ホンネが読める?ニューロマーケティング(2)
ニューロマーケティングの研究事例としては、
コカ・コーラvsペプシコーラ
の事例が有名ですね。
これは以前ご紹介*しましたので別の例を。
(『買い物する脳』より)
プリンストン大学が行った
「アマゾンギフト券」
についての実験です。
同実験では、
被験者に対して次の2種類のプレゼントを提示して、
どちらかを選ぶよう依頼しました。
・今すぐもらえる15ドルのアマゾンギフト券
・2週間後にもらえる20ドルの同ギフト券
この際、被験者の脳内がどのように反応しているかを
「fMRI」で測定したところ、
・今すぐもらえる15ドルのアマゾンギフト券
を提示された場合に、
「大脳辺縁系」
が異常に活性化したそうです。
大脳辺縁系は感情や記憶の形成を司るところです。
つまり、今すぐもらえるプレゼントに対して、
被験者は感情的な興奮を示していたというわけですね。
理性的に考えれば、
2週間待って20ドルもらったほうがお得。
しかし、「今欲しい」という感情的興奮を我慢できず、
思わず目の前の15ドルのギフト券をもらうという選択を
しまうのです。
生物全般に言えることですが、
基本的に、‘長期的’な利得よりも‘短期的’な利得を
優先する傾向があります。
「手の中の一羽の鳥はやぶの中の二羽の鳥に値する」
という言葉がありますが、今目の前の獲物を逃せば、
いつ次の獲物が手に入るかわからないという毎日を
送っている生物にとって、目先の利得を優先するのは、
当然の行動かもしれません。
人間においても短期的思考が強いことは、
過去に行われた様々な実験でわかっていました。
そして、アマゾンギフト券の実験では、
なぜ短期的利得を優先するのかという理由が
脳科学的にわかったということです。
さて、もうひとつの事例は、カネボウが、
脳科学者、茂木健一郎氏と共同で実施している研究の
第一弾。(日経ビジネス、2009年2月2日号)
20代と30代前半の女性17人に
・自分の素顔
・自分の化粧顔
・他人の素顔
・他人の化粧顔
の4枚の写真を2秒間隔で見せた時に、
脳のどの部位が活性化したかをfMRIで調べました。
その結果、「自分の化粧顔」を見た時、
他人の顔を見た時に活性する部位が反応したそうです。
つまり、自分の化粧顔は、
あたかも他人であるかのように客観的に認識している
ということが、脳内を見たらわかったということです。
日経ビジネスの記事中に書かれていますが、
自分の化粧顔を見せられて、
「これは自分の顔ですか?」
と聞かれたら、当然ながら「はい」と答えるでしょう。
しかし、脳では他人として認識しているわけです。
当人が言葉で語ることと、実際の感覚や認識には
違いがあるということがわかる貴重な実験ですね。
それにしても、化粧品は、文字通り
「化ける」
ためのものなのかなと思いますが、
「素の自分」
とは似ても似つかぬ、他人としか思えない顔に化ける
からこそ「他人」と認識してしまうんでしょうかね・・・?
『買い物する脳 驚くべきニューロマーケティングの世界』
(マーティン・リンストリーム著、千葉敏生訳、早川書房)
投稿者 松尾 順 : 2009年02月03日 13:07
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コメント
化けるといえば、舞妓さんくらい素顔と変わることは
ないと思います。素顔を見えるのは仕込み時代の写真くらいですが、花街ネットワークの会で紹介された過去の写真をみると
殆ど本人と見分けがつかない場合がままあります。
年々、化粧がうまくなり、所作がさまになり自信がつくにつれ、どの子も一様にどんどん美しくなって行きますが、毎年変化する姿を見るのも楽しみのひとつです。
彼女達は自分の顔をどう認識しているのでしょう
投稿者 ブールパパ : 2009年02月04日 12:49
ブールパパさん、まいどコメントありがとうございます。
確かに、舞妓さんほど、
劇的に「化ける」(失礼)人たちはいませんね!
職業としての「舞妓さん」ですから、
化粧も服装も素とは大きく変えることで、
あえて別人として舞妓の役割を演じるような
意味があるのかもしれません。
投稿者 松尾順 : 2009年02月05日 14:22
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