toカート率

どのページが強力にコンバージョン率に貢献しているか
を示すもの。あるページにおいてこの率が低い場合には、
コピーやグラフィックを改善すべきです。

--------------------------

同記事では、ご紹介した上記項目以外の項目についても
いくつか説明されていますが、長くなりますので割愛します。
(詳細はアイ・エム・プレス本誌を参照ください)


最近注目されている指標は、
行動の結果(すなわち「ゴール指標」)ではなく、
おおむね、なぜその行動を起こしたかという動機や、
きっかけを推測できるなものだという点に
お気づきでしょうか。


*月刊『アイ・エム・プレス』
 http://www.im-press.jp/

投稿者 松尾 順 : 11:25 | コメント (0) | トラックバック

マーケティングメトリックス:評価指標とは?

「マーケティングメトリックス」とは、
マーケティング施策の効果や効率を定量的に、
すなわち「数字」で把握するための仕組みです。


マーケティングメトリックスの運用は基本的には、

・マーケティング施策の目的や内容に基づき、
・最適な「評価指標」を選択し、
・その「評価指標」の算出に必要なデータを収集し、
・収集したデータを元に「評価指標」を算出、
・施策の効果・効率の検証を行う

という手順を踏みます。


さて、マーケティングメトリックスにおいて
最も重要なのは、

「評価指標」

の取り扱いです。


評価指標は、英語では

“Performance Indicator(s)”

と表します。

確実に把握しておくべき重要な評価指標のことを

“KPI”- Key Performance Indicator(s)-

と呼ぶのはご存知の方も多いと思いいます。


この評価指標ですが、
大きくは次の2つに分けて考えます。

・ゴール指標
・中間指標


「ゴール指標」は、「最終指標」とも言います。

マーケティング施策の最終(究極)の目的・目標
への到達度合いを評価するための指標です。


マーケティング施策の最終(究極)の目的は、
結局のところ、売上や利益ですよね。

したがって、ゴール指標は、多くの場合、

販売数、利益額、顧客獲得数、ROI(Return On Investment)

といった

「金銭的な成果」

に直結するものが選ばれます。


ゴール指標は、

マーケティング施策全体

を総合的に評価するものです。


ですから、

・施策のどこが良かったのか?

逆に、

・どこに問題があったのか?

についての推察を行って仮説を立て、
施策内容を改善するためにはあまり役立ちません。

なぜなら、文字通り施策の

「最終結果」

しか把握していないからです。


そこで、ゴール指標に到達するまでの前段階で、
顧客が起こした行動や心理の変化を把握する指標が
必要です。

それが

「中間指標」

です。

ゴール指標に‘先行’する指標であるため、

「先行指標」

と呼ぶこともあります。


ECサイトの例でゴール指標と中間指標をご説明しましょう。


・最終指標

以下のような数値が最終指標として選択されることが
多いでしょう。

 -販売額
 -利益額
 -販売数
 -新規購入者数
 -再購入者数
 -コンバージョン率(購入者数/サイト訪問者数)


・中間指標

顧客が当該ECサイトで購入する前段階の行動を把握します。
例えば次のようなものです。

 -購入中断率(カートに入れたのに購入に至らなかった割合)
 -滞在時間(商品に対する関心度や理解度を表すと考える)
 -サイト訪問者数
 -ネット広告閲覧数
 -ネット広告クリック数
 -検索エンジンからの来訪者数


マーケティングメトリックスを実施するに当たっては、
多数存在する最終指標や中間指標の中から、前述したように、

マーケティング施策の目的や内容に即した指標

を適切に選択し、指標相互の関係性を把握し、
体系化しておく必要があります。


(関連記事)
『マーケティングメトリックスとは?』

投稿者 松尾 順 : 13:18 | コメント (0) | トラックバック

保険のない国から来た私がトップセールスになれた理由

この本を読んだ後、
私は思わず著者の周小異さんに最敬礼したくなりました。

『保険のない国から来た私がトップセールスになれた理由』
(周小異著、徳間書店)


著者の周さんは、お名前からわかるように中国人です。
1年間の留学のため25歳の時、日本にやってきました。

しかし、半年後に日本人男性(松尾哲郎氏)と結婚。
中国には戻らず、日本に留まることになります。


結婚当初は専業主婦。
夫との生活習慣の違いに戸惑いながらも、
平穏な日々を送っていました。

ただ、夫から毎月渡される給与明細を見て、
給与から天引きされる各種の保険に興味を持ち、
どんなものか知りたいと思うようになったそうです。

なぜなら、当時の中国では、

「保険」

というものが、
そもそも存在していなかったからです。

周さんの両親は公務員でしたが、
公務員の場合、病気になってもお金はかからず、
年金は終身年金。30年以上勤務していれば、
定年になった時の給料がそのままずっともらえたのです。


さて、子供ができて半年後、
周さんは台湾出身の保険の女性セールス担当者と出会い、
保険について話を聞き、また、保険のセールスを一緒に
やらないかと誘われました。

周さんは、この誘いに乗ることにしました。


すでに日本に来て4年目だったとはいえ、
まだまだ日本語は十分ではありません。

日本という異国の地で、
果たして保険のセールスとしてやっていけるのか
自信はありませんでした。


しかし、中国女性は、
結婚して子供ができても働くのが普通でした。

周さんも、お金のためではなく、
社会に出て働きたかったのだそうです。

また、保険についてもっと理解を深めるためには、
自分自身で保険のセールスをやるのがよいと考えたのです。


夫には反対されました。
しかし、次の3つの約束をすることで夫の承諾を得ます。

1.友人や家族に保険を絶対に勧めないこと
2.家のことは前と同じようにすること
3.息子を保育園に入れてはいけないこと


周さんは、日本生命の採用面接を受け、
いったんは「日本語が十分にしゃべれない」という問題で
不合格になりながらも、最チャレンジ。

2度目の面接で採用が決まります。

さらに販売資格取得のための研修を懸命の努力を重ねてパスし、
保険セールス部員としての第一歩を踏み出します。


ただ、3つの約束に加えて、なんのツテもない周さんには
飛びこみ営業しか顧客獲得の方法はありません。

最初はほとんど成果が上がりませんでした。


しかし、彼女には、個人としてのプライドだけでなく、
中国人としてのメンツがありました。

自分が成功できなければ、
中国人全体の沽券にかかわると考えていたのです。

そこで、他の人よりもハンディがある分、
人よりも何倍も多く働けばよいと、
最終的には1日500軒もの飛びこみ訪問を続けて
トップセールスの仲間入りをしたのです。

この周さんの超人的な行動力の背景には、
保険のセールスを始めて2年目の頃、
夫が設立した会社がバブル崩壊で莫大な借金を
抱えてしまい、自分の収入で家計を支えるしかない
という状況もありました。


それにしても、周さんは何年にもわたってトップセールス
を続けた陰で、実は働き過ぎによるストレスのため自律神経症
をわずらい、自殺衝動にも何度か見舞われています。

肉体的・精神的にボロボロな状況にありながら、
驚異的な販売記録を残し続けたという行動力は
とても常人には真似できませんよね・・・

私が、思わず最敬礼したくなったのは、
こうした周さんの強烈な生き様に対してです。


さて、周さんの本に書かれた営業テクニックは、
実体験に裏付けられた確かなノウハウです。

学ぶところがたくさんあります。

営業バイブル本として間違いなくトップクラスでしょう。
営業関連の方はぜひ一読をオススメします。

ここでは、第4章で紹介されている

「ワンランク上のセールスになるための15の技術」

について簡単にご紹介しておきます。


1.第一印象が決め手

  相手に好印象を持ってもらえるファッションがある。
  セールスの相手によってファッションを変えるくらいの
  意識が必要。

2.失礼にならない技術

  お客さまに安心感を持ってもらえる「位置」がある。
  仕事の話になったらなるべくお客さまの隣に座る。

3.決めるのはお客さま

  セールスに必要なのは説得ではなく、気づきを与えること。

4.次のアポはその日に決める

  どうすればもう一度会うことができるか、に智恵を絞る。

5.見えない努力を見せる

  誰も見ていないところでの行動が実はお客さまには
  伝わっていく。

6.合わない人は早めに撤収

  お客さまには選ぶ権利がある。実は私たちにもある。

7.法人、会社員向け営業術

  責任者に「なぜこの会社を訪問したのか」という理由を
  説明して好印象を与える。また責任者を安心させる。

8.経営者とのビジネス

  社長相手の商談では絶対に焦ってはいけない。

9.社長とだけビジネスをするな

  従業員の人たちを味方に付ければセールスの百人力になる。

10.紹介される人、されない人

  保険のプロであること、心から喜んでセールスしていること、
  本当にお客さまのことを考えていること、自分という人間を
  すべて出していること、こうしたことが見込み客を
  紹介してもらえるセールスの条件。

11.専門分野以外も勉強を

  まだあまり知られていない情報だから、価値を持つ。
  周さんは、保険商品の知識は当然のこと、テレビの
  経済番組、新聞、ビジネス誌、トレンド情報誌、経済誌、
  マネー誌などたくさんの種類の情報を収集して、
  世の中の動きに目を光らせていた。

12.成功したら初心に戻る

  一度の成功は成功ではない。成功し続けることこそ成功。

13.すぐに忘れる

  悪いことはすぐに忘れる。いいことも忘れてしまう。

14.不調時はセールスしない

  リフレッシュ上手であることも優秀なセールスの条件。

15.1人で成功しない

  組織で成功しよう、という思いを必ず持っておく。

『保険のない国から来た私がトップセールスになれた理由』
(周小異著、徳間書店)

投稿者 松尾 順 : 11:06 | コメント (2) | トラックバック

ビジネス特許取得・・・オフィスグリコ

富山の「置き薬」と同じ方式で業績を伸ばしている、
オフィス向け菓子直販事業の

「オフィスグリコ」

がビジネス特許を取得したそうです。
(NB online、2008/11/05)


特許の名称は、

「商品ボックス管理装置、
 商品ボックス管理システムおよびプログラム」

です。これだけだと何のことだかわかりませんね。


具体的には、

利用者にとって、
いつも違う商品が入っていると感じられるように
商品を入れ替える独自の法則

を活用した「管理方式」のことです。


「置き菓子」自体のビジネス特許ではないので、
既に参入している競合他社の類似事業ができなくなる
ということはありません。

投稿者 松尾 順 : 23:21 | コメント (0) | トラックバック

テレビCM全面廃止?

今朝(08/11/12)届いた

宣伝会議ヘッドラインニュース(eメール)

によれば、モスバーガーが

「テレビCM」

の全面廃止を検討しているそうです。

不特定多数が対象のテレビCMは、
多額の費用がかかる割に効果が少ないと判断したため
とのこと。

一方、今後強化するのは、
携帯電話メールを通じた情報発信、各店独自の販促活動、
雑誌・新聞広告など。


テレビCMの最大の役割は、

ブランド名認知やブランドイメージ形成

ですが、モスバーガーの場合は、
既に十分なブランド認知と一定のブランドイメージが
形成されていますよね。

テレビCMを利用する価値は、
以前よりも低下してしまったのは確かでしょう。


そもそも、店舗の存在そのものが、
ブランド認知やブランドイメージ形成に寄与する

「広告塔」

の役割を果たしますしね。

投稿者 松尾 順 : 23:22 | コメント (0) | トラックバック

運転前に飲める酒量

このところ、飲酒運転で轢き逃げ、
被害者を何キロも引きずるという事件が
立て続けに起きましたね。


近年、飲酒運転に対する罰則が強化されたため、

「飲酒運転で捕まったらまずい」

と、思わず逃げようとする傾向が高まったのかも
しれません。


しかし、人の命よりも自分の保身に走る
というのはなんともひどい話です。


ところで、日本では

「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」

という標語があるように、
基本的に、運転する人は「飲酒厳禁」ですよね。


白状すると、私は若い頃は、

「家まですぐだし、
 生ビール1杯くらいは運転に支障ない・・・」

と都合の良い言い訳をして、
自宅近くのファミレスなどで軽く飲むこともありました。

さすがに今は、運転する場合は1滴も飲みません。


一方、米国では、
州によって違いがあると思いますが、なんと

運転前に飲める酒量

が交通ルールブックに書かれているそうです!

ビールならジョッキ1杯、ワインならグラス1杯までが標準

などなど。


つまり、ルールブックに記載されている量までなら、
飲んでも捕まることはないということですね。


このことは、
シカゴに赴任中の友人のマイミク日記で知りましたが、
この驚愕の事実にびっくりです。


もちろん、捕まらないからといって
飲んでもOKということにはなりませんよね。

投稿者 松尾 順 : 10:27 | コメント (2) | トラックバック

トイレットペーパーの三角折り

ホテル内のトイレの個室に入ると、
トイレットペーパーの端が、

「三角折り」

されてることがありますよね。


あれ、私なんかは、

「あ、まだ掃除したばっかで誰も利用してないんだ」

と思ってちょっとうれしい。

で、別にそのまま三角折りのペーパーを
利用することに何の抵抗も感じません。


ところが、他人が触ったトイレットペーパーで
自分のお尻をふきたくないと感じる人もいるんですね!

だから、三角折りの部分を切り取ってから
利用する人がいます。


あなたはどうですか?
(ってそんなことあんまり答えたくないかな)


人それぞれでなんですねぇ。

全ての人にとって心地よいことなんか、
ないんですねぇ。

投稿者 松尾 順 : 23:00 | コメント (3) | トラックバック

バニティ・コミュニケーション

「ちょっと、おねえさん、お銚子もう1本!」


地元のそば屋で飲んでた中年のおじさんが、
店の人に声をかけました。

しかし、「おねえさん」と呼ばれたその人は、
推定年齢60歳超、どこからみても「ばばあ」、
いや「おばあさん」、というかシニアな女性です。


よくまあ、正真正銘のおばあさんに、
「おねえさん」と呼びかけられるものです。

私なぞ、まだまだ修行が足りないというか、
心理的抵抗が強すぎて、

「おねえさん」

とは決して口にすることができません。


もちろん、おじさんの言葉はお世辞。

でも、たとえお世辞でも、

「おねえさん」

と呼ばれたそのシニアな女性は悪い気はしないでしょうし、
ひょっとしたら、お酒の量をちょっと多めに入れてくれるかも
しれませんよね。


上記の例の場合、年配の女性が
「おねえさん」と呼ばれてうれしいのは

「まだまだ若いと思ってる自分」

を認められたように感じたからです。


最近、

「こうありたい自分」

に近づいた気分にさせてくれるコミュニケーションが
増えているような気がします。

・メイドカフェで、
 男性客を「ご主人さま」と呼ぶこと

・バトラー(執事)カフェで、
 女性客を「お嬢様」と呼ぶこと

なども、
客をちょっとした貴族やセレブになった気分を
楽しませるためですよね。


私は、相手の「虚栄心(バニティ)」を
くすぐる上記のようなコミュニケーションのことを

「バニティ・コミュニケーション」

と命名し、研究を深めていこうと思っています。

以前、米国では一般的だという

「バニティ・サイジング」

についての記事を書きました。


これは、女性服(アウターウェア)で多いのですが、
実際のサイズよりも、

サイズ表記(L,M,Sなど)

を小さめにするというもの。

例えば、実寸では「L」サイズなのに、
「M」とサイズ表記するのです。


この業界慣行、米国だけでなく、
日本でもやっているところがあるんですね。


日本では、女性の既製服の場合、

「9号」

が標準サイズです。

ですから、9号より大きめの11号とか13号じゃない
と着れない、

ぽっちゃり女性

は9号を着れるようになるのが夢!


この女性心理につけこむ服飾メーカーは、
実寸で11号や12号の服に9号のラベルをつける。

すると、このブランドの服だと、

「9号がぴったりだわ!」

と女性が喜ぶ。

この結果、お店の売上げが伸びるというわけです。


周囲の女性の方々に聞くと、ブランドによって、
同じ号数なのに実際の大きさが随分違うそうですが、
それは

「バニティ・サイジング」

が採用されているからなんでしょうね。


なお、ブラジャーの場合、
アウターウェアとは逆の表記法になるようです。

・実寸サイズ→バニティ表記

 A→B
 B→C
 C→D

という感じ。
もちろん、「バスト」は社会通念上、
大きいほうがいいということになっているから。


「バニティ・サイジング」も、
「バニティ・コミュニケーション」も、
どちらも昨今問題になっている

「偽装」

に近いものがありますから、
乱用は避けなければならないと思います。


ちなみに、私が命名した

「バニティ・コミュニケーション」

もあえて英語表現にすることでカッコつけてますから、
バニティ・コミュニケーションそのものですね。


*関連記事

「理想の自分で行動する」

投稿者 松尾 順 : 13:47 | コメント (4) | トラックバック

購入者と利用者

商品によっては、

「購入者」と「利用者」

が違うことがありますよね。

例えば、夫の身の回りのもの(特に下着などの衣服類)は、
妻が適当に選んで買っているという家庭が多いでしょう。

これは、一般に

「代理購買」

と呼ばれていますね。


ちなみに、千趣会の方のお話で知ったんですが、
団塊の世代よりも上の年配の男性は、

「Y体」「B体」

といったスーツサイズが分からない人が多いそうですね。

奥さんが買った服をそのまま黙って着てるだけなので
自分のスーツサイズを知らないのです。


さて、今年3月、ワコールが発売した男性用ガードル、

「クロスウォーカー」

が大ヒットしています。
(日経ビジネス、2008年11月17日)


当初の販売目標は、年間20万枚でした。

ところが、この目標はわずか3ヶ月でクリア。
10月には50万枚を突破しています。


当商品は、女性向けの補正下着として、近年、
高い人気を維持している、

「スタイルサイエンス・トレーニングボトムシリーズ」
(ブランド名としては、‘おなかウォーカー’など)

の技術を男性用下着にも応用したもの。

この下着を週5日、毎日6千歩以上歩くと、
体脂肪を燃焼させ、胴囲を減少させる効果があります。


ところが、発売前の量販店バイヤー向けの商品説明会では

「売れない」

という声が多かったそうです。


その理由は、高価格であること。

当商品の価格は、

・量販店向け3,150円~
・百貨店向けは約4,935円~

です。

一般の男性用下着は1枚1,000円以下ですから、
3倍以上の価格差があります。


男性用下着の購入者は、
前述の通り、代理購買者である「主婦層」です。

低価格志向の強い主婦には、
とても受け入れられる価格ではないとバイヤーは
判断したのでしょう。


ところが、メタボに悩む現代の男性は、
これまでの下着にはなかった

「体脂肪を燃焼させる」

というクロスウォーカーの機能に注目し、
奥さんに任せるのではなく、自らスーパーに
足を運び、購入する人が増えているのだそうです。


つまり、クロスウォーカーでは、
従来の下着にみられた「代理購買」ではなく、

購入者と利用者が同一

という新たな購買パターンを生み出すことに
成功したわけです。

自分のため、しかも、「痩身」「健康」といった
現代人の最大の関心事のためであれば、多少高くても
買っちゃいますよね。


マーケティングプランを立案する際、
対象商品に関わる購買者、利用者、提案者、影響者など
立場が異なる様々なターゲットを考慮しなければなりませんが、

「クロスウォーカー」

のケースは、ターゲットを硬直的に捉えてはいけない
という教訓を与えてくれますね。


*関連記事

「愛すべきなまけものたちへ」・・・
ワコール・スタイルサイエンスのWeb-CRM

投稿者 松尾 順 : 14:40 | コメント (0) | トラックバック

変えるなら、うちの旦那よりも壁の色

東京・江東区にある某塗装リフォーム会社。

この会社が出している
交通広告(都営大江戸線・清澄白河駅など)の
キャッチコピーは、

‘変えるなら奥さんよりも壁の色’

というもの!!


この物議をかもしそうなコピーは、
既にあちこちのブログでも取り上げられていますけど・・・

どうやら社長の発案によるものらしい。


「女房と畳は新しい方がいい」

ということわざを連想させますね。

まあ、男性は「ニヤッ」として終わりでしょう。
でも、女性はこのコピーをみて憤慨する方が多いんじゃない
でしょうか?


「リフォーム」って

「中年主婦層」

がメインターゲットだと思います。


ですから、このコピーを見た中年主婦層には、

「こんな失礼な会社にはリフォームを頼まない」

とに思われてしまい、みすみす

「引き合いの件数」

を減らしているのではないでしょうかねぇ・・・?

ちなみに同社のホームページには、
上記コピーは使われておらず、真っ当なつくりです。

どうせこんなコピーにするくらいなら、

変えるなら、うちの旦那よりも壁の色

の方がいいのでは?

うちの旦那にはほとほと愛想がつきてるけど、
熟年離婚はまだちょっと先の予定だし、
とりあえず、壁の色でも変えて気をまぎらわせとくか・・・

と思う奥さんをつかまえられるように思いますが、
いかがでしょう?

ちなみに、このコピー修正案には、
うちの奥さんも激しく共感しておりました。
ハハハ・・・

投稿者 松尾 順 : 00:36 | コメント (2) | トラックバック

豚がいた教室

先日、

『豚がいた教室』

を観てきました。

実話に基づく映画だそうで。


6年2組を担当することになった新任教師が、
教室にブタを連れてきて、

「これから1年間ブタをみんなで飼育し、
 最後にはみんなで食べましょう」

という提案で物語が始まります。


「くさい」とか言いながらも、
みんなで熱心に育て、一緒に校庭で遊ぶうちに、
ブタに対する愛着が生まれた子供たち。

卒業が近づいてきて、いよいよ食べるかどうかで
真剣な議論を交わす展開がなかなか面白かったです。


そういえば、妻が、フィットネスクラブ仲間のおばあさんに

「これから、『豚がいた教室』を見に行くんですよ」

と言ったら、

「あ、それ私見たわよ。最後、●●●になっちゃうのよね」

と無邪気に「ネタばらし」されたそうです。


『豚のいた教室』は、
豚が最後にどうなるかを知らないからこそ、
ワクワクして楽しめるのに!!!


このおばあさん、
普段からとても気を遣う人だそうで、
悪気はぜんぜんないのです。

でも、このおばあさんは、

「自分が言ったことで、相手がどう感じるか」

を推測できないわけですから、
サービス業にはたぶん向いてないな・・・
と思ったのでした。
(もう隠居してる人ですから関係ないですけど)

投稿者 松尾 順 : 12:32 | コメント (0) | トラックバック

おもてなしの天才

レストランやホテルなどの「サービス産業」では、

「人の採用」

が成功の鍵だとよく言われますね。


マナー・礼儀作法のような表層的な

「接客技術」

は教えることができます。

しかし、人が口には出さないけれど、
心の奥底で望んでいることを
ちょっとしたしぐさやことばから察して、
適切な対応が自然に取れる、

「おもてなし(ホスピタリティ)の心」

は教えることができないからです。


ニューヨークのレストラン業界で大成功している、

ユニオン・スクエア・ホスピタリティ・グループ(USHG)

のCEO、ダニー・マイヤー氏も上記の考えを持っています。


彼の自伝的著作、

『おもてなしの天才』
(ダニー・マイヤー著、ダイヤモンド社)

でマイヤー氏は次のように書いています。


“(レストランにおいて)高いクオリティを維持しながら、
 温かいおもてなしをするために、情緒面と技能面の両方に
 注意してスタッフを採用する。”

“理想的な候補者を100とすれば、技能面での優秀さが49%、
 もてなしに必要な生来の情緒面の能力が51%となる。”

“従業員はとにかく51%の人々を採用しなければならない。
 技術的な研修は容易であるが、情緒面の能力を教えて
 修得させることはほぼ不可能だ。”


マイヤー氏は、自分のレストランが成功した理由は、

サービス」と「ホスピタリティ」

の違いを理解したことにあると同書で書いています。


“サービスは「独り言」、ホスピタリティは「対話」である。”

“ お客様の側に立つというのは、お客様の言葉に耳を傾け、
 五感すべてで気持ちをくみとり、思慮深く、礼儀正しく、
 適切な対応をすることだ。”

“すばらしいサービスとホスピタリティのどちらもそろってこそ、
 最高の店になれる”


私なりに言い換えると、

「サービス」

は技術的に提供可能なことに過ぎません。

さらに、情緒面の能力が必要とされる

「ホスピタリティ」

が伴わなければ、
最高の店にはなれないということでしょう。


考えてみれば、「サービス」は手厚いが、

「ホスピタリティ」

はかけらもないという店、たくさんありますね。


マイヤー氏の考え方は、
石川・和倉温泉の加賀屋のような人気旅館で体験できる、
日本人の繊細なおもてなしの根底に流れているものと、
実によく似ています。

勝手な決めつけかもしれませんが、
マイヤー氏は日本人以上に繊細なおもてなしの心を
持っている方だと感じました。


彼の考え方を
現場のすみずみまで浸透させたレストランが、
競争の激しいニューヨークで、
長年トップの座を維持しているのは当然の成果でしょうね。

同書は、

「サービスの本質」

を理解できるだけでなく、
マイヤー氏がレストランビジネスを立ち上げて
成功するまでの「リアルケース」を通じて、

「経営の本質」

を学べる経営書でもあります。


サービスやレストランに興味のある方だけでなく、
経営、リーダーシップ、人材マネジメントに
興味のある方にも一読をお勧めします。


『おもてなしの天才-ニューヨークの風雲児が実践する成功のレシピ』

投稿者 松尾 順 : 10:29 | コメント (4) | トラックバック

経営コンサルタントの企業診断力

前回、前々回で、

医師が、患者に対する問題を「診断」する方法

についての本をご紹介しました。


お医者さんは生身の人、
あるいは動物たちを診断しますが、
企業経営の診断を行うのが、

「経営コンサルタント」

ですね。


企業経営に関する問題は、しばしば

「○○病」

とたとえられます。

企業が罹患する様々な病気の中でも、
一番知られている深刻な病気は、

「大企業病」

でしょうか。


ですから、各種調査や財務データの分析、
また経営者や社員のヒアリングなどを元にして、
企業経営上の問題点(病名)を特定し、
その処方箋(解決策)を書くことは、文字通り

「企業診断」

と呼ばれることがあります。


私は20代の頃、

「中小企業診断士」
(いわゆる「経営コンサルタント」の国家資格)

の勉強をしていたのですが、
経営コンサルタントとしての企業を診断する能力
の向上には、医者と同様の段階があることを
思い出しました。


ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
中小企業診断士の資格を取得するためには、
まず企業経営全般についての網羅的・体系的な
知識を頭に入れなければなりません。

具体的には、

・経済学
・経営戦略論
・マーケティング論
・組織論
・人的資源管理
・運営管理(生産、店舗など)
・財務・会計
・経営情報システム

などです。


実は、こうした知識がまだ十分に身についていないし、
もちろん実践経験もない初期の段階では、
どんなに診断対象の企業についてたくさんの情報を
集めても、当該企業の問題がどこにあるのか、
さっぱり判断できないのです。

要するに、圧倒的な知識不足、実践不足のため、

「病名候補」

をそもそも挙げることができないのですね。


ところが、ある程度知識が身に付き、
多少とも実践経験(演習レベルですが)を積んで、
自信が生まれてくると、診断対象の企業の問題点を
発見することの面白さに目覚め、

研究開発上の問題はこれ、組織体制にも問題あり、
報酬制度にもこんな問題、マーケティングには
こんな問題・・・

などと、

「病名候補」

を何十も並べるような時期がやってきます。


まあ、実際のところ、
企業経営上の問題は、生体以上に相互に複雑に関係しあっており、
病巣があちこちに転移している場合が多いのは確かです。

しかし、そうした問題点を解決して企業を立て直すこと、
医者でいえば、病気を治療して健康体に戻すことが最終的な目的
であることを考えると、山ほどの問題点をただ羅列してもあまり
意味はありませんよね。


すべての病巣を一度に治療しようとするのは、
しばしば体制、予算、時間的に困難です。

また、企業の場合、
ある問題点が解決されたことをきっかけに、
その他の問題も一挙に解決に向かうこともある。


ですから、優れた企業診断を行うことができる
経験豊かな経営コンサルタントは、数ある問題点の中から、
重点的に治療(改善・改革)すべき

「少数の問題点」

をずばりと指摘することのできる人です。

そして、実際の治療(改善・改革)に当たっては、
その少数の問題点に経営資源を集中投下します。


いわゆる

「企業再建の神様」

と呼ばれるカリスマ経営者たちもまた、
例外なく、一流の経営コンサルタントに匹敵する
優れた企業診断力を有しています。

だから、短期間で瀕死の企業を立て直すことが
できるわけですね。


若手の経営コンサルタントの方で、
問題点をたくさん発見することに躍起になっている
自分に気付いたら要注意ですよ。

投稿者 松尾 順 : 10:47 | コメント (2) | トラックバック

誰も教えてくれなかった診断学(後編)

患者の問題解決(=病気・症状の治療)は、
患者の話を聞くことから始まります。


従来の臨床教育では、
患者の話した言葉をそのまま受動的に聞き、
カルテに記入したりプレゼンテーションすることが、
最もよい方法であると教える教師が少なくないそうです。

この発想の根底には、

「頭を使って診断を考えるのは、すべての情報を集めたあと」

という固定観念があると、

『誰も教えてくれなかった診断学』
(野口善令、福原俊一著、医学書院)

の筆者は指摘しています。


しかし、著者が考える真の問題解決は、
患者さんの言葉をただ受動的に受け止めるのではなく、
能動的に情報を引き出し、しかもこれを動きながら考える
ところにあります。

これは、患者さんの言葉から、
考えられる病名を

「仮説(診断仮説)」

として想定し、その仮説の確からしさを確認するための質問を
投げることを繰り返して、正しく病気を特定できるような、
双方向的なコミュニケーションを行うということです。

このように、能動的に情報を引き出すことにより、
より正しい診断に行き着くまでの時間の短縮や、
不要な検査や治療によってもたらされる患者の
心理的・身体的負担や有害事象のリスクの低減に
つながるのだそうです。


つまり、医師という職業においては、
的確な診断に役立つ情報を患者からうまく引き出せる

「インタビュー技術」

を磨くことも必要だということですね。


さて次に、医師は、
患者から引き出した言葉(痛みなどの症状、病歴など)
をうまく解釈して、問題解決に活用できる

「生きた情報」

に変換する必要があります。


同書では、この作業を

患者の言葉の医学情報化」

と名づけています。

これはどういうことかというと・・・

患者さんの話している言葉が、
どのような医学的意味を持っているのかを解釈し、
またその話を聞きながら、考えられる疾患名を想起する
必要があること、またそのためには、それぞれの疾患に
関する「医学知識」も蓄えていなければならないという
ことです。


以上のことは、
マーケターの世界にも、
ほぼそっくり置き換えることが可能でしょう。


「顧客」の話している言葉が、
どのようなマーケティング意味を持っているのかを解釈し、
またその話を聞きながら、考えられる顕在or潜在ニーズを
想起する必要があること、またそのためには、それぞれの
ニーズに対応できる「商品知識」(やマーケティング知識)
も蓄えていなければならないということです。

医者の場合、

“通勤途中に左胸の痛みを覚えることが多くなった”

というサラリーマンの訴えを聞いた時、
医学的知識に基づき、「胸痛」の症状を呈する様々な
病気の中から、当該患者がどんな病気(例えば「狭心症」)
であるか、適切な診断を下すわけです。


マーケターの場合なら、例えば

“短時間でさくっと運動できるといいのに!”
“男性の目が気になる”

といった消費者の声から、
気楽に立ち寄れる女性向けの運動施設に対する

「潜在ニーズ」

を読み取り、従来のフィットネスクラブと異なり、
プールやシャワーなどのない、着替えもいらない、
ご近所感覚の女性専用小規模フィットネスクラブを
構想するといったことです。


同書によれば、
医師が診断を行うに当たりまず行うのが、

「カードを引く」

という作業です。


「カード」とは、
患者の言葉から「診断仮説」として想定する

「症状と、その症状に対応した病名候補」

のことです。


患者の言葉から、適切なカードにたどり着けば、
その患者の診断は半分済んだようなものだそうです。

すでにある程度病名候補が絞り込まれているので、
必要最低限の検査で病名(問題)を特定できるからです。


面白いことに、
まだ知識・経験の浅い医者は、
引くカード(挙げる病名候補)は少ないのです。

要するに、知識・経験不足のため、
そもそも症状から想定される病名が思いつけない。


ところが、ある程度経験を積んでくると、
診断能力を競うかのように診断仮説をたくさん
並べるようになる。

でも、ベテランの域に達すると、
ツボを押えた比較的少数の実用的な診断仮説のカードを
引けるようになるのだそうです。


このあたりも、
マーケターが顧客の言葉から、
心理を的確に洞察して知見(インサイト)を引き出せる
ようになる段階と非常に似ているように感じます。


医師にしろ、マーケターにしろ、
少数の適切な仮説を立案する能力が不可欠であり、
そのためには十分な知識と知識を使いこなせるようになる
経験が前提として必要なのですね。

つまり、知識が少なすぎても仮説は立てられないし、
知識をやたらひけらかすように仮説を並べてもダメと
いうことです。


同書では、上記のカードを活用しながら、
どのように診断を行うべきなのか、情報の分析方法や思考方法
について詳細な説明が行われていますが専門的になりすぎるので
割愛します。


いつか、同書を参考に

「マーケターのための問題特定法」

といったテーマで記事を書きたいと思っています。


最後に、やみくもに情報を集めることを重視しがちな
マーケターに重要な示唆を与えるフレーズをご紹介して
終わります。

---------------------

「検査を多く重ねるほど、より正しい診断に近づく」

というのは幻想であり、

「検査をたくさん行ったほうがより確実な診断ができる」

とは限らない。

---------------------

「検査」を「調査」に、
「診断」を「知見洞察」に置き換えて
考えてみるといいですね!


『誰も教えてくれなかった診断学
 患者の言葉から診断仮説をどう作るか』
(野口善令、福原俊一著、医学書院)

投稿者 松尾 順 : 16:51 | コメント (0) | トラックバック

誰も教えてくれなかった診断学(前編)

「問題は何かが分かれば、
 その問題は半分は解けたことになる」

ということが言われます。


問題が特定できさえすれば、
適切な解決策を生み出すことは簡単です。
(その「実行」は必ずしも楽ではありませんが・・・)


しかし、もし問題の所在を間違っていたら、
どんな解決策を打ったところで解決には至りません。

むしろ問題を悪化させてしまうことさえあります。


したがって、

「問題解決」

が必要とされる状況においては、

「問題が何か」

を正しく特定することが最も重要なことなのです。


さて、本日から2回に分けてご紹介する

『誰も教えてくれなかった診断学』
(野口善令、福原俊一著、医学書院)

は医師向けに書かれた本です。


医師における問題とは、もちろん

「病気」

ですね。

そして、患者さんの病気を解決する、
すなわち、病気のタイプに応じた適切な治療を行うためには、

「患者さんの病気が何か」

を正しく診断(特定)できなければなりません。


とりわけ、医師が扱う「問題」である病気の場合、
生死に関わる場合もあるわけですから、
病気が何かを正しく見極める

「診断力」

は極めて重要な能力であるわけです。


ところが、まだまだ知識や経験の浅い
研修医や若手医師にとって、

「病気が何か」

を正しく診断するのは相当に難しいようです。


同書は、そんな医師たちに、

「病気という問題の特定方法」

をわかりやすく解説したものになっています。


私たち一般社会人には関係のない内容に思えますか?


同書には、病名とか医学の専門用語が頻出します。

ですから、私のようなモノズキでもない限り、
わざわざお読みになる必要はありません。
(私も専門用語はチンプンカンプンでした・・・)


しかし、一般社会人も日々、様々な問題に直面し、
その解決策を考え、実行することに追われていますよね。

冒頭に述べたように、
問題を正しく特定できれば、
解決策を考えるのは難しくありません。

解決策を実行するのは多くの場合困難を伴いますし、
100%の解決が保証されるわけでもありません。

しかし、少なくとも手は打てます。
問題を前にしてただ悩んだり苦しんだりしているのではなく、
具体的な行動に移せる。

したがって、

「問題を正しく特定できる力」

は、誰にとっても必要であり、また役立つ能力と
言えるのではないでしょうか。


では、次回で

『誰も教えてくれなかった診断学』

で示されている

病気の診断方法=問題の特定方法

についてご紹介しましょう。

お楽しみに!


『誰も教えてくれなかった診断学
 患者の言葉から診断仮説をどう作るか』
(野口善令、福原俊一著、医学書院)

投稿者 松尾 順 : 13:07 | コメント (0) | トラックバック

回転寿司で「バリュー・フォー・マネー」を考えた!

あなたがよく行く回転寿司チェーンはどこですか?


我が家の場合は、

「無添くら寿司」または「かっぱ寿司」

ですね。


やはり、1皿100円という安さが魅力!

「味」に対して過剰な期待はもちろん持ってませんが、
1皿100円にしては悪くない。

値段相応、あるいはそれ以上の品質だと感じます。


いわゆる、

「バリュー・フォー・マネー」

が成立しているんじゃないでしょうか。

ですから、上記チェーンは、
どの店舗もおおむね繁盛してますよね。


さて先日、10年ほど前に住んでいた家の近くにあり、
当時よく行っていた別の回転寿司チェーンの店に入りました。

ここは一皿最低130円から。
皿の柄によって180円、250円などと値段が変わる
昔ながらの価格設定を採用している店です。


このお店、休日の夜7時頃でしたから、
一番の稼ぎ時のはずなのに、店内には2、3組しか
お客さんがいませんでした。

まさに閑古鳥が鳴いている状態。
以前の繁盛していた頃を思うとなんとも寂しい限り。

客が少ないため、
鮮度が落ちて廃棄処分になるのを嫌ってか、
寿司の乗った皿もあまり回してません。

これもまたなんとも寂しい限り。


しかも、1皿300円、あるいは500円位の、
値段高めの寿司を注文してみても、
たいしておいしくない。

これだったら、1皿100円の回転寿司が
よほどマシと感じさせる味でした。


つまり、このチェーンではもはや

「バリュー・フォー・マネー」

が成立していなかったわけです。

当チェーンが撤退するのも時間の問題だろうと
勝手に思ってしまいました。


同様の状況は、

「ファミリーレストラン」

でも見られますね。


中国産ピザ生地のメラニン混入問題で、
見事な対応を取って消費者の信頼を維持した

「サイゼリヤ」

が1人勝ちです。

従来のファミレスチェーンは、
軒並み、さらなる業績悪化に苦しんでいますね。


サイゼリヤもまた、
圧倒的な安さと十分に満足できる味を
提供できているからこそ、
消費者から支持されているわけです。


一方、他のチェーンのほとんどは、

・中途半端な価格設定
・中途半端な味

しか提供できていないため、

「バリュー・フォー・マネー」

が感じられない。

このため、消費者から支持されなくなって
しまっているのでしょうね。


1皿100円の回転寿司チェーンや
サイゼリヤに共通しているのは、ひとつには、
食材段階から自社経営に乗り出すなど、

「垂直統合」

による品質管理と食材原価の低減。


もうひとつは、ITも最大限活用した、

「徹底したローコストオペレーション」

にあります。


おかげで、驚くほどの安さでありながら
一定以上の品質を維持した食事が提供できています。


他の回転寿司、ファミレスチェーンは、
もはや小手先の経営改革ではとても太刀打ち
できないのが現状です。


景気が下降気味の今、
消費者の内食(うちしょく)傾向も強まってますし、
外食産業の勝ち負けは一層はっきりしていくことに
なりそうです。

投稿者 松尾 順 : 10:27 | コメント (0) | トラックバック

マーケティングメトリックスとは?

「マーケティングメトリックス」

とは、マーケティング施策の

「効果」や「効率」

を定量的に、すなわち「数字」で測定する仕組みのことです。


「マーケティングメトリックス」の最大の意義は、
数字を活用してマーケティング施策という企業活動を

‘見える化’

することによって、
マーケティング施策の管理(コントロール)が
可能になる点にあります。


さて、このところ、一般ビジネスパーソン向けに、

・各種データの分析方法
・ビジネスにおけるデータ分析の活用例

などを解説した本が立て続けに出版されていますよね。


しかも、例えば

『定量分析実践講座』
(福澤英弘著、ファーストプレス)

のような、かなり難しい本がベストセラーになってます。
以前では考えられないことです。


こうした現象は、各種データ、およびその分析に対する
ビジネスパーソンの関心が急速に高まっていることの反映でしょう。

この背景には次の2つの要因があると考えられます。

ひとつには、IT化が進んだおかげで、
ビジネス活動においてデータが次々に生成され、
また、データの入手が容易になったこと

もうひとつは、ビジネスが高度化・複雑化したため、
データを有効活用できない企業は生き残れなくなったことです。


では、ビジネスにおいて、
データの活用はどのように進めたらいいのでしょうか?

基本的には、次のような手順を踏みます。

1. 各種データを分析し、
  各種企業活動の意思決定に役立つ知見
  (潜在ニーズの発見など)を引き出す。

2.上記知見に基づく実際の企業活動
  (製品開発、マーケティング施策等)を
  立案し、実行する。

3.上記企業活動の結果をデータ分析を通じて
  検証する。

4.検証結果に基づき、企業活動の改善を行う。


以上の手順は要するに、
マネジメントサイクル、すなわち

Plan(計画)- Do(実行)- Check(検証)- Action(改善)

の流れに沿ってデータを活用するということですね。


そして、この手順のうち、
特に「マーケティング施策」を対象として
データに基づく検証を行う仕組みが

「マーケティングメトリックス」

というわけです。


では、「マーケティングメトリックス」で何ができるのか?

それは、冒頭に述べたように、

「施策における各種目標の達成度合い」

を「数字ベース」で把握することです。

おそらく、マーケティング部門の方は、
なんらかの形で施策結果の検証をやられていると思います。

ただし、検証が不十分であったり、
そもそも検証方法がよくわからないため、
有効な検証が行えていないという企業が相当数見られます。


私は、マーケティング調査、データ分析を得意としているため、
クライアント企業のマーケティング施策の検証を数多く手がける
機会がありました。

したがって、

「マーケティングメトリックスの考え方や方法論」

についてある体系化した知識やノウハウを持っています。


今後、「マーケティングメトリックス」については、
このメルマガ&ブログで折に触れてご紹介していきたいと
思ってますのでご期待ください。


なお、ちょっと宣伝になってしまいますが、

「シナプス・マーケティング・カレッジ」

にて今秋より、

「マーケティングメトリックス」  

の講座を開講しています。

年4回ほど開講予定ですので、
興味のある方はぜひご受講ください!


[マーケティングメトリックス参考文献]

・MARKETING METRICS:
50+ Every Executive Should Master
 Paul W. Farris, Neil T. Bendle, Phillip E. Pfeifer, David J. Reibstein著
 Wharton School Publishing

・MEASURING MARKETING
103 KEY METRICS EVERY MARETER NEEDS
John Davis著
John Wiley & Sons

・INTERNET COMMERCE METRICS and MODELS
Sridhar Jagannathan, Jay Srinivasan, Jerry L. Kalman著
Prentice Hall

・実践Webマーケティング論
-Measuring the Impact of Your Web Site
Robert W. Buchanan, Jr., Charles Lukaszewski著、アクセス訳
  翔泳社

*「マーケティングメトリックス」を
 メインテーマに据えた和書は今のところないようです。

投稿者 松尾 順 : 16:44 | コメント (0) | トラックバック

背もたれの悩み

座席の「背もたれ」について長年の悩みがあります。

気の弱い私だけの悩みかもしれませんが・・・!


飛行機や観光バスに乗ると、

「お座席の背もたれをお倒しになる際は、
 後ろの方に一言お断りくださいますようお願いします」

とか言われますよね。


でも、実際、

「倒してもいいですか?」

と聞くのがとても苦手なのです。

相手から、

「いえだめです」

と言われたらいやだなあ・・とか、
もちろんそんなこと言う人はまずいないはず・・・
などと、うじうじ悩んでしまいます。

礼節のための形式的な言葉であることは、
もちろんわかってるんですけどね。


だから、上記の言葉を言わなくていいように、
我慢して倒さないこともあります。


実は、ちょっと前に関西に向かう夜行バスに乗ったんですが、
しばらくして、背もたれを倒そうと思って振り向いたんですね。

さすがに、夜行バスでは、
背もたれを倒さないと眠れないので。


幸い、後ろの方は、
自分の背もたれを倒して既にご就寝中だったので、

「倒してもいいですか?」

と言わずに済み、ホッとしました。

投稿者 松尾 順 : 14:43 | コメント (0) | トラックバック

廃タイヤバッグ

廃タイヤを材料にしたバッグを
開発・販売しているメーカーがいくつかありますよね。


先日、千代田線に乗っていたら、目の前に

「廃タイヤのビジネスバッグ」

を持っている若いビジネスマンがいました。


廃タイヤバッグの実物を近くで見たのは初めてでしたが、
すぐに、

「あ、タイヤのバッグだ!」

とわかりました。


赤い縁取りがおしゃれでした。

投稿者 松尾 順 : 11:26 | コメント (0) | トラックバック