キリン・ザ・ゴールドの終焉

キリンさんが本格ビールとしては17年ぶり、
社運をかけて07年3月に発売した

「キリン・ザ・ゴールド」

ですが、今年(09年)2月で製造終了となりました。


私は、発売当初から

「このビールは厳しいのではないか・・・?」

という見方をしておりましたが、
予想通り定番化できませんでしたね。


不発に終わった最大の理由は、やはり

・味が平凡だった
・パッケージデザインのインパクトが弱い

の2点かと思います。


発売当初の立ち上がりはまずますだったものの、
売上が失速するのも早かったゴールドは、
途中、パッケージデザインをハデハデなものに変えるなど、
劣勢挽回の努力はしていました。


しかし、味自体の個性の弱さは
どうしようもありません。

要するに、

「ブランドポジションが不明確」

であったため、
十分な数の固定客をつかむまでには
いかなかったのでしょう。


しかも、レギュラービールなのに、
「ゴールド」という豪勢なネーミングや
上品なデザインが与える印象から

「プレミアムビール」

と勘違いされ「高い」というイメージを
持たれてしまったのも痛かったようです。


ところで、私は普段はサントリーの

「ザ・プレミアム・モルツ」

を愛飲しておりますが、
なぜかと言えばやはり、このビールの

「個性の強い味」

が好きだから。

一番最初に飲んだ時こそ、

花の香り

を思わせる味わいが気になりましたが、
飲み続けるとそれが際立つ個性として感じられ、
クセになりました。


そういえば、
いまだレギュラービールの王者として君臨する

「アサヒ スーパードライ」

も、それまでのビールになかった、

コク・キレのある爽快な味わい

が人々の心を掴んだのですよね。


私は思うのですが、結局のところ、
製品はその基本的な価値、ビールで言えば

「味そのもの」

が他のブランドとは明確に異なる
優れた特徴を持っていなければ、
どんなにデザインやマーケティングに力を入れても、
固定客を確保することはできないのです。


「キリン・ザ・ゴールド」の終焉は、
このことを教えてくれているように思います。


余談ながら、
今年5月にアサヒビールから発売予定の

「アサヒ ザ・マスター」

に期待しています。

「味わいビールの傑作」

と自ら謡っているくらいですから、
独特の味わいを提供してくれるんでしょうね?


これまで、一部の例外を除き、

ブラインドテスト(ブランド名を伏せた試飲)

をしても、
各社競合ビールの違いがほとんど区別できなかった

同質的な日本のビール市場

も少しずつ変わりつつあると言えますかね?


(関連記事)

*「キリン・ザ・ゴールド」は定番化するか?

*(続編)「キリン・ザ・ゴールド」は定番化するか?

*「キリン・ザ・ゴールド」の不発

投稿者 松尾 順 : 2009年03月05日 14:27

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コメント

こんばんは。
普段携帯から拝見しており、読み逃げしておりました(笑)。

この記事で、キリン・ザ・ゴールドがなくなることを
知りました。そういえば見なくなったなあ、と。
缶もそれなりにおしゃれだったような気が・・・。

でももうビール(発泡酒等も含め)はどれがどれだか
全く分からなくなっています。
で、分からないからエビスかモルツ買っちゃう日々です。

※私のミクシイ日記タイトルで、この記事タイトル
パクりました。
事後報告ですみません。。。

投稿者 パナコニック : 2009年03月10日 01:25

パナコニックさん、まいど!!!
コメントありがとう。

最近(だけじゃないですが)、
ビール系飲料は種類が多すぎますね。

パナコニックさんのように、
わけわからないから、いつものやつに落ち着く
という気もち、よくわかりますよ!

投稿者 松尾順 : 2009年03月17日 13:00

そう言えば最近店頭で見ないなと思い、ネットで調べたら販売は終了していたのですね。知りませんでした。最初に2本飲んで、レギュラービールなのに、パッケージとネーミングから、プレミアムな味のお買い得ビールを狙っているのかなと思い、確かにクセ(個性?)が無いですが上品な味(決してまずくはない)だなとは思っておりました。でも、途中で突然パッケージだけでなく、味も変えたんだなと飲んでみて感じました。上品な味をお買い得な価格で、料理と一緒に飲むには良いのかなと思っておりましたが、マイナーチェンジで料理には合わなくなり、以降飲むのをやめました。最初からもう少し個性がある味で、ネーミングもゴールドなので、派手目なパッケージで完全なプレミアム路線で打ち出した方が良かったのでしょうか?メーカーの販売戦略ミスなのかもしれませんが、もう少し長期的な視点でじっくりブランドを育成して欲しかったので、個人的には残念です。

投稿者 Emilio : 2009年06月11日 12:50

emilioさん、コメントありがとうございます。

ゴールドは、
大型定番に育てることを目指したビール
なのに、ヘビーユーザーではない若年層を
ターゲットに置いた点も問題でしたね。

ゴールドが好きだった人も一定数いたはずですが、
多くの消費者を惹きつけるほどの魅力には欠けて
いました・・・

投稿者 松尾 : 2009年06月12日 13:29

ゴールドは、
大型定番に育てることを目指したビール
なのに、ヘビーユーザーではない若年層を
ターゲットに置いた点も問題でしたね。

投稿者 Fox Hats : 2011年04月01日 16:03

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