シンプルメッセージ&リッチコンテンツの法則

先週末に読んだ、

『教えて!カンヌ国際広告祭』(佐藤達郎著、アスキー新書)

は久しぶりにワクワクするマーケティング本でした。

これからのマーケティングコミュニケーションの
方向性について教えてくれる、示唆に富む内容です。

マーケターは、必読中の必読ですよ。


本書には、メルマガのネタとしてもいろいろと
使えるキーワードがありましたが、そのうち、
まずご紹介したいのが以下の法則です。

「シンプルメッセージ&リッチコンテンツの法則」

これは、今の時代、本当に効果率的にブランドの
コミュニケーション行なうためには、

・メッセージはシンプルに

しかし、そのメッセージを伝えるコンテンツは、

・できるだけリッチ(豊穣)にすべき

という法則です。


なお、上記の‘リッチ’とは、いわゆる動画などを
駆使した「リッチコンテンツ」の意味ではありません。

例えばTVコマーシャルなら、設定やストーリー展開に
工夫を凝らすということです。
(したがって、謎解き的な要素や複雑になることが
 多くなります。)

カンヌの受賞作を見ると、その多くは、
メッセージはシンプルでありながら表現はリッチで、
視聴者をおおいに楽しませる(エンタテイン)もの
になっています。


前掲書の著者、佐藤氏は、
日本で広告クリエイティブについて

「シンプルさ」
が語られる時、

・メッセージがシンプル
・クリエイティブがシンプル

が混同されて語られていることが多いように思う、
と述べています。

「メッセージがシンプル」であることは当然ですが、
表現がシンプルでありすぎると、わかりやすくは
なるものの、面白みに欠け、印象の弱いものになる
リスクがあります。


日本の広告の場合、
佐藤氏も、また私も感じていますが、

「あれもこれも言いたい」

というクライアントの意向を汲みすぎてしまい、
メッセージが複雑になる傾向があります。

一方で、メッセージが複雑になっていることもあって、
表現はできるだけシンプルなもの、わかりやすいもの
を求められる。

結果として、「消費者がどう受け取るか」ではなく、
「自社がなにを伝えたいか」しか考えない、
独りよがりで平板なコミュニケーションとなってしまい、
消費者の関心・興味を引くことができずに終わって
しまいがちです。


佐藤氏は次のように書いています。

“表現はすべて、「ひとつの言いたいこと=シンプル・
 メッセージ」を効果的に伝えるために、作り上げられて
 いく。受けての注意を喚起し、メッセージが受け手の
 気持ちに届くように、表現は「絞り込まれたメッセージ」
 に向かって、進んでいく。”

“つまり、メッセージとは、クリエイティブの「的」と
 言い換えることもできる。的が複数あっては、あるいは
 的がぼんやりしていては、力のある矢を射ることはできない”

本書でも紹介されている、
カンヌ金賞受賞のタイのコマーシャルは、
まさに、メッセージはシンプルだけど
表現は大変リッチな例です。

このコマーシャル、すなわちUnif Green Teaの
「ワーム(Worms)」のメッセージは、

「茶の木の先端にある最上の新芽だけを
 使用したおいしい日本茶」

というだけのシンプルなもの。
しかし、表現はこれでもかというリッチさ。

私も大好きなコマーシャル。
ぜひYoutubeでご覧になってみてください↓
Japanese/Thai tea commercial with catarpillars

『教えて!カンヌ国際広告祭』(佐藤達郎著、アスキー新書)

投稿者 松尾 順 : 2011年02月07日 12:11

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