タオルなケーキ

さっき、なにげに日経デザイン(April 2006)を
めくってていたんですね。

そしたら、「ケーキの詰め合わせ」のアップ写真がでてきて
思わずヨダレが・・・
ロールケーキ、チョコレートケーキ、ストロベリーケーキ、
どれもおいしそうだったのですよ。


でも、目を近づけてよく見るとケーキの生地はタオルそっくり。
というか「タオル」そのものでした。(驚!)

これまでも、タオルを丸く結んだりしてセンス良く見せるのは
ありましたが、ここまでホンモノのケーキにそっくりなタオルを
作ってしまうなんて。

この製品は「ル・パティシェ」です。


発売開始は2005年1月。価格帯は実物のケーキと同じ。

・ムース 315円
・ショートケーキ 525円
・マフィン 262円
・ロールケーキ 630円

といった感じです。


ケーキそっくりだけど、その正体は単なるタオル。
よく考えるとずいぶん割高ですよね。

しかし、バカ売れしてます。

有名デパートの催事販売では、一日に80万円の売上げを
記録したこともあったとか。

当然、自家消費ではなくてギフト需要で売れているのですが、
「ル・パティシェ」の場合、一般のギフト商品のように
3千円とか5千円とかの予算で機械的に選ぶのではなく、
贈る相手の驚いた顔や喜んでいる様子を想像して買ってる
お客さんが多いそうです。

贈られた相手も喜ぶだろうけど、
贈る側の自分も、楽しい気持ちになれる。
脳汁ドバー状態でしょう。

こんなギフト、他にあまりないですよね。

「ル・パティシェ」は、
無機質なタオルをケーキに仕立てたことで、
視覚だけでなく、味覚にも訴える魅力を持ち、
かつ、わくわくする感情を生み出すことに成功しているわけです。

だから、割高だとは思わず喜んで買ってしまう。

「ル・パティシェ」は、デザインの力が大きな付加価値を
生み出すことを実感させてくれる商品ですね。


また、マーケティングに興味深いのは、
当製品の具体的なブランドイメージを明確にするため、
企画の段階で架空のパティシェを設定し、
その人物像を思い描いた点です。


「父親から技を受け継いだ2代目の若手パティシェ。
 大学時代をどう過ごしたか。趣味は何か。
 彼ならどんな屋号をつけるか。
 店の独自性を出すためにどんなケーキを作るか・・・。
 そういったイメージをル・パティシェのモノ作りに落とし込んだ」
(企画者のプレーリードッグ執行役員企画室長、威脇忠義氏)

そうです。

つまり、 「ペルソナ法」を応用していたようです。
ペルソナ法はブランディングにも有効な思考ツールなんですね。

投稿者 松尾 順 : 2006年03月31日 06:00

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