商品(ブランド)に対する「直感的評価」を把握する方法

「プライミング効果」を活用した調査方法で、
商品(ブランド)に対する「直感的評価」が
より正確に把握可能になります。


「プライミング効果」は、最初に触れた情報などの

「刺激」(プライム=先行するという意味)

よって、その後に触れた情報などの解釈が
影響を受けてしまうこと。

例えば、人に

「自動車」「船」「電車」

といった「乗り物」に関する単語を見せた後に、

「空を飛ぶものは何ですか?」

と聞くとたいていの人が、

「飛行機」

と答えます。


通常、「空を飛ぶものは?」と聞いたら、

「鳥」

と答える人が多くなるはずです。

しかし、先行する刺激として提示された単語が
「乗り物」ばかりだったので、無意識に

「飛行機」

と答えてしまう人が多くなる。

これがプライミング効果です。

私たちの脳は、
基本的に様々な物事・情報を

‘連想づけて’

考える仕組みになっているため、
先行する刺激(プライム)の影響を
無意識に受けてしまうのですね。


さて、プライミング効果は、
消費者の購買意欲を高めるための
マーケティングやセールス施策においても
活用されていますが、
商品・ブランドに対する

「直感的評価」

を把握することにも利用可能です。

米国で行なわれた「香水瓶」のデザインに
ついてのある研究があります。

AとBの2つの香水瓶をパソコン画面で見せた後、

「魅力的な」
「洗練された」

といった形容詞をランダムに見せます。

すると、Aの香水瓶を見せた後で、

「魅力的な」

という単語をすばやく認識できたのです。

この実験においては、

「香水瓶のデザイン」

が先行する刺激(プライム)です。

そして、その後に示された刺激としての
形容詞は、香水瓶のデザインと同じか
類似すると感じたものが優先的に認識されるはず。

したがって、Aの香水瓶を見た人は、
直感的に「魅力的」と感じていたことから、
「魅力的」という言葉を認識することができた
ということが言えます。


この方法は、従来のアンケートやインタビュー
などによる商品・ブランド評価調査と比較して、
より直感的な評価、言い換えると

「無意識ですばやく下される感情的評価」

を把握できると考えられます。


従来のアンケートやインタビュー調査では、
商品(ブランド)を見せた後に、

「印象をお聞かせください」

と質問して答えてもらう方法になります。

この場合、思考する時間があるため、
様々な要素を考慮した上での

「理性的な評価」

の影響が出てしまう。

例えば、

「パッと見いいなと思ったけど、よく見ると、
 ちょっと色が派手かもしれないな!」

 (実は、その派手さが感覚的には好きだったの
  かもしれません・・・)

などと、考え始めると、
あれこれ迷いが出てきてしまうものです。

つまり、従来の調査では、
直感的な評価にブレが生じやすくなるのです。

しかし、香水瓶の研究で採用された方法であれば、
直感的な評価をそのまま得ることができると
考えられます。


近年の消費者行動研究、脳科学などの研究から、
私たちの「購買意思決定」は、

「直感的な(感情的な)評価」

によって大きな影響を受けていることが
明らかになってきました。

したがって、直感的な評価が正確に把握できる、
プライミング効果を活用した調査方法は、
今後大いに普及していくのではないかと思います。


*香水瓶の研究については、
 日経産業新聞(2012/09/06)のコラム、

 「三浦俊彦の目」

 から引用しました。

投稿者 松尾 順 : 2012年09月06日 09:38

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コメント

鹿沼市出身48歳無職です
昔心理学修士で学びました
だけど私は頭が悪いので教授に捨てられました

投稿者 ひろしOKABE : 2012年10月26日 16:01

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