右脳で見る映画

グロービスのセミナーで、スタジオジブリの鈴木俊夫プロデューサーのお話を聞いてきました。

鈴木さんは相当おしゃべり好きなようですね。話し方も、映画のストーリーっぽい語り口でして、聞いている人をわくわく楽しませてくれます。

鈴木さんと宮崎駿監督は、実に27年間のつきあいですが、とにかく毎日べったり一緒にいるそうです。それだけ相性が良い二人とういことなんでしょうけど、質問コーナーで、あの天才宮崎駿とコントロールしているのか、という質問がでました。

鈴木さんによれば、コントロールするとかじゃなくて、うまくやれてこれたのは、2人が「友だちだから」というのが答えです。なんかいいですね。ただ、鈴木さんは、宮崎監督はビジネスパートナーであるという意識も持っているそうですが、宮崎さんは、鈴木さんを純粋な友達と考えているようです。だれかに鈴木さんを紹介する時、たとえ仕事の場面でも、宮崎さんは「こちら、友だちの鈴木さんです。」と言うそうですから。

強い信頼関係で結ばれている2人だから、いろいろとあってもこれまで一緒にやれてきたんでしょう。
ああ、美しき男の友情!!

さて本題は、日本で大成功を収めているジブリ作品ですが、なぜ海外ではあまり良い興行成績を収められないのか、ということです。

一番の原因は、上映される映画館数が少ないということかもしれません。

ただ、日本人と欧米人の文化的な違いも大きいようです。「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」などで展開された世界、あれは私たち日本人にとってはとってもなつかしさを感じるものです。どっかで見たことがある、記憶に残っている原風景です。田舎育ちの人なら実体験として感じるものがあるでしょう。都会育ちの人でも、旅行で地方に行ったり、テレビで見たりして、なじみがあることには変わりがない。

ですが、ジブリ作品の風景は、欧米人にとっては異質な世界です。基本的に異質な世界は災いをもたらす存在としてありますから、恐怖感や忌避感を無意識に感じてしまうのじゃないでしょうか。

映画、またさまざまな芸能、小説もそうですが、話が展開される基本環境設定を「ワールドモデル」と呼びます。このワールドモデルがまず頭にすんなり入ってくるかどうかが、さまざまなエンタテイメントを楽しめるかどうかの鍵なんですね。

また、ジブリ作品が欧米人にとって違和感を感じるだろうと思える原因は、ストーリー性の弱さでしょう。

「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」など、最近の作品は特にそうですが、ストーリー的には、何がなんだかわからないと思いませんか。何も考えず没入すると、実に楽しい映画です。しかし、頭で理解しようとするとつじつまが合わないことが多いですね。このあたりが論理性を重視する欧米人にはなかなか受け入れがたいのかもしれません。

このストーリー性の弱さにはそもそも理由がありました。鈴木さんの話でわかったのですが、宮崎作品にはシナリオが存在しないからです。全体の流れとかまったく決まっていない状態で、キャラクターが何を持つか、なんて、すごくミクロな部分から初めて、自由にストーリーを展開させていく。だから、奥深い作品になる一方で、全体としてはつかみどころのないものになる。また、とても感性的な仕上がりになるのでしょう。

個人的には、ジブリ作品は右脳で見る映画であり、それでいいと思います。
無理に海外で受けるために、きっちりシナリオをつくるとか、してほしくないですね。
(絶対しないでしょうけど)

投稿者 松尾 順 : 2005年10月10日 10:11

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