短期間でプロ並みの知識を獲得する方法・・・多面体読み

今日は、ベタな仕事のノウハウをご紹介したいと思います。


「これまでほとんど接点がなく、
 何も知らない業種・業界などの特定分野について
 短期間で十分な知識を獲得したい」

「そして、その分野のプロの方とのミーティングで、
 “なかなかやるな”“わかってるな”
 と思わせるくらいの議論ができるようになりたい」


上記のようなニーズをお持ちのビジネスパーソンの方は。
結構多いんじゃないでしょうか?

例えば、

・コンサルティングサービス
・マーケティングサービス

を事業領域とする企業、具体的には、

経営コンサルティング会社や調査会社、広告会社

は、メーカー、金融、不動産、通信、サービス等、
多岐にわたる業界の問題解決を支援しています。
(専門とする対象業界を限定している企業もありますが)


したがって、上記のような会社の営業担当者や企画担当者は、
短期間のうちに、クライアントの属する業界の知識を
獲得する必要に迫られるわけです。

私自身、20代前半から調査会社や広告会社に
属してきましたので、これまで不案内だった業界の知識を
すばやく得る方法を工夫してきました。


そして、行き着いたのが、

「多面体読み」

と私が呼んでいる方法です。

ちなみに、この方法はコンサルタントやプランナーの方が
書いたビジネスノウハウの本でも、しばしばほぼ同一の内容が
紹介されています。(その意味では、別に私独自のノウハウ
というわけではありません)

したがって、かなり普遍性の高い有効な方法であることを
保証します。


では、「多面体読み」のポイントを説明しましょう。

=======================================================

(1)対象とする分野(特定業界など)について書かれた
   入門書を5冊以上購入する。


   「○○入門」「○○がわかる本」「図解○○の仕組み」

   といったタイトルのものを内容が多少重複していても
   気にせず、できるだけ多く買います。というより、
   むしろ内容が重複していることが重要です。

   同じ専門用語や同じ業界の仕組みのことなのに、
   本によって若干異なる説明がされています。

   これは、執筆者によってものの見方や理解の仕方が
   違うからですね。もちろん、こうした説明は、
   どれが絶対的に正しいということはありません。

   したがって、複数の本を読み比べることによって、
   業界の専門用語や仕組みについて多面的に理解すること
   ができるようになるというわけです。

   そもそも、どの本にも説明されていることは、
   覚えるべき重要なポイントです。ですから、
   複数の本を読むことによって、重要なポイントを
   確実に記憶に残すことができるわけです。

=======================================================

(2)入門書は、とにかく通読して繰り返し読む。


   対象とする分野についてなんら知識を持たない段階では、
   入門書でさえほとんど内容が理解できないと思います。

   これは、「全体像」が把握できていないためです。
   
   そこで、最初はあまり理解できなくてもいいので、
   本の頭から最後まで素早く通読するようにします。

   1ページ毎に立ち止まって内容を吟味することに
   時間をかけてはいけません。むしろ繰り返し通読します。
  
   1冊当たり3-5回位読み返すのがいいでしょう。
   1回目は時間がかかると思いますが、2回目以降は
   通読時間が段々短くなってきます。

   これは対象分野の「全体像」があなたの頭の中に
   構築されてきたことを意味します。

   ここで、「全体像」は、

  「理解の枠組み」(Frame of Reference)

   と言い換えることもできます。
   外国語の学習で言えば、

   基本的な文法と最低限の単語

   を覚えた段階と同じです。

   「理解の枠組み」さえできてしまえば、
   それだけで、対象業界のプロの方とそこそこ対等な
   議論ができます。少なくとも、適切な質問をして、
   プロの方の知識を上手に引き出すことが可能になる
   でしょう。

=======================================================

(3)全体像(=理解の枠組み)ができたら、
   中・上級の専門書にチャレンジすることと並行して
   業界紙(誌)などで業界の変化を押える。


   いったん、対象分野の全体像(=理解の枠組み)が
   できたら、より高度な専門書を読みこなすのも可能に
   なってきます。

   どんな専門書を読むべきかという「目利き」もある程度
   できるでしょうから、必要に応じて中・上級の専門書を
   購入し読みましょう。

   また並行して、業界紙(誌)を最低でも過去1年分くらい
   取り寄せ、対象分野において過去から直近までどのような
   変化が起こっていたのかを把握します。
  
   こうした、日々のニュースは「フロー情報」と呼びます。
   常に変化していく流れを拾い上げたものだからです。

   一方、(2)で身につけた「全体像」(=理解の枠組み)
   はストック情報」と呼び、文字通りフロー情報を理解する
   ためのベースとなります。

   だからこそ、まず複数の入門書を繰り返して読み、
   理解の枠組みを作り上げる必要があるというわけです。

=======================================================

(留意点)

・この1冊だけ読めばOKという本はありません!

 もしあったとしても、1冊だけで得た知識は表層的なものに
 とどまります。できるだけ多くの著者の異なる見方を吸収し、
 膨らみのある多面的な知識としていきましょう。

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最後に、宣伝になってしまいますが、
上記のようなノウハウは以下の自著でも様々ご紹介しています。

ご興味のある方はぜひお読みください!

『営業はリサーチが9割!売上倍増の“情報収集”完全マニュアル』
(松尾順著、日本能率協会マネジメント出版情報事業)

投稿者 松尾 順 : 2008年05月20日 01:51

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トラックバック時刻: 2013年12月04日 22:19

コメント

まつおっちさん
その通りですね。
私のビジネス領域は医薬マーケティングがほとんどなので、業界知識というよりは、さまざまな疾患のどんな疾患か・発症メカニズム・診断・治療・予後などの知識が必要となります。
私は「しったかぶり勉強」と名づけていますが、(要は最低限お客様の前でしったかぶりできる知識を身につけ、お客様と会ったあと、でてきたお話でほんとは知らなかったことをマッハで調べるのです。・・・もちろん最低限の知識があれば、むしろ、質問するとお客さんが喜んでくれたりして)それは、解剖学、生理学をきちんとマスターしておくことです。
(看護士さんレベル)
つまり、正常な人間の身体の仕組みがきちんと分かっていれば、どこかが故障した状態が病気なので、すぐに理解できるんですね。

まつおっちさんの(1)と(2)でもとくに(2)が肝だなあと思った次第です。

しがっち

投稿者 しがっち : 2008年05月20日 08:26

どもども!

何事も基礎知識がなけりゃ仕事ができませんよね!

投稿者 松尾順 : 2008年05月20日 09:06

コメントしてください




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