影響力を解剖する(4)意図的な影響

今回は「意図的な影響」についてです。


意図的な影響の場合、
影響の与え手には、何らかの「目標」(意図)があって、
受け手に影響を与えようとします。


この時、与え手が持つ「目標」(意図)を受け手に

・わかるように見せる(明示的)
・わからないようにする(隠ぺい的)

という目標の見せ方の違いで、
影響力を2つに細分することができます。


目標を明示して意図的に影響を与えることは、
私たちが日常的にやってることですね。

(友人に)「荷物を運んでくれるかな?」・・・依頼
(部下に)「明日までに企画書を作成するように」・・・指示

など。


一方、「隠ぺい的」な影響とは、
受け手が気づかないうちに、
与え手の望むような態度の変化や行動を
取らされてしまうことですから、

「策略的」

な意味合いがありますね。
直截に言ってしまえば、「相手をだます」こと。
(行き過ぎると「犯罪」になりますね)


実は、

「相手を思いのままに動かす法」

みたいな傲慢系の本で紹介されている

「説得テクニック」

の多くは、この「隠ぺい的影響力」の使い方です。


さて、この隠ぺい的影響力の行使方法として、
『影響力を解剖する』では、

・テクニカルな依頼法
・議題のコントロール
・情報操作
・環境操作

などがあると述べられています。


[テクニカルな依頼法]

「テクニカルな依頼法」は、
『影響力の武器』にもさまざま紹介されています。

例えば、最初に断られるのを承知で、
大きめの依頼(例:10万円貸して!)をしておいて、次に、
承諾させたい真の依頼(例:じゃあ、1万円でいいから貸して!)
をするテクニックがあります。


「ドア・イン・ザ・フェイス」

と呼ばれるものです。

これは、依頼する側が意図的に譲歩(10万円→1万円)することで、
相手にも「こちらも譲歩しないと悪いな」と思わせることによって、
相手からの承諾を引き出す方法。

こうしたテクニックは、
何段階かのコミュニケーションが行われるので、

「段階的依頼法」

と呼ばれています。


セールスマンが頻繁に活用しているテクニックですよ。
詳しくは、『影響力の武器』をご覧になることをお勧めします。


[議題のコントロール]

「議題のコントロールは、
会議を開く際に、あらかじめ議題を選んでおくことによって、
やっかいな話になりそうな議題を避けたり、
問題の起きないように議題の順番づけをすることです。


[情報操作]

「情報操作」は、
自分に都合のよい情報だけを伝えたり、逆に
都合の悪い情報は流さない、といった行動のこと。

「広告」の信頼性が疑われるのは、
消費者が、広告における「情報操作」のにおいを
かぎとってしまうことにあると言えます。


[環境操作]

スーパーのBGMにテンポのよい音楽を流すことで、
来店客の購買意欲を高める、

といったように「環境」を操作することによって、
受け手が影響を受けやすくすることです。


「環境」とは、具体的には、

環境音楽(BGM)、香り、照明、室内のレイアウト
(机の配置など)

のこと。


異性を口説く際に、
照明を落とした落ち着いた雰囲気の店を選ぶのも、

「環境操作」

であることは言うまでもありません。


「香水」をつけるのも環境操作と言えますね。

コマーシャルやWebサイトを見る限り、

「一瞬にして女性を虜(とりこ)にしてしまう」

と期待させる男性用フレグランスボディスプレー

「AXE」

の効き目は実際どんなもんでしょうね?


『影響力を解剖する』
(今井芳昭著、福村出版)

投稿者 松尾 順 : 2007年08月16日 10:51

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コメント

こんばんは!

学生の頃マーケティングは全然学ばなかったから勉強させていただいています。

マーケティングもまた、体系的な学問なんだなあ、と思いました。

少しずつでもm松尾様のブログで得た知識を利用できないものか、考えたいと思っています。

投稿者 s2 : 2007年08月17日 03:04

S2さん、まいど!

こうした体系的な理論は、一見実践的でないように思えますが、普遍的な原理原則ですから、その気になればすぐに応用可能ですよ。どうやったら応用できるか、自分の仕事の中で考えればいいだけです。

がんばってください!

投稿者 松尾順 : 2007年08月17日 06:24

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