カチッ・サー理論とは?

昨日(2/2)午後は、
ビューコミュニケーション(NPO法人)が主催する

[ECS研究会 実証実験 成果発表会]

に出席してきました。

同法人は、顧客満足度指標(CSI)をはじめとする
各種評価事業を行なっている団体です。


‘ECS'とは、拡張された顧客満足度の意味です。
(Extended Customer Satisfactionの略称でしょう)

従来のCSの概念ではカバーできない領域を指標化
しようとする試みのようです。


さて、昨日の成果発表会は、

1部:売上の科学
2部:顧客の心をつかむ科学

の2部構成でした。


1部の「売上の科学」は高度な分析方法を用いた
実証研究の話でしたので割愛します。

2部の「顧客の心をつかむ科学」について
簡単にご紹介したいと思います。


顧客の心をつかむ科学は、

『影響力の武器』

で提示された「カチッ・サー理論」が
下敷きとなっています。

これは、スイッチを「カチッ」っと入れると、
「サー」と音が流れるカセットレコーダー
(喩えが古いですけど、まだCDが普及して
ない頃に書かれた本なのです)のように、
外部からの働きかけに対して、人が無意識に、
つまり自動的に反応してしまうことを意味
しています。

そして、このカチッとスイッチを押すことの
できる働きかけの主なものが末尾に示した
10項目です。


実証実験では、この「カチッ・サー理論」を
実務の現場で実際に活用してその効果を
検証することが目的になっています。


今回は、以下の2組織の取り組み事例の
発表が行なわれました。

・自動車販売ディーラー(セールスパーソン)
・病院(看護士)

上記2組織の取り組み内容は、
明日明後日に続編としてご紹介しますね。


今日は、ビューコミュニケーションズが
指標として設定している「カチッ・サー理論」
の10項目がどんなものかを示しておきます。

------------------------------

1 返報性

受けた恩義に対しては、
将来報いなければならないという心理。

最初に無料プレゼントをもらってしまうと、
その代わりになにか買わないと悪いと感じて
しまうようなこと。

2 コミットメント

自分の態度や行動が「一貫していること」
は望ましいとみなす心理。

一度、小さい依頼に「YES」と言ってしまうと、
次の大きな依頼に対しても「YES」と言いたく
なってしまうようなこと(「NO」と言うのは、
一貫性が保てないから)

3 容姿

外見の良さ(「みだしなみ」も含む)
は好感度に大きな影響を与えるという心理。

いわゆる「ハロー効果」が効いています。

4 類似性

自分と出身地や趣味関心事が似ている人に
対して親近感を覚える心理。

5 お世辞

たとえ、真実ではないとしても、
自分を称賛してくれる人を好ましく思う心理

6 協同性

自分の味方になってくれる人、協力してくれる人
を好む心理。

7 連合性

望ましいこと、望ましくないことを
結びつけてとらえる心理。

おいしい食事の時に会った人に
対してはその好ましい思い出とその人が
結びつき、その人に対して好感を持つような
こと。

8 社会的証明

他者がどうしているかに基づいて、
自分の行動を判断してしまう心理。

「これが一番人気ですよ」と言われると、
自分も欲しくなるようなこと。

9 権威性

権威がある人は、自分よりもある分野において
知識があり、その人に従うことが自分にとって
利益になる」ということを知っているから、
無意識に服従してしまう心理。

資格や肩書きが立派な相手をむやみに
信用しがちなのは、この権威性によるもの。

10 希少性

機会を失いかけると、それはより価値が
あるものだと感じてしまう心理。

限定●●個と言われると、
売り切れる前に買わなきゃと、
たいして欲しいものではなくても
感じてしまうようなこと。

----------------------------------

上記10項目は、販売やサービスの現場で多くは、
経験則的に、つまり無意識に適用されており、
優れたセールスパーソン、サービス提供者は、
これらをうまく活用できている人々なのです。

ただ、こうして「形式知」として体系化され、
伝授されることが今までほとんどなかったという
のが現実なんですね。

では、明日は取り組み事例をご紹介します。
なかなか興味深いですよ。

『影響力の武器 第二版 なぜ人は動かされるのか』
(ロバート・B・チャルディーニ著、社会行動研究会訳、誠信書房)


ビューコミュニケーションズ Webサイト
http://www.viewcom.or.jp/index.html

投稿者 松尾 順 : 2011年02月03日 09:44

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コメント

「カチッ・サー理論とは?」という題名なのに、中身にその理論が書いていないのは販促、ぢゃなくて反則ですぅ(涙)。
おかげで、テープレコーダーのスイッチを「カチッ」と押すと、音声テープが自動的に「サーッ」と流れ出すように、この引き金に盲目的に反応して、別途検索してしまいました。。。

投稿者 佐藤秀樹 : 2011年02月03日 13:14

あれ、指摘されてみれば、
「カチッ・サー理論」そのものの説明が
不足していますね。スイマセン。

これは、外部からのなんらかの働きかけに対して、
人が無意識に、つまり自動的に反応してしまうこと
ですね。

まさに、テープレコーダーのスイッチを「カチッ」
と入れると、サーと音が流れるような仕組みがある
ようなものなのでこんな名前が付けられています。

本文中の10項目は、そんな自動反応を引き出す
主要なスイッチです。

本文加筆しておきました。

投稿者 松尾順 : 2011年02月03日 13:21

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