消費行動3つの喜び

やや素朴な説明となりますが、
製品・サービスの消費行動に関連して
消費者が感じる喜びには、大きくは以下の
3種類がありそうです。

・買う喜び
・使う喜び
・持つ喜び


まず、「買う喜び」ですが、
これはもう単に「お金を投じる」ということから得られるもの。

「買う」という行為自体が、脳にとっては報酬です。
つまりエンドルフィン(脳内麻薬)の分泌を促すのです。


ただ、これが行き過ぎると「買い物中毒」になります・・・

テレビ通販にはまってしまい、次々と商品を購入するけれど、
届いた商品は開封さえせず部屋の隅に積んだまま、という人が、
結構いるようですね。


次に「使う喜び」。

冷蔵庫や洗濯機、掃除機などの家電用品は、
毎日の家事を楽にしてくれるものの、
必要に迫られて使うものですから、それほど

「使う喜び」

は感じにくいですよね。

しかし、パソコンやケータイ、あるいは
自動車・オートバイのような、娯楽的要素も強いものは、
これらを文字通り楽しむことから得られる喜びがあります。

サービスで言えば、
飲食店やレジャー施設はまさに、
そこを利用することが最大の喜びです。


最後の「持つ喜び」。

所有していること自体が喜びを与えてくれる。
そんな商品もあります。

高級ブランドはその典型例ですね。


ただ、必要に迫られて購入するため、
一般には「持つ喜び」を感じることのない実用品の場合でも、
高いデザイン性を付与することによって、

「持つ喜び」

を感じさせることが可能になります。


例えば、工業デザイナーの深澤直人氏がデザインした
オリジナルの家電商品を開発・販売しているベンチャー企業、

「プラマイゼロ(±0)」

「加湿器(Humidifier)」

は、中央がくぼんだ丸い形状(水滴をイメージ)が魅力的。
他の加湿器にはない

「持つ喜び」

を感じさせることに成功していますよね。


もちろん、世界のトップブランドであるソニーやアップルは、
センスの良いデザインにこだわることで、どんな商品カテゴリー
においても

「持つ喜び」

を与えることに長けていますね。
(たとえ、性能が多少劣っていたり、故障しやすくて、
 「使う喜び」が少ないことがあったとしても・・・)


小売・飲食店舗やサービス・レジャー施設の場合、
お客さんが物理的に所有することはできません。

しかし、個々の顧客の好みや特性に応じてカスタマイズした
サービスやコミュニケーションを通じて

「ここは私のお店、施設」

という擬似的な所有感を与えることは可能です。


さて、あなたの会社の製品・サービスは、

・買う喜び
・使う喜び
・持つ喜び

のそれぞれをどの程度感じさせることができていますか?

投稿者 松尾 順 : 2009年03月17日 12:43

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コメント

広島でインプロワークショップを開催しています。
インプロ=即興演劇はカタチはないし、持って帰るわけにも行かない。スキルはもちかえりができます。
とりあえず、気持ちよく帰ってもらう、次回も来てもらえるように心がけていますが、ワークショップを擬似的な所有感を持ってもらえるだろうか?
う~ん、考えどころですね・・・
どうすべぇ?

投稿者 原田 : 2009年03月17日 13:44

原田さま、コメントありがとうございます。

なるほど。スキルは持ち帰りできますね。

そのスキルに、原田さん主催のインプロワークショップ
ならではの特徴があれば、参加者はワークショップから
得られたスキルを持つ喜びがありますね。

ワークショップに対する擬似的な所有感は、
主催者側からのアプローチだけでなく、意識的に
参加者に運営の一部に関わってもらうという
アプローチもあります。

手間をかければかけるほど、その対象は自分にとって
かけがえのない存在になっていくからですね。
(星の王子さまとバラの関係がそうでした)

投稿者 松尾順 : 2009年03月17日 13:53

こんにちは。金森です。
「ギフト」も消費だと思うので、「贈る喜び」ってものもあるのではないでしょうか?
私は結構、この喜びは好きです。

投稿者 金森 : 2009年03月17日 17:42

金森さん、まいど!


そうですね。
「贈る喜び」もありました。

実際、先日の記事に書いた、
ギフト需要を掘り起こしたソニーのデジタル
フォトフレームは、贈る喜びを与えてくれる
商品でした!

うっかりしてました!

ただ、自家消費とギフトは
最初から分けて考えるべきでではありますよね。

投稿者 松尾順 : 2009年03月17日 17:58

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