企業は、プロとしての専門的情報をネットに流し、見つけてもらいやすくしろ!

ヤマハのフェイスブックページ、

「ヤマハ音楽部」

では、ヤマハ社内で餅を食べるイベントの写真を
投稿したらファンが減ってしまったとのこと。
(日経MJ、2012/08/06)

同ページでは、顔出ししている運営者3名が、
それぞれニックネームを持ち、音楽に関連した情報や
メンバーの音楽関連の活動を紹介しています。

現時点(2012/08/07)でのファン数は5,200人です。


ヤマハとしては、自社宣伝をやりすぎないように、
また話題を音楽に限定せず、幅広い投稿をしてきた。

しかし、ひとつ大きな勘違いをしていたのです。

それは、フェイスブックページに「いいね」を
してくれている人たちは、

「音楽部のファンではなかった


だということ。

失礼ながら、運営されていた3人の方は、
それほどキャラが際立っているわけではない
のかもしれません。(ごめんなさい)


「音楽部」ページが、音楽好きが集まっている
ページであることは間違いないでしょう。

しかし、「音楽部」自体に対するロイヤルティは、
まだ十分に形成されていなかったものと思われます。


そこで、ヤマハは運営方針を転換。

投稿内容を「音楽」に絞り、
1日当たりの投稿本数も5本から3本に減らしました。

ネタを厳選し、ファンからの投稿数などの活性化度を
示すエンゲージメント率を高めるのが狙いとのこと。


さて、フェイスブックや、ツイッターなど、
ソーシャルメディアにおける自社公式アカウントの
運営方針については、ヤマハさんに限らず、
まだまだ手探り状態という企業が多いかと思います。

ただ、おおむね、「視聴者(!)受け」を狙って、
軽い内容、おちゃらけたスタイルがベストという
思い込みがあるようです。


このこと自体は、決して間違ってはいません。

ただ、軽い内容、おちゃらけたスタイルで
ファンの心を掴むのはとても難しい。

芸人並みの、高度なお笑いのセンスが
必要になってくるからです。


私が思うのは、「芸人ぶる」以前に、
なぜ、それぞれの企業が持つ専門分野の知識を
積極的に提供することで

「お役に立つ」

という方向を狙わないのかということです。

企業はそれぞれの分野の専門家であり、
豊富な知識を抱えている。当事者にとっては、
当たり前でも、一般の消費者にとっては

「目から鱗(うろこ)」

の情報がたくさんある。

そうした情報を提供している企業こそが、
消費者から感謝され、信頼や尊敬を勝ち取り、

「ブランド(企業)ロイヤルティ」

を高めていけるのではないでしょうか。

その上で、軽いタッチの投稿を行い、

「親近感」

を高めることができればさらに良い。


そもそも、従来の企業のネットでの情報提供は、
「買って買って!」という下心見え見えの、

「商品情報」「キャンペーン情報」

ばかりが目立ち、対象顧客のお役に立つ情報の
掲載に積極的な企業は少数派です。
(コストがかかる割に、売上に直結するわけでは
 ないというのが最大の理由。)

また、せっかく対象顧客に有益な情報を掲載して
いても、検索エンジン対策(SEO対策)が不十分で、
利用者が必要としている時に

「うまく見つけてもらう」

ことにもあまり成功していません。

残念ながら、見つけてもらえない情報は、
「存在しない」に等しいのです。


実のところ、検索エンジン対策が最優先でもない。

『ウェブで儲ける人、損する人の法則』の著者、
中川淳一郎氏は、

“適切な広報活動はSEO対策に勝る”

と喝破しています。


中川氏は、その分野の専門集団である企業が、
プロとしての情報を広報的に流せば、

「ヤフー・トピックス」

のようなニュースサイトに掲載され、
多くのアクセスを集めることができると主張しています。
(しかも、その結果、多くのリンクが貼られるため、
 検索エンジン対策に結びつきます。)


玉石混交の情報、真実か嘘かわからない情報があふれる
インターネットにおいて、その道のプロである企業が
提供する情報は、基本的に信頼できる情報として、
消費者に大いに喜ばれるでしょうし、また、競合との
差異化を実現することにもつながる。

そろそろ、企業は、ネットを通じて提供する情報の
「内容のあり方」および「情報の見つけられ方」を
厳しく見直す必要があるのではないでしょうか?

*ヤマハのケースは、日経MJ(2012/08/06)の記事を
 引用しました。

『ウェブで儲ける人、損する人の法則』
(中川淳一郎著、ベストセラーズ)

投稿者 松尾 順 : 2012年08月07日 08:51

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