「実戦マーケティング思考」のオススメ

先日、人気メルマガ

『売れたま!』

の発行者としても知られる、
ストラテジー&タクティクス社長、
佐藤義典さんの最新著作、

『実戦マーケティング思考』
(佐藤義典著、日本能率協会マネジメントセンター)

を早速読んでみました。


本書は、近年発刊された様々な
マーケティング本の中でも、
とりわけ

「独創性(オリジナリティ)」

の高い内容であり、

“アイディア発想力を強化したい!”

と考えている方にオススメの本です。


さて、本書の「ウリ」は、
序文にも書いてありますが、

「論理思考とイメージ発想の両方をフル活用して
 結果を出すスキル」

を体系化した点にあります。


論理思考は、いわゆる

「ロジカルシンキング」

のこと。

主として現状分析等のために

「物事を要素分解して整理する」

といったスキルです。

ちなみに、

3C、4P、7S、バリューチェーン

などの各種フレームワークの活用は、
論理思考のスキルに入ります。


本書では、「論理思考」については、
エッセンス中心に簡潔にわかりやすく
解説するにとどめてあります。

論理思考について詳しく書かれた本は
他にも山ほどありますからね。


とはいえ、本書をまず読んで、

「そもそも論理思考とは何か?」

という基本的な枠組みを頭に入れておくと、
他の論理思考の本の吸収が早いでしょう。


一方、本書の多くのページを割いて
手取り足取り丁寧な解説が展開されているのが

「イメージ発想」

のスキルです。


「論理思考」が、

段階的にきっちり考えを詰めていく

ようなものであるのに対し、
「イメージ発想」は、

「直感的」な「閃き」

のことであると、
佐藤さんは述べています。


佐藤さんによれば、
商品開発、あるいはマーケティング戦略を
考える際には、

論理思考とイメージ発想

の両面から考えることによって、

戦略的な一貫性を保ちつつ、具体性に富むアイディア

が出せるのだそうです。


これはどういうことなのか、
もう少し具体的に説明しましょう。

本書で説明されていることなのですが、
ダイレクトメール(DM)を作るとき、

「何」(WHAT)

を伝えるようとするかは「論理思考」で詰めるのです。

ターゲットはこんな人、
だから、その人のニーズはこう、
だから・・・

と順を追って考えるわけですね。


しかし、

「どうやって」(HOW)

伝えるかについては「イメージ発想」を駆使するのです。

ある時ふっと、

「こんなアイディアが使えるのでは・・・?」
(DMのデザインや開封させるためのギミック、
 オファーなどについて)

といったイメージが「浮かぶ」まで、
考えを巡らせるわけですね。


ここで気になるのは、

「ではどうやってイメージ発想をするの?」

という点でしょう。

本書で極めて具体的に説明してあるのが
このスキルなのです。


佐藤さんは、

「イメージスキル」

と呼んでいるのですが、
大きくは以下の3つに分けて説明されています。

・静止画イメージ
・つぶやきイメージ
・動画イメージ


さらに、

論理とイメージ

を組み合わせた思考法として、
これまで日本ではほとんど紹介されてこなかった

「モーフォロジカル・アプローチ」

という、誰でも簡単にアイディア出しが
できてしまう画期的な手法の解説にも
踏み込んでいます。


アイディア発想法の本もいろいろありますし、
私もそのほとんどを読んでおりますが、

○○法

といった各種方法論の表面的解説に
止まっているものがほとんどです。

本書のように、具体例を挙げながら、
現場で即使えるような形で説明してあることが、
私が「独創性」が高いと評価する最大のポイントです。


正直なところ、
こんな本が書ける佐藤さんには
同じマーケターとして嫉妬を禁じえません(笑)

しかし、ここは素直に脱帽して、
皆さんにも本書の活用をオススメしたいと思います。


『実戦マーケティング思考』
(佐藤義典著、日本能率協会マネジメントセンター)

*ついでにこちらも併読されたほうがより効果的ですよ。

『図解 実戦マーケティング戦略』
(佐藤義典著、日本能率協会マネジメントセンター)

投稿者 松尾 順 : 2009年04月02日 15:11

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