赤青白のサインポールのない床屋なんて・・・

製品・サービス選択時の評価や意思決定を
無意識に行なわせる

「シグナル」(合図)

は極めて重要な働きをしています。


今年(2012年)8月末、事務所(文京区本郷)の近くに

「1,000円床屋」

がオープンしていました。

この理髪店のある通りはほぼ毎日通っているのですが、
開店して数日はまったく気づかなかったのです。

友人に教えられてようやく

「あれ、そうなんだ!」

と驚いた次第。

ちょうど髪を切ろうと思っていたところだったので、
早速入ってみたところ、閑古鳥が鳴いていました(笑)


チェーン店ではなく、個人での開業です。

徒歩10分圏内に同一価格帯の競合店はなく、
また東京大学も近いことから、立地としては

「穴場」

だと思われます。

オーナーさんに髪を切ってもらいながら、
話をしたところ、開業したてだし、夏休み中で
学生さんも少ないので、駅前でチラシを配布する
などの販促はまだ行なっていないとのこと。

まあ、最初から千客万来とは行かないにしろ、
お客さんが少ないのは残念なこと。

もちろん、開店したてで、そもそもの存在が
認知されていないのが最大の原因であるのは、
オーナーも自覚していました。

とはいえ、私自身、毎日前を通っているのに
気付かなかったのは、床屋でおなじみの

「サインポール」(赤・青・白の渦巻き模様)

がまだ手配中で届いていなかったという理由が
大きい。

料金などを表示した「立て看板」は、
外の見えるところに出してありました。

しかし、あのサインポールがないと、
たとえ床屋だとわかったとしても、
なんとなく店に入る気がしないものです。


私たちは小さい頃から、

「あのサインポールは床屋さんだ」

ということを経験などを通じて繰り返し学習し、
無意識に結びつけるようになっています。

「赤青白のサインポール」→「床屋」

という条件反射が形成されているというわけですね。

したがって、サインボールがない場合、
「床屋」であるとの連想が起こらず、

「たぶん床屋なんだろうけど、大丈夫かな・・・」

という不安をかきたててしまうのです。

つまり、床屋にとって、あのサインポールは、

「うちは正真正銘の床屋です」

ということを直感的に知らせることのできる

「シグナル」(合図)

としての重要な役割を果たしているのです。

ちなみに、冒頭の1,000円床屋の店頭には、
先日からサインポールが存在感を示しています。

やっぱりあれがあると違う!
今後、来店客は着実に増えていくことでしょう。


さて、床屋に限らず、私たち消費者はあらゆる場面で、
「評価」や「意思決定」を楽にすばやく行なうため、

「シグナル」

を利用しています。


たとえば、有名ブランドの

「ロゴマーク」

もシグナルの一つ。

私たちは、どれを選んでいいかわからないとき、

「ロゴマーク」

で選択することが多いものです。

有名ブランドは、

「品質」や「安全性」

などが、まず大丈夫であるということが、
過去の経験(本人、他人の経験や伝聞含む)
からわかっています。(そのように学習済みです)

だから、有名ブランドのロゴマークは、

「購入してもまず失敗しない商品」

というシグナルとして機能しているわけです。


また、思わぬものが

「シグナル」

の役割を果たしていることもあります。

ある通信講座のダイレクトメールでは、
資料請求をしてもらうためのレスポンスレター内の

「申し込み欄」(FAX用)

をカットしました。

今や多くの人がFAXは利用せずeメールで申し込んでくる。
だから、FAX用の記入スペースは不要と考えたのです。

ところが、eメール経由を含め、
資料請求数が大きく減ってしまいました。

なぜかというと、
レスポンスレター内の

「申し込み欄」

は、このレスポンスレターは

「資料を請求するためのものである」

というシグナルの役割を果たしていた
からなのです。

すなわち、実際にはeメールで資料請求するに
しても、申し込み欄は、

「資料請求」

という行動を呼び起こす呼びかけ(call to action)
としての働きをしていたのですね。

そこで、この通信講座では、
すぐに申し込み欄を復活させたそうです。


さて、あなたのビジネスにおいては、
ターゲット顧客が好ましいイメージや行動に
結びつけてくれる「シグナル」はなんでしょうか?

投稿者 松尾 順 : 2012年09月11日 09:33

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