めんどくさいこと

毎日遅くまで働いていたりすると、

「楽に、手っ取り早く儲けられたらいいなあ・・・」

って思うことありますよね。


でも、自分がお客さんの立場だった時に、

「楽して手っ取り早く儲けたい」

と考えている人から、何か買いたいと思いますか?


単に「いいカモ」にされているだけに感じられて、
決して買いたいとは思わないはずです。


とはいえ、ネット上には、

「楽に手っ取り早く儲かるノウハウ」

を言葉巧みに売りまくって、

「楽に手っ取り早く儲けてる人」があふれていますけどね。

(「情報起業」自体を否定する気はありません)


実のところ、短い間だけなら、
楽に手っ取り早く儲けることは可能だと思います。

しかし、一度カモにされたと感じたお客さんを
リピーターにすることは難しい。

つまり、継続性のある事業にすることはできないのが現実。


ですから、安定的に収益の上がる息の長いビジネスを
展開したかったら、

やるべきことは、

「お客さんが喜ぶことで、他の人、会社がやりたがらない、
 手間のかかるめんどくさいことを続けること」

だと思います。


昨日の「CRMリテラシー」で紹介した酒屋さんがやっていること
は、毎月ニューズレターを書くというめんどくさいことでした。

結果として、固定客がつきビールが正価で売れる。


また、カリスマ販売員として有名な、安達太陽堂の長谷川桂子氏
は、腱鞘炎を我慢しながら、毎年累計2万通の手紙をお客さんに
書いています。

通信販売企業の中には、購入客に対して手書きの礼状を書く
専任スタッフを数人雇っているところもありますよね。


沖縄の「小福」という小料理屋のおかみは、
毎日、ちょっとした言葉を色紙に書いてお手洗いに貼っていました。

毎日、新しい言葉を考えて色紙を書くのはとっても面倒なことだと
思いますが、それを知ってるお客さんは、その色紙見たさに
繰り返し行きたくなるのです。(料理もおいしいですけどね)


どの業界であれ、今、トップセールスマンの地位にいる人は、
はたから見れば実に非効率的で面倒な顧客サービスを
徹底してやっています。

だからこそ、お客さんから全幅の信頼を得て、
ほぼ口コミだけで安定的な業績を残してきています。


私は確信しているんですが、

一見お金の無駄に思える面倒なことをやり続けることこそが、
長期的に儲かり続ける唯一の方策であること、

そして

このことを真に理解し、実行できる人や企業だけが
今の厳しい環境で生き残っていけるのではないでしょうか?


ここまで書いてきてふと気づいたのですが、
ひょっとして、「CRM」の考え方が理解できない人、
つまりCRMリテラシーが低い人は、
面倒くさいことをやりたくないから、(無意識に)
理解できないふりをしてるのかも知れませんね。

投稿者 松尾 順 : 2007年01月12日 07:50

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コメント

そうですね。めんどくさいこと、つまり手間がかかることをやっていらっしゃる方の態度とういか姿勢って、お客としてあちこちの店や売り場に行くと伝わりますよね。

どう伝わるかというと、むやみに売りつけようとするのではなくって、こちらが望むもの、または望んでいるけどイメージがまだ掴めていないものに対して、出来ればもちろん売れたほうがいいとはどかでは思っているのでしょうけれど、一生懸命アドバイスしてくれたりしている姿を目の当たりにすると、うーん、やっぱり誠意を感じますよね。

それに、そういう方の多くは、サービスとかアドバイスとかがめんどうだと思っていなくって、それをすることが自然というか好きというか、なんかそんな感じさえします。

なので、もちろんめんどくさいことをめんどくさがらずにやるというのは努力でも補えるのでしょうけれど、サービス精神の有無といった資質も関係しているのかもしれないなぁと思うことも多々あります。

まぁ、その資質があって、そのうえでサービスとういうことについての探求や改良への努力が加わるというのが理想なのかもしれませんね。
理想と言ってしまいましたが、実際にそういう方々っていろろな方面にいらっしゃることも事実なので、叶わぬ夢のような位置づけではなくて、現実にかなり寄り添った理想だろうなぁとも思います。

投稿者 Jules : 2007年01月12日 12:12

感激です!
テーマが見事にシンクロしちゃいましたね。^^;

> 面倒くさいことをやりたくないから

“効率”と“効果”、言い方を変えれば“手段”と“目的”を理解していないか、理解しているのに見失っている人、最近増えてるように思います。

投稿者 課長007 : 2007年01月12日 14:39

Julesさん;

相手のために役立つことを最優先にすると、しばしば効率が犠牲になりますでも、これは実は結構最初のうちだけで、いったんファンになってくれると、手間がかからなくなるし、値引きしなくても買ってくれるようになるという好循環に入りますよね。

また、ご指摘のとおり、誠意とか相手のためにやってあげたいといったホスピタリティは資質が大きく関係してますね。
だから、ホテルが人を採用する場合は、こうした資質の有無をしっかり見るわけです。

課長007さん;

効率と効果、手段と目的の履き違えの指摘は鋭いです!
企業組織はしばしば、手段が目的化し、効率が効果より優先されるという変なことが起きますよね・・・

投稿者 松尾 順 : 2007年01月13日 13:43

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