「アート」と「サイエンス」のハイブリッドアプローチ

私たちは、自分の直感的・感覚的な判断が
しばしば間違っていることもあることを自覚し、
データ分析に基づく科学的な判断を積極的に
取り込む必要があります。

--------------

これまで、当メルマガ&ブログで
しばしば取り上げてきていることですが、
私たちの日々の「判断」の多くは、
直感的・感覚的に行っています。

直感的・感覚的判断は、

・本能的な反応と言えるもの 
 (例えば、危険な動物を見ると恐怖を感じ、
  すぐさま退避行動が取れるのは、ご先祖様から
  引き継いだ本能的な反応)

・経験や知識を通じて学んだもの
 (例えば、警察官など、制服を着た人に対して素直に
  従ってしまうのは、過去に従うことで「安全」が
  確保されるなどメリットが大きかったから)

に大別できます。

上記のどちらにせよ、過去に蓄積された

「経験・知識」

に基づいて現在や未来についての判断を
行なっているのですが、だいたいにおいて
うまくいくのは確かです。
(過去と類似の事象は繰り返し起こるからです)

こうした直感的・感覚的判断は、
できるだけ頭を使わず(思考せず)、
すばやく判断することで、
無駄なエネルギーを使わないように
するために習得した一種の

「アート(技術)」

だと言えるでしょう。

ただ、直感的・感覚的判断にはしばしば

「ゆがみ(バイアス)」

が含まれていることは、

「行動経済学」

などによって検証されてきており、
当メルマガ&ブログでも、
様々なバイアスの例をもろもろ
ご紹介してきました。

個人の日常生活であれば、
直感的・感覚的判断に伴う多少の
バイアスはそれほど大きな問題とは
なりません。
(もちろん、状況によっては騙されて
大損することもありますから、
できるだけ思慮深くありたいものですが)


一方、企業においては、
判断を間違うと、数千万~数億円
(あるいはそれ以上)の損害を出すリスクが
あるにも関わらず、実に多くの企業で、
担当者、あるいは最終決裁者である役員陣による、

直感的・感覚的判断

が下されてきています。

例えば、以前聞いた話ですが、
50~60代の役員陣が、
自社の10代向けの製品やサービスについて
なぜ、自信満々に「歪んだ判断」を下せるのか、
私には不思議でなりません。

「自分の若い頃はこうだったから」

という自分の過去の経験をベースにしている
のだと思いますが、今の若者たちの考え方とは
大きくずれている可能性は考えないのでしょうか?

おそらく、役員陣には、

「自信過剰バイアス」

が働いているのでしょう。

つまり、自分の判断は正しいという
思い込みが強すぎるのです。

非連続な変化があまり起きなかった時代では、
企業の意思決定においても、おおむね経験則で
うまくいってきたことが、根拠のない自信に
つながっているのでしょう・・・


しかし、現在の社会は、
ますます複雑化・高度化しています。

ネットワークによって地域・国を越え、
あらゆる年代、職業の人々がリアルタイムに
つながることができるといった状況は、
これまでのアナログな人間社会とは
全く異なるものです。

人々の意識もすぐには変わりませんが、
徐々に変わりつつある。


幸い、IT化の進展により、
人々の意識、行動についてのデータは
ふんだんに入手できます。

また、膨大なデータ=ビッグデータを
迅速に分析するツールも日々進化しています。

したがって、少なくとも企業においては、
よりデータを活用した科学的アプローチ
すなわち

「サイエンス」

を重視しなければならないと言えますね。

もちろん、直感的・感覚的判断、
すなわち

「アート」

も軽んじてはいけません。


アートとサイエンスをうまく融合した

ハイブリッドなアプローチ

が企業における意思決定には
ますます求められているのではないでしょうか?

投稿者 松尾 順 : 2012年09月28日 11:25

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mindreading.jp/mt/mt-tb.cgi/1308

このリストは、次のエントリーを参照しています: 「アート」と「サイエンス」のハイブリッドアプローチ:

» casino yosemite from casino yosemite
デイリーブログ『マインドリーダーへの道』 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2013年08月31日 01:45

» voyance gratuite en ligne from voyance gratuite en ligne
デイリーブログ『マインドリーダーへの道』 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2013年12月31日 11:07

コメント

コメントしてください




保存しますか?