パソコン・サポートランキング企画の休止
日経パソコンが過去8年にわたって特集してきた、
「サポートランキング」
が今年2007年から休止することになったそうです。
この企画は、
「パソコンメーカーのユーザーサポートの実態」
をアンケートで探るものでした。
なお、このアンケートでは、
サポートを利用したユーザーに対して、
各メーカーからアンケートの告知文を送付し、
アンケート対象者(協力者)を募集する
というやり方が取られていました。
さて、このランキングが休止になった理由ですが、
上記のアンケート対象者の抽出に、
一部のメーカーが協力しないことを決めたためです。
彼らの理屈は、
「個人情報保護」の厳密な運用のため、
告知文をユーザーに送付するのはよろしくない
と判断したからということらしいのですが・・・
しかし、メーカーはユーザー名簿を
日経パソコンに直接渡していたわけではありません。
あくまで、メーカーを通じてアンケート協力者を募集し、
協力してもよいというユーザーが、自発的にアンケートに
回答する方法でした。
つまり、個人情報保護上はなんら問題はないはず。
どうも腑に落ちません。
ところが、メーカーからは次のような指摘も受けたそうです。
“毎年サポートランキングを実施しているために競争が過熱し、
サポートへのコストが増大、パソコン事業を圧迫している”
私には、これが、ランキングへの協力を止めたメーカーの
「本音」
に聞えます。
「ユーザーサポート」、すなわち、
「カスタマーセンター(コールセンター)」
の運営コストは、確かに莫大なものでしょう。
しかし、製品本体の「機能上の違い」を
ほとんど感じることのできないパソコンにおいて、
「ユーザーサポートに対する満足度の高さ」
は、自社製品が選ばれるための重要な差別化要因では
ないんでしょうか?
もはや日用品化したパソコン事業では、
「長時間駆動」や「耐久性の高さ」をウリにする
パナソニックの「Let's Note」のような独自のコンセプトを
打ち出せない限りは、価格競争に陥るしかありません。
つまり、利益を削って値段を下げないと勝てない。
だから、ユーザーサポートの莫大なコストが重荷なんだ。
ということなら、
パソコン事業自体の存続の意義
を見直したほうがいいように思いますが、いかがでしょうか?
投稿者 松尾 順 : 2007年08月06日 11:08
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mindreading.jp/mt/mt-tb.cgi/585
このリストは、次のエントリーを参照しています: パソコン・サポートランキング企画の休止:
» 「花盛りのカラーバリエーション戦略が発するシグナル」 from Kanamori Marketing Office
日経BizPlusの連載・ニッポン万華鏡(カレイドスコープ)が更新されました。 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2007年08月06日 12:41
コメント
金森です。こんにちは。
この件、実際にパソコンのサポートセンターの担当の方たちと話をしました。
(コンタクトセンター担当者の集いのファシリテーターをやっているもので)。
担当の方々は「せっかくいままで目標として頑張ってきたのに」ととても残念がっていました。また、「センターの価値(貢献度)を会社に示せる指標がなくなるので困る」とも。
裏返して考えれば、会社側の考えが
>“毎年サポートランキングを実施しているために競争が過熱し、
>サポートへのコストが増大、パソコン事業を圧迫している”
>私には、これが、ランキングへの協力を止めたメーカーの
>「本音」
>に聞えます。
は、ズバリ正解だと思います。
また、
>しかし、製品本体の「機能上の違い」を
>ほとんど感じることのできないパソコンにおいて、
>「ユーザーサポートに対する満足度の高さ」
>は、自社製品が選ばれるための重要な差別化要因では
>ないんでしょうか?
上記もおっしゃるとおりです。
利用者の裾野が広がる一方、機能の高度化によって、サポートは「当然提供されるべき商品の基本的な部分」であると思います。
企業都合の嫌な流れになっていますね。
結局は自分たちが痛い目を見るのに。
マイケル・デル会長が復帰してサポート強化に力を注いでいるのを見て何も思わないんでしょうか。
ちなみに、パソコンの製品特性分析と、その中でのサポートの位置づけを以前一度整理しましたので、後ほどトラックバックをかけさせていただきます。
では。
投稿者 金森努 : 2007年08月06日 12:40
金森さん、まいど!
現場の声を教えてくれてありがとう!
ということは、ランキング中止で、現場のやる気も
ずいぶん低下するということなんですね。
効果も見えなくなって、さらなる予算縮小→人員縮小、
結果としてサービスが低下、そのメーカーのPC販売不振に
拍車がかかるというシナリオが見えます。
投稿者 松尾 : 2007年08月06日 12:56
うーん…
コールセンターが、官僚化=手段が目的化しやすい体質を持っていることを知る身としては、そもそも給与レベルしかり、彼らの仕事が「ハイ・コンセプト」なのか?という疑問もありつつ、
近未来的にはPCも、家電の一つとしてサポセンなど必要としないプロダクトに進化してくれることを望んでます…
投稿者 課長007 : 2007年08月06日 19:35
課長007さん、まいど!
なるほど。逆に言えば、PCもサポートを(ほとんど)必要としないプロダクトに進化させればいいんですね。
当面はめちゃくちゃハードル高い課題ですけど。
投稿者 松尾順 : 2007年08月06日 20:05
こんにちは!
松尾様のブログは私のようなど素人にはとても分かりやすくてありがたい場所です。的外れな質問も多いかもしれませんが、今後ともよろしくお願いいたします。
私はデル使ってるんですが、サポートは本当に快適です!
PCやオンラインでの疑問がわいた際によくあるのが、「質問したいんだけど窓口が中々見つからない・・・」というものです。
問い合わせフォームを探すのに一苦労することが多々あります。どことは言いませんが・・・大きいところほどそれが多い様に感じます・・・。
LINUXのようなOSが世界標準になることで相互扶助が可能になる、なんて時代は来ないのでしょうか・・・こないだろうなあ・・・ハードはもっと無理だろうなあ・・。
投稿者 s2 : 2007年08月06日 21:06
s2さん、まいど!
とても分かりやすいとおっしゃってくださって、
ありがとうございます。
「わかりやすさ」は、私が一番重視していることですので!
私もデルですが、サポートしっかりしてますね。
メーカーだけでなく、企業のサポート(カスタマーセンター)の充実度で、真の顧客志向かどうかが判断できるんじゃないでしょうか。
ちなみに、目先の利益確保のために、サポート予算をケチり
利益は改善したものの、結果的に売上が低下して事業が立ち行かなくなることは、
「手術は成功したが、患者は死んだ」
と喩えられます。
投稿者 松尾順 : 2007年08月06日 23:41
コメントしてください
