アラン・グリーンスパンの「インテリジェンス」

現在、日経本紙の「私の履歴書」に、
元連邦準備制度理事会(FRB)の元議長、

アラン・グリーンスパン氏

が登場されてますね。

金融関連のエピソードは、
金融に疎い私にはちょっと難しいのですが!


さて、グリーンスパン氏が20代の頃に設立した経済金融調査会社、

「タウンゼント・グリーンスパン」

の話には「おっ」と思うところがありました。


同社のクライアント企業は一般の事業会社でしたが、
当時の米国産業化の中心だった大手鉄鋼会社の多くが顧客に
名を連ねており、経営は順調だったようです。


グリーンスパン氏は、
この会社の事業方針について次のように述べています。

“われわれの調査分析の売り物は、経済の動向が同顧客の
 事業に影響するかをわかりやすく伝えることにあった。
 つまりは、実際の経営判断に役立つ分析である”

“国民総生産(GNP)がこうなると言っても、
 販売やエンジニア出身のトップは興味を持たない”


このグリンスパン氏のコメントから判断できるのは、
彼の会社が提供していたのは、

「インフォメーション」(情報)

ではなく、

「インテリジェンス」(情報に基づく、読みや仮説、予測)

であったということです。


当時の米産業界を牛耳っていた大手企業が、
グリーンスパン氏の会社を高く評価したのも当然ですね。


以前、

「マーケティング情報士官」

というテーマの記事の中で

「インテリジェンスとは何か」

についてご説明しました。


以下、その部分を再掲(一部修正)します。

---------------------------------------

インテリジェンスを作り出す情報士官の仕事とは、
・玉石混交の膨大な情報から、
 ダイヤの原石と思われる情報を見極め、選び出すこと

・ダイヤの原石らしき情報に磨きをかけること、
 すなわち、その情報の真偽、信憑性を確認するための裏を
 取ること

・磨きをかけた情報をさまざまに組み合わせて、
 将来の変化について、新たな発見や予測を行うこと

上記を読むとおわかりだと思いますが、
情報士官の仕事は、単に‘情報を収集して’
政府関係者に提供することではないことがわかります。

情報士官が提供する「インテリジェンス」は、
政府関係者(その頂点には、大統領や首相がいます)
の重大な意思決定に役立つ

「意味を持つ情報」

でなければならないのです。

ここで「意味を持つ情報」とは、将来についての

「一定の方向を指し示すもの」
(読み、仮説、予測などと言い換えられます)

です。

---------------------------------------

情報士官とは、米国ならCIAのような諜報機関に
勤める人間のことです。

そして、彼らが諜報活動の結果生み出すものを

「インテリジェンス」

と呼んでいるわけです。


しかし、単なるデータの寄せ集めに過ぎない

「情報」

ではなく、

「意味のある情報」

すなわち、意思決定に役立つ情報である、

「インテリジェンス」

は、一般企業も欲しがっています。


ただ、正直なところ、
私も含めてリサーチに従事する会社・人間は、
なかなか「インテリジェンス」と呼べる水準の
レポートを提供できないのが現実なんですよね。

たいていは調査結果を平板に報告するところまで。

踏み込んだ読みをするには、
クライアントの事業そのものに対する深い理解や、
周辺情報、過去の経緯といった情報まで加味する
必要があります。

しかし、なかなかそこまではできないわけです。


グリーンスパン氏は、
実際の経営判断に役立つ分析のためには、

“綿密な事実の発掘と分析が不可欠だ”

と指摘していますが、
私も改めてにこのことを肝に銘じなければと
思った次第です。

投稿者 松尾 順 : 2008年01月25日 11:25

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