マツムシソウ騒動・・・六合村の花つくり

料理を引き立てるために添えられる、
野山の花や枝葉のことを

「つまもの」

と呼びます。


徳島県・上勝町(かみかつちょう)では、
家の周辺でいくらでも見つかる、
ありふれた存在に過ぎない野山の花・枝葉を

「つまもの」

として商品化し、
高級料亭などに安定供給する仕組みづくりに成功。

これは、「葉っぱビジネス」と呼ばれ、
過疎化が進む地域活性化の好事例として
最近、よく紹介されます。


この例は、あまりにも身近な存在だからこそ、
その価値が当事者はなかなか見えないことが多い
ということを示唆していますよね。

また、たかが・・・と言いたくなる「葉っぱ」も、
用途によっては高い価値を生み出すことができる!

つまり、自分にとっては価値を感じないものでも、
世の中には、金を払ってでも欲しいと思う人が
いるかもしれないということも読み取れますよね。

実は、このような話は
他の地域でも起きていました。


群馬県の六合村(くにむら)は、
総面積の90%以上が山や原野という山間高冷地。

住民の多くは、
近隣の草津温泉への出稼ぎで
生計を立てています。

ただ、出稼ぎに行きたくともいけない
お年寄りもたくさんいました。


そこで、六合村では、
お年寄りが地元で働ける場所を提供すべく、
さまざまな

「地場産業起こし」
(主に、長イモ、キャベツなどの農産物生産)

に取り組みました。

しかし、

・村の耕地はほとんどが傾斜地であるため、
 機械が使えない

・お年寄りなので、手で重いものは運べない

・高冷地なので生産性が低い

・キャベツなら、嬬恋村のようにブランドが
 確立された生産地にはかなわない

といった制約・問題があり、
ことごとく失敗してしまいました。


ところが、ある部外者が、
村人にとってはありふれた存在のものに
隠れた価値を発見するのです。

その人は、
東京・自由が丘で花屋を営んでいた
フラワーデザイナーの中山昇さん。(故人)

中山さんは、
同村を訪れた時、路地などに咲き乱れる

マツムシソウ、ミズヒキソウ、レンゲショウマ

といった山野草に目を奪われました。

中山さんは、
こうした山野草を採取・栽培することが
ビジネスになると気づいたのです。

そこで、中山さんは住民に山野草の栽培を
勧めるのですが、当初、住民の反応は鈍いものでした。

マツムシソウやミズヒキソウは、
馬の餌置き場に咲いているような花。

これが売れると言われても
ピンとこなかったのです。


しかし、試しに

「マツムシソウ」

を東京の市場に出荷してみました。

すると、1本50円程度の相場のところ、
180円の高値で売れたのだそうです。


村では、

「マツムシソウ騒動」

として語り継がれているこの一件を契機に
六合村での山野草の採取・栽培が急速に
広まっていくことになります。

村に暮らす人なら誰でも、
集落から2時間ほど歩いた山中に、
マツムシソウを始めとする多くの草花が
咲いていることを知っていたからです。

花は、野菜と違って
片手で何十本も運べることから、
お年寄りにも最適の仕事でした。

現在、六合村の花つくりの年間売上は
1億5千万円超!

2億円まで伸ばすのが当面の目標です。


*以上は、編集会議(2008.04)に掲載されていた
 編集・ライター養成講座 東京教室 第15期
 卒業制作課題 優秀作品、

「平均年齢65歳で売り上げ1・5億円」
-過疎の山村で生まれた六合(くに)の花つくり
 (取材・文 小柳隼人氏)

を参考にしました。

投稿者 松尾 順 : 2008年03月10日 06:39

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