アイディアを生み出す鍵は「経験データベース」

「斬新なアイディア」を次々と生み出せるようになりたい!

これは、私にとって長年の夢。
なかなかできるようにならないのが残念です・・・


しかし、どうやったら
アイディアを生み出すことができるかという

「基本原則」

はわかってきました。それはとてもシンプル。

「火のないところに煙は立たぬ」

です。


インプットなくてアウトプットなし。
空っぽの頭でいくらうんうん唸っても、
何にも出てきやしません。


なによりも先に、
アイディアを生み出すための土壌となる

「知識」

が豊沃でなければならないのです。

ここで言う「知識」とは、あなたの頭の中に

「記憶」

として留められたもののこと。


最近は、ネットの検索エンジンで
豊富な情報が簡単に引き出せますよね・・・

しかし、検索テクニックをいくら磨いたところで、
アイディアを生み出すことには必ずしもつながりません。

なぜなら、どんなに豊富な情報を集めたとしても、
ただ自分の体を素通りさせてしまうだけなりがちだからです。


自分の記憶にとどめるためには、
様々なメディアや人々を通じて得た情報について、

「へぇ・・・そうなんだ」

と心を動かし、

「どうしてこうなんだろう」「なぜこうなるんだろう」

としっかり自分の頭で考える。
また、実際に自らの5感で体験してみる。


こうして自分の記憶に留められた

「知識」

という土壌を拡大し、耕し豊沃にしていく。

アイディアづくりは
日々の地道な土壌づくりから始まるというわけです。


電通出身のクリエイティブディレクター、コピーライター
の山本高史氏は、最新著作「案本」の中で、
私の言う「土壌」と同じ意味で、

「水がめ」

という言葉を使っています。


“自分の頭の中に「水がめ」がある。その中には「水」が
 満ちていて、それはどうも「アイディアの源」のような
 ものらしい。アイディアの源の水を汲んで、発想する。
 広告表現を考える。コピーを書く。”(案本、P67)


“「水がめ」の水を、「アイディアの源」のようなものと
 漠然と認識していたが、いまはそれが「経験データベース」
 であることを理解している。この「経験データベース」は、
 「経験=知ること」によって満たされていく”(案本、P68)


なるほど。山本氏の説明は実にわかりやすいですね。

土壌、あるいは水がめの正体は、

「経験データベース」

なのです。


そして、山本氏もまた、

「経験データベース」

を満たすためには、「意図的」に経験を増やすことが
必要だと指摘します。

“なにげなく経験を繰り返したところで、
 それは積み重ならない。ぼくらはたいていのことを
 忘れてしまうからだ。”(案本、P82)


そして、「経験」を次のように定義しています。

“なにかに遭遇して、それを意識化し、つまりそれに対して
 気持ちを動かすなりして記憶し、脳に残すこと”(案本、P83)

なお、「経験」というと旅行に行くことのような、
日常とは異なる特別なものと思いがちです。

しかし、山本氏が

「実は毎日、経験している」

と言うように、
朝起きてから夜眠るまでの毎日の生活も
経験そのものです。

すっかり慣れてしまっているために、
自動思考でなんにも考えずに過ぎてしまうがちな一日の
出来事の中から、何かに着目し、心を動かす、考える。

こうしていくらでも

「経験データベース」

は増やしていくことができるんですよ。


(参考書籍)

『案本「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための
  「脳内体験」』(山本高史著、インプレスジャパン)

投稿者 松尾 順 : 2008年05月14日 09:55

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コメント

まつおっちさん
しがっちもまったく同感です。
しがっちは、でもただ経験しただけ(野放図にすごしていただけ)ではだめだと思っていまして、修羅場経験の数だと思っています。

投稿者 しがっち : 2008年05月15日 08:32

こんにちは。
リサーチは、経験を意図的に発生させる装置とも定義できますね。特に定性とか。

投稿者 菅原 : 2008年05月15日 08:47

しがっちさん、ありがとうございます。
修羅場経験は、経営者的立場の人にとっては
特に重要ですよね。


菅原さん、ご無沙汰してます。
コメントありがとうございました。

なるほど、確かに、経験を意図的に発生させる装置が
リサーチというのは本質を突いていますね!さすが!

投稿者 松尾順 : 2008年05月15日 14:55

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