お客さんの顔識別システム

先日の記事『顧客情報記憶力』で、
お客さんと直接接する立場の人(CP:Contact Personnel)、
すなわち、

営業パーソンや店員、カスタマーサポート担当者など

が高い成果を出す要件として、

「優れた記憶力」

を挙げました。

その理由は、CPがお客さんに会った時、
その方の顔や名前、プロフィール、購入履歴を即座に
思い出すことができれば、個々の顧客にカスタマイズ
された適切な対応、提案が可能になるからです。


もちろん、対応しなければならないお客さんの数が
増えてくるとさすがに頭脳で記憶することが困難になります。

そこで、顧客台帳を作成したり、顧客データベースを構築して、
顧客情報を「外部記憶」として保管し、必要な時にすばやく
顧客情報を参照して、あたかもお客さんのことを覚えていたか
のように振舞うわけですね。


さて、リアル店舗でお客さんを出迎える店員さんの場合、
お客さんの顔を見ただけですぐに名前を思い出し、

「あら、松尾さん、いつもありがとうございます!」

などと呼びかけられるのがベストですよね。


ただ、「顔」というイメージ情報は
顧客台帳でも、また顧客データベースでも管理が難しく、
顔情報で検索して、お客さんの名前やその他の情報を
参照するのは簡単ではありません。


岡山県の化粧品店「安達太陽堂」を率いるカリスマ販売員、

長谷川桂子氏

は3千人のお客さんの顔と名前を覚えているそうですが、
それでもたまに名前がどうしても思い出せない時があります。

そのままでは、お客さんの名前で呼びかけられませんし、
顧客台帳を調べて、購入履歴などを把握することもできません。

そこで、まだ新人の店員に接客させて、
さりげなく名前を聞いてもらうのだそうです。

新人であれば、名前を聞いても仕方がないと
お客さんが思ってくれるからです。


でも、こうした長谷川氏の苦労も
テクノロジーの進化のおかげで不要になりそうです。


システム開発の芝電子システムズでは、

重要顧客の来店を店員が即座に認識できる
ビデオカメラシステム

を開発しています。
(日経産業新聞、2008/07/18)


この新システム「フェースマイスター」は、
店舗側があらかじめ、顧客の顔写真、属性、商品の好み、
注意点などを顧客データベースに登録しておきます。

このシステムには、店舗入り口に設置されたカメラが
接続されています。


そして、来店した顧客の顔をそのカメラが捉えると
画像認識機能が作動、店内のパソコン画面に、
その顧客の情報、例えば

「VIP客、A社社長、前回7月1日来店、○○を購入」

といったデータが表示されるのです。


店員はこの情報をまず頭に入れて顧客を出迎え、

「○○さん、いらっしゃいませ!」
「前回お買い上げいただいた○○の調子はいかがですか?」

などと、お客さんが喜ぶ、気の利いたコミュニケーションが、
記憶力に自信のない店員さんでも可能になるというわけです。


このシステム、リアル店舗における

「CRM(Customer Relationship Management)」

においておおいに役立つと私は感じているのですが、
あなたはどう思いますか?

*『顧客情報記憶力』

投稿者 松尾 順 : 2008年09月04日 14:59

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コメント

 気温日本一で有名になった多治見市にある多治見カントリークラブでは、受付からお客様の特徴を茶店へFAXでながし、
茶店へきたゴルファーに名前で呼んでくれます。

 非常にアナログな手法ですが、親しみがもてます。

投稿者 ブールパパ : 2008年09月05日 10:03

ブールパパさん、いつもありがとうございます。

多治見カントリークラブでは、
そんなことをやってるんですね。

そこまでの手間をかけても、
お客さんが心地よい気分になってくれることが
リピーター育成に効果があると考えているのでしょうね。

投稿者 松尾順 : 2008年09月05日 12:17

 確かにすごいシステムだと思いましたが、正直自分の行っているお店が導入したら(それを知ったら)、その店からは足が遠のく・・・と思いました。

 店の扉をくぐった瞬間に、識別されちゃうなんて監視されているようであまり心地よくはないというのが理由です。
 自分を「その店の店員は全員が知っているVIP」を自認していれば違うかもしれませんが、話したことも無い店員から「前買われた商品いかがですか?」と言われても・・・と思いますし、名前も知ってる過去に買った物も知っているだけど、前回来た時に(店員と一緒に)相当悩んだ商品を「新商品が入りましたよ」なんて勧められるような拍子抜けな事も起こりそうですし。
 とまぁ、だめ出ししてしまうのもお気に入りのお店には、機械じゃなく人に顔を覚えて欲しいという願望があるんでしょうか(笑
 
 銀行やセキュリティの厳しい建物などにはいいですね!

 

投稿者 たかい : 2008年09月05日 12:22

たかいさん、コメントありがとうございます。

確かに、顧客側としてはちょっと心地よくない印象を
受けるかもしれませんね。

何事もそうですが、機械は人間の能力を拡大してくれるから
といって頼りすぎてはいけないのだと思います。

投稿者 松尾順 : 2008年09月05日 14:42

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