愛想がいい人型ロボット

「客と顔見知りになる機能」

が搭載されたロボットが話題になってます。
(日経産業新聞、2007/08/23)


国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の実証実験だそうですが、
このロボットには、

「イオン高の原ショッピングセンター」(京都市木津川市)

に行けば会えますよ。


このロボット君(名称不明)は、

‘顔見知り’の客

が近づくと、

「またお越しいただきました」
「きょうはどこをご案内しましょうか」
「前回はアイスクリームを買われたようですが、
 きょうは新メニューが出ましたよ」

などと、気の利いた会話を交わすことができる
愛想のいいロボットなのです。


なんでこんなことができるのでしょうね?


秘密は、300人以上の買い物客に配った携帯ストラップ型の

「電子タグ」

にあります。

ロボットと会話する際、この電子タグを客が示すと、
電子タグに埋め込まれた識別場号(ID)をロボットが認識し、
その客との過去の会話を思い出して適切な受け答えを返すことが
できるというわけです。

おそらく、ロボットに内蔵されたDBから、IDに紐付けられた
過去会話データを引き出しているということなんでしょう。


このロボット君との会話がどのくらい楽しいのか、
実際体験してみないと見当もつきませんが・・・

しかし、上記ショッピングセンターでは、連日、
5、6人がわざわざ10分以上並んでロボットとの会話を
楽しんでいるらしいのです。

彼には、ぜひ東京にも来て、
愛想の良い会話を披露してもらいたいですね。


さて、この実験のことを読んで、
私が感じたのは、次のようなことです。

----------------------

顧客の「好意」を得ることのできる
優れたCRM的コミュニケーションを行うためには、

「顧客についてのより深い理解」

が必要である。


その深い理解は、ほとんどが

「顧客との会話を積み重ねること」

によって得られる。


だから、顧客との過去の会話内容をしっかり

「記憶・保持すること」

が、対顧客コミュニケーションの基盤である。
----------------------


実際、トップセールスパーソンは、
例外なく、並外れた記憶力の持ち主ですよね。

数百人もの顧客一人ひとりの家族構成や趣味、関心事、
そして過去の購買履歴まで、

「よくそこまで覚えてられますね」

と驚くほどスラスラと空で話すことができます。


もちろん、「灰色の頭脳」だけで覚えられるはずもなく、
顧客台帳(ノート)などに基本的な事項、
そして過去の会話の内容をきちんと記録している方が
多いです。(記録することで、頭脳の「記憶」として
定着しやすくなりますし)


たとえば、岡山の化粧品店「安達太陽堂」の
カリスマ販売員、長谷川桂子氏の場合もやはり

「優れた記憶力」(顧客台帳の活用含む)

が対顧客コミュニケーションの基盤になっています。


(ご参考)

*4色ボールペンによる顧客管理法

*「あら、○○さん、お帰りなさい!」

私は思うのですが、
何回行っても「一見さん」扱いしかしてくれない
ファーストフード店に

「CRM」

が導入されるとしたら、上述のロボット君を
生身の人間の代わりに採用するのが得策かも知れません。


多少「人件費」、いや「ロボット件費」が高くても
元が取れそうじゃありませんか?

投稿者 松尾 順 : 2007年08月29日 13:51

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コメント

松尾さんこんにちは。

ロボット技術の進歩と共に、画像処理や音声認識の技術も進歩しているので、そのうちICタグを使わなくとも、姿形や声でより自然に顧客を個別識別してくれるロボットも登場するかもしれませんね。

最先端技術が研究所から生活の場に降りてきて、機械はどんどん人間に近くなっていく。

一方、画一的なマニュアルによるオペレーションに慣れた人間は、旧来の”ロボット的”顧客対応に終始する。

なんだか皮肉な光景ですね。

投稿者 金森努 : 2007年08月29日 14:56

金森さん、まいど!

たしかに、将来的にはICタグはいらなくなるかも。

しかし、ほんと、ロボットがどんどん人間らしくなり、
逆に人間がどんどんロボットのようになっていく。

まさに皮肉なことが起きてますよね。

どうなるんでしょうか、この世界。

投稿者 松尾順 : 2007年08月29日 15:17

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