これから何が起こるのか(9)商品生態系同士の戦い

ネット革命がもたらす「顧客中心市場」において、

「商品」

はどう変わらざるを得ないのでしょうか?


「商品」と「商品」同士、つまり単体商品が戦う時代は
終わっています。

そして、「商品生態系」同士の戦いが始まっています。


田坂氏によれば、「商品生態系」とは、

「顧客の特定のニーズを中心に互いに結びついた
 様々な商品やサービス」

のことです。


例えば、「Windows OS」や「Mac OS」といったオペレーティング・
システム(基本ソフト)は、パソコン本体、アプリケーション、
ディスプレイ、プリンター、周辺機器、サプライ用品などとともに、

「パソコンを使いたい」

というニーズを中心にひとつの「商品生態系」を形成していますね。


ちなみに、以前は、WindowsとMacは全く異なる生態系を形成して
いたわけですが、相互互換性が高まり、2つの生態系はある程度
重なりあうようになってきています。

ですから、Windowsが圧倒的優勢にもかかわらず、
Macの商品生態系も淘汰されずに済んでいるのでしょう。


今となっては古い事例ですが、完全に淘汰されてしまったのは、
ビデオテープの「ベータ」の商品生態系。

「VHS」の商品生態系との互換性がなかったため、
「VHS」が優勢となった時、ベータの生存が許される場所は
残されていませんでした。(プロ向けのわずかなニッチを除いて)


そして今、商品生態系同士の争いでホットな分野を挙げるなら、

「音楽や動画、学習教材などをいつでもどこでも聴きたい」

というニーズを中心に形成されている

「携帯音楽プレーヤー」の商品生態系でしょうか。


言うまでもなく、現在は「iPod」のそれが優勢ですね。


家電量販店の「iPod」のコーナーに行けばわかりますが、
「iPod」用の様々な周辺機器、アクセサリ用品など、
その商品生態系の繁栄ぶりは、
競合他社の追随を許さないように思います。

その結果、ユーザーとしては、「iPod」との相性のよい周辺機器
(卓上スピーカーや外付けバッテリーなど)を揃えてしまっている
ことが、他社へのブランドスイッチを阻む要因になっています。

私もその一人です。


これからの「売れる商品づくり」においては、

顧客ニーズを中心とする核の商品と、
それを取り巻く周辺機器群やサービスを加えた

「商品生態系」

の発想が不可欠でしょうね。


「これから何が起こるのか」
(田坂広志著、PHP研究所)

投稿者 松尾 順 : 2007年02月23日 11:23

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