先が見えない「不安」、先が見えすぎる「絶望」

私は、メインのマーケティング関連のサービス
以外に、キャリアデザイン関連の仕事もやっています。

キャリアデザインの仕事に関わっていると、
人々のキャリアについての様々な悩みを聞いたり、
知る機会が当然ながら多くなるんですが・・・


このところの景気後退で増えている悩みは、

いつ現在の仕事を失うかわからない

といった、キャリアの先行きについての「不安」ですね。


まるで霧がかかっているような感覚。
人によっては真っ暗に感じているかもしれません。

前が見えないので、怖くて立ちすくんでいる、
どうしていいかわからない、ということなのです。


とはいえ、不景気になる前は、
不安がなかったかというとそんなことはないのです。

まだ、深刻な問題として顕在化していないため、
あえて不安を感じることを避けていたという人が
多いと思われます。

基本、人はばら色の未来を夢見たい。

「不幸な未来を考えたくない」

という心理があるんですよね。


さて、「不安」という心理は、

「解雇」や「降格」「減給」

のような具体的な問題として顕在化した時点では、

「焦り」や「あきらめ」

をもたらすことが多く、
不安を払拭するための行動につながりにくいと
言えます。

したがって、いたずらに
「不安」を感じないようにしたほうがいい。


しかし、平時において、
将来に対する一定の「不安」を感じていることは
むしろ必要で有意義なことです。

例えば、

「いつかこの先、もしかしたら首になるかもしれない」

という気持ちがあれば、
その時に備えて資格取得に挑戦するなど、
実際の行動につながりやすくなるからです。


さて、「今」にしか生きていない他の動物と異なり、
「未来」を予想することができる人間の心理は実に
複雑です。

先行きが見えすぎてしまってもダメなんですよね。


自分の上司の仕事内容を見て、

「この会社でがんばって昇進したところであの程度か・・・」

などと感じてしまい、
絶望したり、やる気を失った経験はありませんか?

この先がどうなるか、
あまりにもはっきりわかってしまうのは、
つまらないものです。


まあ、こんな見方しかできないのは、

「若さゆえの未熟さ」

から来ている面も大きく、
表面的には単純・簡単に思えた仕事の奥行きが、
実は意外に広いことに後になって気づくんですけどね。


先が見えないことによる「不安」
一方、先が見えすぎることによる「絶望」

どちらもネガティブな心理状態ではありますが、
前述したように、早めの不安、そしてまた絶望は、
それが未来に現実とならないためのポジティブな行動を
誘発してくれるので、勇気を持って向き合うべきなのです。


今回、キャリアをテーマに

「不安」「絶望」

といったネガティブな感情を取り上げましたが、
近年の消費行動には、ニーズ充足よりもリスク回避や
不安解消を動機とするものが多く見られます。

これについては別の機会に取り上げたいと思います。

投稿者 松尾 順 : 2009年04月06日 10:18

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コメント

先が見えないことによる「不安」
一方、先が見えすぎることによる「絶望」

本当にこの2つですね。
私の門を叩くほとんどは、後者ですがね(涙)

投稿者 モーちゃん : 2009年04月07日 08:24

自分は、「先が見えすぎることによる「絶望」」によって前職を辞め、今の仕事につきました。
前職は所謂、一部上場の大企業で、営業をしていたのですが、おっしゃる通り「若さゆえの未熟さ」故、先輩の仕事も変わらないような気がして。今思うと、本当に分かってなかったなぁと思います。

投稿者 : 2009年04月07日 10:06

モーちゃん、まいど!

企業再建の当事者だと、いつ資金繰りに窮するか
わからないという目先の不安が大きいと思いますが、
絶望を感じてモーちゃんを訪ねてくるのは若いビジネス
パーソンですかね・・・?


周さん、コメントありがとうございます。

実は、わたし自身、最初の会社では、
業界の将来性や社内の上司先輩の仕事ぶりを
表面的に見てすぐに退職してしまったのです。

後で振り返ってみれば、やはり自分の浅はかさに
気づき愕然としましたけどね・・・

投稿者 松尾順 : 2009年04月07日 12:16

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