企業の本性

死亡事故を起こしたシンドラー社のエレベータ。

同社日本法人は、
速やかな状況説明や、真摯な態度を見せることができず、
まるで責任逃れをしているように見えますね。

危機対応の最悪の見本が、また生まれました。

シンドラーエレベータは、世界シェア15%の伝統ある大手企業です。
ですが、日本でのシェアは1%に過ぎません。

今回の死亡事故に対する対応で、
もともと希薄だったシンドラー社のブランドイメージは
地に墜ちましたが、
もう日本市場はどうでもいいと考えているんでしょうか。

このような対応を続けるなら、もはや日本市場を撤退するしか
道は残されていないでしょう。

現場でまじめに働いている同社の社員の皆さんはさぞかし
情けない思いと不安な気持ちを抱いてらっしゃることでしょうね。


日本のエレベータ市場は、
三菱電機、日立製作所、東芝エレベータの3社でシェア7割超を
占める寡占市場です。

エレベータは、オフィスビルなどに組み込まれる製品ですから、
ビル建築を請け負う建設会社(ゼネコン)とのつながりや、
保守点検が欠かせないという点で、保守サービスの充実が必要で
あるため、外資の参入は簡単ではありません。

このため、シンドラー社では、入札で決まる官公庁向けを
事業の主体とせざるを得ませんでした。


しかし、今回のような誠意の感じられないずさんな対応を
しているようだと、もはや官公庁としてはシンドラー社を
入札に呼ぶわけはいかない。

つまり、日本市場から実質的に締め出されることになるわけです。

同社経営陣は、会社の将来より自己保身に走っているようですが、
やはり危機において企業の本性が現れますね。


企業の本性とは、企業の経営者そのものの人間性と言えるんじゃ
ないかと、今回あらためて思いました。


一方、シンドラー社と対照的な、
毅然とした態度を取っているのが、ソフトブレーン社です。

同社は、昨年8月に村上ファンドの村上世彰氏を社外取締役に
招いていました。

先日の村上氏の逮捕に際して、村上氏と懇意にしていた
日本企業の経営者や有名人は、マスコミの取材から
逃げ回っています。

しかし、同社だけは、村上氏の問題について
マスコミの取材をすべて受け、誠実に対応しています。

こうした企業姿勢には、
創業者で同社会長の宋文洲氏の意向が反映されているようですが、
中国人である宋氏のリーダーとしての卓越した人間性が
証明された一方で、日本人の経営者の中には、
リーダー失格の人がやはりたくさんいたんだなと、
なんだか情けない思いをさせられますね。

投稿者 松尾 順 : 2006年06月09日 09:39

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