影響力を解剖する(2)無意図的影響力-1

「人に影響を与えること」は、大きくは

「意図的」と「無意図的」

に分けることができます。


変な例ですいませんが、あなたは、ある晩、
酒を飲みすぎて金を使い果たし、
帰りのタクシー賃がなくなってしまいました。
(1回くらいこんな経験ありますよね・・・)

そこで、一緒にいた友人にお金を貸してもらおうと、
丁寧な言葉で頼んだところ、渋々ながらもお金を貸してくれた
とします。


この場合、あなたは、友人に対して

「意図的」

に影響力を行使したということになります。
つまり、意図的な言葉によって、相手から「金を貸す」
という行動を引き出したわけです。


一方、本人が意識しないのに、他の人に影響を与えてしまう、
また逆に、頼まれもしないのに、他の人の影響を受けてしまう
ということがあります。

「無意図的」な影響力です。


さて、無意図的な影響力は、

『影響力を解剖する』

では、次の6種類が挙げられています。

・参照影響力
・行動感染
・観察学習(モデリング)
・傍観者効果
・社会的促進・社会的手抜き
・漏れ聞き効果

今回は、このうち最初の3つについてご紹介します。


[参照影響力]

これは、たとえば、
好きなタレントや、尊敬する上司・先輩の服装や行動などを
真似することです。


参照影響力は、男性より女性のほうが大きいと
別のところで聞いたことがあります。

女性ファッション雑誌から、カリスマスーパーモデルが
次々と登場するのはそのひとつの現れでしょう。

女性は、スーパーモデルのような女性の理想像に憧れ、
彼女たちと同じ服やアクセサリーを身に着けたいと願う
気持ちが強いのです。

一方、男性ファッション雑誌のスーパーモデルは
それほど注目されませんよね・・・


[行動感染]

「空を見上げていると一群の人たちがいると、
 ついその人たちと同じ行動をとってしまう。」

「一人が信号無視をして横断歩道を渡り始めるのを見ると、
 自分も横断し始める。」

上記のような例が、行動感染です。


なぜ、無意識レベルで他人の行動を真似してしまうのでしょうか?

ひとつは「好奇心」から、もうひとつは、

「他者と同じような行動をしておけば間違いない、
 とがめられることはない」

という付和雷同的心理が働くからです。


これは、『影響力の武器』では、

「社会的証明」

という言葉で説明されています。


「社会的証明」とは、

「私たちは、他人が何を正しいと考えているかにもとづいて
 物事が正しいかどうかを判断する」

というものです。


「周りが買ってるから、自分も買わなきゃ」

という消費者心理が生み出す

「ブーム」

も「行動感染」のなせる業ですね。


[観察学習(モデリング)]

「お茶の心得がないのに茶会に呼ばれ、
どのように振舞ってよいのかわからないので、
作法を知っていそうな人の振る舞いをそのまま真似をする」

こんな例が「影響力を解剖する」に挙げられています。


人は、自分自身の体験からだけでなく、
人の行動や体験からも学ぶことができます。


ちなみに、

「人の振り見て我が振り直せ」

ということわざは、「観察学習」が下手な人に
向けられた言葉です。(笑)


また、子供は、親の背中を見て育ちます。

すなわち、子供は最も身近な自分の「親」を
観察することによって、自分がどのように考え、
行動すべきかを学ぶ(真似る)のです。


本当に親の責任って、大きいですよね。

意図的にも、また無意図的にも、
子供に最も大きな影響力を行使しているのは

「親」

なんですから。


『影響力を解剖する』
(今井芳昭著、福村出版)

投稿者 松尾 順 : 2007年08月14日 14:02

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